創業計画書とは?テンプレートと融資を勝ち取る書き方ポイントを解説

「創業計画書って何?」
「創業計画書にはどのような項目を盛り込めばいいの?」
「創業計画書のテンプレートはどこで入手できるの?」

など、あなたは今、創業計画書を作ることを検討していませんか?

 創業計画書とは起業する際に「これからどのようなビジネスを始めようとしているのか」についての計画をまとめた書類のことです。
具体的には、「創業の動機」や「取り扱い商品・サービス」「売上予測」といった項目を埋めていく形になります。

 「創業計画書」は主に、起業時に融資を受ける際、作成されることが多いです。
「創業計画書」を提示しながら融資担当者に自分のビジネスについて説明し、審査に通れば融資を受けられるという流れになります。

 融資を勝ち取るためには、創業計画書に書くべき項目をすべからく盛り込んだ上で、融資担当者の目線を持つことが大切です。

 とはいえ、「創業計画書をはじめて書くので何を書けばいいか分からない」
「融資を勝ち取るためにはどのようなことを意識して創業計画書を作ればいいの?」
という方も多いでしょう。

 そこで、本記事では、

・創業計画書とは?
・創業計画書のテンプレートを紹介
・創業計画書に盛り込むべき項目と書き方ポイント解説
・融資を勝ち取るために追加した方がいい項目
・融資を勝ち取れる完成度の高い創業計画書に仕上げる3つのコツ

 について詳しく解説していきます。

 本記事を読むことで、創業計画書について理解を深め、テンプレートを利用して融資審査に通りやすい創業計画書を作成できるようになるでしょう。

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1.創業計画書とは?

創業計画書の全体像や、創業計画書を作成することの重要性について詳しく解説していきます。

1-1.創業計画書は、ビジネスをはじめる前に作る計画書

 上述の通り、創業計画書とは、起業する際に「これからどのようなビジネスを始めようとしているのか」についての計画をまとめた書類のことです。

 具体的には、「創業の動機」や「取り扱い商品・サービス」「売上予測」のような項目を設定し、今後の事業をどのように組み立てていくのかをまとめていきます。

 具体的には下記のような形になります。

出典:創業計画書記入例(日本政策金融公庫HP)

 上記は「洋風居酒屋」をこれから始めようとする場合に作成された「創業計画書」で、

・どうして創業するに至ったのか
・どのようなサービスを提供する予定か
・仕入れ先はどこか
・資金調達はどのようにするのか
・どれくらいの売上が出る予定なのか

 などについて1枚で分かるようになっています。

 通常は、創業計画書は、起業時に融資を受ける際に作成されることが多く、融資担当者が理解できるよう分かりやすく作成し、さらに、売上予測などが納得できるものでなければなりません。

 ただ、融資を受けないとしても、「創業計画書」を通して、「自分の事業が他の事業とどう差別化できるのか」「自分の事業が実現可能性の高いものなのか」について、客観的視点を持って見れるようになるので、作成することをおすすめします。

1-2.創業計画書の重要性

創業計画書は、特に融資を受ける際に非常に重要な書類となります。

 融資をする側から考えてみると、ただ「ビジネスをはじめたいです」と言われても、返済可能性が高いかどうかを判断できないため、融資ができないのは言うまでもないでしょう。

 すでに事業をはじめていれば実績や決算書から融資判断が可能ですが、創業前である場合、現段階で何もはじまっていないビジネスについては、実績を判断材料にすることができません。

 そのため、融資担当者は、経営者のこれまでの経験や売上予測の信憑性などを判断材料にするしかないのです。

 このような点から、経営者の経験や売上予測を記した「創業計画書」が融資判断に重要な役割を持っていると言えるのです。

2.創業計画書のテンプレートを紹介

創業計画書は基本的には、テンプレートを利用して記載していきましょう
テンプレートを利用することで、簡単に作成でき、完成度の高いものに仕上がるからです。

 創業計画書のテンプレートに関しては、融資先で用意されているテンプレートを利用するのが原則になります。

 融資には下記のような種類があるので、融資を受ける場所で「創業計画書」のテンプレートについて確認してみてください。

融資の種類

「創業計画書」のテンプレート入手方法

民間の金融機関

融資担当者に確認

各都道府県や市区町村の融資制度(制度融資)

自治体のHPや自治体の商工課、各信用保証協会

日本政策金融公庫の融資制度(創業融資)

日本政策金融公庫のHP、各支店

本記事では、起業時の融資にあたり多くの人が利用している日本政策金融公庫の下記テンプレートをベースに解説を進めていきます。

 【『創業計画書』テンプレート(日本政策金融公庫)】

上記、創業計画書のテンプレートは日本政策金融公庫のサイトからダウンロードすることができます。
業種ごとに創業計画書記入例も提示されているので、そちらもぜひ参考にしてみてくださいね。

次章では、上記テンプレートにしたがって、それぞれの項目の記載について、融資を受けるために注意すべきポイントを紹介していきます。


3.創業計画書に盛り込むべき項目と書き方ポイント解説

創業計画書に盛り込むべき項目と書き方ポイントについて解説していきます。

 創業計画書に盛り込むべき項目は、下記通りですが、融資を受けるために特に重要なのが「経営者の略歴等」「必要な資金と調達方法」「事業の見通し」の3になります。
なぜ重要なのかについてはそれぞれの項目で解説しているので、必ず確認するようにしてくださいね。

 創業の動機
重要!②経営者の略歴等
取扱商品・サービス
取引先・取引関係等
従業員
お借り入れの状況
重要!⑦必要な資金と調達方法
重要!⑧事業の見通し

 上記項目ごとに「何を書けばいいのか」「記載例」「融資を受けるための書き方ポイント」についてまとめました。

日本政策金融公庫のサイトで入手できる「創業計画書」のテンプレートの順番にしたがってそれぞれの項目を解説しているので、テンプレートを見ながら確認してもらえると理解しやすいです。

3-1.創業の動機

創業計画書の最初の項目は、ビジネスをはじめようと思った理由を記載する「創業の動機」になります。

 「創業の動機」の部分では、ビジネスに対する真剣さや情熱を主にチェックされると考えておきましょう。

 例えば、下記のような例では、融資担当者の印象はあまりよくないです。

 【『創業の動機』悪い例】

以前の会社では忙しく体調を崩してすぐ退職したこともあり、好きなことで起業したいと考え、アパレルの会社を設立すると決めました。

 極端な例ではありますが、新しくはじめるビジネス分野での経験が何もないことに加え、以前の会社をすぐ退職してしまったという記述から、「起業してもすぐに投げ出すのでは?」というイメージを持たれてしまうかもしれません。

 一方で、下記のような書き方であれば、どうでしょうか?

 【『創業の動機』良い例】

大学時代にアパレル店舗で2年間アルバイトをしていた時から、将来自分の店舗を持とうと考えていました。
就職先は大手企業の食品開発で、アパレルとは関係はありませんが、消費者のニーズについて深く考える力を養ってきたため、店舗を経営する際にも生きると考えております。
実際に仕入れ先候補もいくつかピックアップした上で、すでに話をつけており、店舗も見つかっています。
このように、事業の見通しが立ったため、融資を希望しています。

 上記のような書き方であれば、新しくはじめるビジネスに対して情熱があり、さらに、ビジネスに生きる経験があり、準備もしっかりしていると、好印象を持たれるでしょう。

 「地域貢献」や「社会的意義」についても言及できるとさらに評価が高くなります。

 このように、「創業の動機」を書く際には、「思いつきの創業で続かなそう」「何も経験がないのに大丈夫だろうか?」「何も準備していないのでは?」と、融資担当者から疑問を持たれないような書き方をすることが大切です。

 【融資を受けるための『創業の動機』書き方ポイント】

・創業への情熱をしっかり示す

・創業に関して準備をしていることを書くと信頼性が増す

・「地域貢献」や「社会的意義」についても言及できるとさらに良い

3-2.経営者の略歴等

次に、創業計画書の「経営者の略歴等」を記載していきましょう。
具体的には、大学卒業からどのような企業に勤めてきたのか、また所持している資格や知的財産について記載していきます。

 「経営者の略歴等」は、平凡な項目のように見えて意外と重視されるところでもあります。

 なぜなら、これまで事業をしてきた場合には売上実績などで、融資判断を行うことができますが、これからビジネスをはじめる場合には実績がない分、経営者の経験や資格などが重要な判断材料となるからです。

 「経営者の略歴等」は下記のように記載していきましょう。

 【『経営者の略歴等』記載例】

H〇年月   〇〇大学 法学部卒業
H〇年月〜  教育系企業である〇〇コーポレーションに入社
         のべ200冊以上の教材開発に携わる、直系の学習塾
経営のサポート業務も行う
H〇年月〜  北欧へワーキングホリデー 
R〇年月〜  教育系企業での5年以上の経験と北欧式教育学の知識を生かし、学習塾を開講

資格:TOEIC満点、小中学校教諭普通免許状

 これからはじめるビジネスに関係する経験や実績、資格を持っていればしっかりとアピールしましょう。
直接的に事業に関係する経験や実績を持っていなくても、共通点を見出して記載してみてください。

 例えば、学習塾を経営する場合、教育とは無関係の業種のみしか経験していなかったとしても、「会社内研修を行った」経験や「子供向けのイベントを開催した」経験などは、学習塾経営に生きるはずです。

 また、資格を持っている場合には、証明する書類を添付しておくとなお良いでしょう。

 【融資を受けるための『経営者の略歴等』書き方ポイント】

・ビジネスに関連する経験、実績をアピール(実績は証明できるとなお良い)

・ビジネスに関連する資格の所持をアピールして、十分な知識があることを主張する

3-3.取扱商品・サービス

ビジネスで取り扱う商品やサービス、セールスポイント、販売ターゲット、競合について記載する「取扱商品、サービス」の項目を埋めていきましょう。

 ビジネスの中身について記載していく段階なので、なるべく具体的に分かりやすく記載するようにしてください。

 記載例は下記のようになります。

 【『取扱商品・サービス』記載例】

<取扱商品やサービス>

カット 3,500
カラー 10,000円〜  
オーガニックヘアケア 3,000円〜

 <セールスポイント>
・有名店で10年程スタイリストとして働いていた経験を生かし、信頼性の高い美容室を作る
・他の美容院では使用していない髪に優しいオーガニック製品を使うことで特別感を演出する
・ラグジュアリー感のある椅子や鏡を置くことで非日常感を演出し、心も見た目も綺麗になってもらう

 <販売ターゲット・販売戦略>
・周辺地域の30代から40代の主婦が主なターゲット層なのでチラシと大手ビューティーサイトにて集客を行う
・特殊なオーガニック製品を利用していることから、遠方のお客様も訴求できると考えているため、インスタなどのSNSでも集客する

 <競合・市場など企業を取り巻く状況>
・競合は多いが、高級な雰囲気のある店舗はあまりないため差別化できる
・ネイルサロンや眉毛サロンも繁盛しており、周辺地域には美意識の高い人が多いことからニーズは十分にあると予測される

 上記の中で特に重要なのは「セールスポイント」になります。
セールスポイントはいわばビジネスにおける強みを書く箇所であり、融資担当者へ向けた大きなアピールポイントとなります。

 他の競合にはない強みや、なぜ自分の商品やサービスを顧客が選ぶのかを存分にアピールすることで、「このビジネスは成功するだろう」と融資担当者に判断してもらえるよう意識しましょう。

 競合の中に埋もれてしまう商品やサービス、需要のない商品やサービスと思われてしまっては、ビジネスが失敗する可能性が高いと判断されて、融資を断られてしまうので注意が必要です。

 また、ビジネスに関する専門家であることから、つい専門用語を使いたくなるかもしれませんが、相手に分かりやすく伝えることが大切なので、なるべく専門用語などは使わないように注意してくださいね。

 【融資を受けるための『取扱商品・サービス』書き方ポイント】

・取扱商品、サービスについては具体的に分かりやすく書く
・セールスポイントは競合と比べて何が違うのか、あなたの商品が売れる理由について書く
・販売戦略は販売ターゲットに対しどのように集客するのか具体的に書く
・専門用語を使っていないかどうかチェックする

3-4.取引先・取引関係等

取引先や取引関係について記載する項目です。
仕入れ先などがすでに決まっている場合には、記載することで準備が整っているという印象を与えることができます。

 取引先・取引関係等の記載例は下記の通りです。

 【『取引先・取引関係等』記載例】

<販売先>
一般個人(周辺地域の30代から40代の主婦)、シェア:100%

 <仕入れ先>
〇〇衣料、シェア:50%
〇〇商店、シェア:50%

 <外注先>
なし

 例えば、アパレルショップの経営であれば、すでに仕入れ先が決まっていた方が、本気度が高いと判断されるのは当然のことでしょう。

 そのため、仕入れ先や外注先は事前に決めておくことをおすすめします。

 また、販売先に関しては、法人であれば法人の詳細を記載し、上記のように一般個人であれば、ターゲットをなるべく明確に記載するようにしてください。

 【融資を受けるための『取引先・取引関係等』書き方ポイント】

・仕入れ先が決まっていると好感触なのでできるだけ準備を整えておく
・販売先の記載はできるだけ具体的に書く

3-5.従業員

創業において、3ヶ月以上継続雇用を予定している従業員について記載していきましょう。
具体的には、下記のように書いていきます。

 【『従業員』記載例】

従業員数:5人(家族従業員1人、パート従業員3人)

 特に、投資判断を左右するような項目ではありませんが、雇用の創出をするのかどうかをチェックされています。
雇用の創出が融資の条件とされている制度を利用する場合には、必ず従業員を雇う必要があることだけ押さえておきましょう。

 【融資を受けるための『従業員』書き方ポイント】

・雇用創出が融資の条件である場合には、必ず従業員を雇う必要がある点だけ注意

3-6.お借り入れの状況

個人での借り入れ状況について記載する項目になります。

借り入れしているものがあれば下記のように記載します。

 【『お借り入れの状況』記載例】

〇〇銀行〇〇支店、自動車ローン、残高80万円、年間返済額20万円
〇〇銀行〇〇支店、住宅ローン、残高1200万円、年間返済額120万円

 もちろん、個人における上記返済が少ない方が、ビジネスでの利益の多くを投資に当てられる、融資の返済を優先的に行える、といった判断にもつながるので融資担当者には好印象を与えられるでしょう。

 ただ、融資担当者は基本的に個人信用情報登録機関に信用情報を照会するため、嘘の情報を書くことが1番よくないです。
本当は借金があるのに正直に記載しないと、融資担当者からの信頼を失いかねません。

 【融資を受けるための『お借り入れの状況』書き方ポイント】

・借り入れは少ない方が好印象だが、1番は嘘をつかずに正直に記載することが大切

3-7.必要な資金と調達方法

「ビジネスをはじめるために必要な資金」や「自己資金がどれだけ用意できるか」など、「資金計画と調達方法」について記載していきます。

 資金がすぐにショートするような計画では、ビジネスとして失敗する可能性が高く、融資を断られてしまうでしょう。
そのため、融資を受けるにあたって非常に重要な項目と言えます。

 「必要な資金と調達方法」における記載例は下記の通りです。

 【『必要な資金と調達方法』記載例】

出典:創業計画書記入例(日本政策金融公庫HP)

 具体的には、ビジネスをはじめる初期費用として何にいくらかかるのかを「必要な資金」の欄に洗いざらい書き出し、「必要な資金」をどのようにして調達するのかを「調達の方法」の欄で明らかにしていきます。

 「資金計画と調達方法」の項目を書く際のポイントとしては、まず、ビジネスをはじめる際に必要な設備資金と運転資金について、見積もり書などの根拠を提示することです。
物件を借りる場合には、物件の写真や具体的な金額が掲載されているものを添付しましょう。

 「資金計画と調達方法」は数字を積み上げていくもので、少しでも間違えると事業自体が立ち行かなくなるなど大きな問題になるために、面倒かもしれませんが根拠をしっかり提示することが大切です。

 また、自己資金においては、全体の3割程度用意できることが望ましいです。
ただ、融資担当者に「本当に自己資金がこれだけあるのか?」と疑われないよう、こちらも銀行預金口座のコピーなどを添付して証明しましょう。

 自己資金がないとすぐに赤字化してしまうため、非常に重要な箇所になります。

 【融資を受けるための『必要な資金と調達方法』書き方ポイント】

・設備資金と運転資金において、見積書などを添付して証明する
・必要な資金のうち、3割程度自己資金として用意できることが理想
・自己資金があることを証明するものを添付する

3-8.事業の見通し

ビジネスを始めた後、どの程度の利益が得られるのかについて予測する「事業の見通し」の項目を記載していきましょう。

 融資における返済は事業の利益が出なくてはできないため、こちらも重要な項目になります。
そのため、あくまで利益の「予測」ではありますが、なるべく数字の元となる根拠を示すようにしてください。

 例えば、「売上予測ではざっくりではなく計算式を使って提示する」「顧客数は市場調査資料を元に提示する」といったような形です。

 顧客数などがあまりにも現実的でなく楽観的な数字になっている場合、融資担当者の印象が悪くなってしまうため、現実的な数字をなるべく根拠つきで提示しましょう。

 【『事業の見通し』記載例(月平均)】

 

創業当初

1年後

(または軌道に乗った後月頃)

計算の根拠

売上高

95万円

142万円

<創業当初>
売上高
6,000円(平均単価)×3×2回転×26日=93万円
ヘアケア商品販売 月2万円
原価率 15%
人件費 専従者1人(妻)10万円
家賃 10万円
支払利息(内訳)500万円×◯.◯%➗12ヶ月=万円
        200万円×◯.◯%➗12ヶ月=万円
                                      計2万円
その他光熱費、消耗品等 20万円

<創業1年後(軌道に乗った後)>
①2回転→3回転(勤務時の経験から)
当初の原価率を採用
人件費 アシスタント1人増 15万円増
その他諸経費 10万円増

売上原価
(仕入れ高)

15万円

22万円

人件費

10万円

25万円

家賃

10万円

10万円

支払利息

2万円

2万円

その他

20万円

30万円

合計

42万円

67万円

利益

38万円

53万円

 

参考:創業計画書記入例(日本政策金融公庫HP)

 上記は美容室の例ですが、売上高の計算方法は業種ごとに異なり、下記のように計算するのが一般的です。

【売上高計算方法】

・品製造業、印刷業、運送業
設備の生産能力×設備数

 ・コンビニエンスストアなど
1㎡(または1坪)あたりの売上高×売り場面積

 ・飲食店営業、理容業、美容業などサービス関連業種
客単価×設備単位数(座席)×回転数

 ・自動車販売業、化粧品販売業、ビル清掃業など
従業員1人当たり売上高×従業者数

 ※日本政策金融公庫のHPには、「売上高の計算方法について」詳しい計算方法や事例が記載されているので、ぜひ下記リンクも参考にしてみてください。https://www.jfc.go.jp/n/service/pdf/kaigyourei08_121115.pdf

 原価率とは、売上に対する原価の比率のことで、売上のためにかかった経費の比率のことを指しますが、こちらも業種ごとに異なるため、業種における平均値で計算すると良いでしょう。

 少し細かい計算をしなければならないので大変ですが、融資を受ける受けないに関わらず、事業の見通しを立てることは大切なことです。

 「事業の見通し」において、見通しが甘い部分があると、融資を受けられないだけではなく、すぐに廃業してしまうことにつながるので、慎重に計算するようにしましょう。

 【融資を受けるための『事業の見通し』書き方ポイント】

・数字の根拠を示すことが大切
・楽観的すぎる売上予測になっていないかチェックする
・生活費を考えても返済が滞りなくできる利益がでるかチェックする


4.融資を勝ち取るために追加した方がいい書類

3章「3.創業計画書に盛り込むべき項目と書き方ポイント解説」では基本的な「創業計画書」の項目について解説してきました。

 ここからは、融資を勝ち取るために追加した方がいい下記の書類について紹介していきます。

・月別収支計画書、資金繰り表
・事業経験書
・市場調査資料
・写真やフロー図

4-1.月別収支計画書・資金繰り計画書

月別収支計画書と資金繰り計画書が追加で添付されていると、融資担当者にとって大切な「十分な利益が出て返済はできるのか?」という点に関して、信頼性が増します。

 月別収支計画書は下記のようなものになります。

出典月別収支計画書記入例(日本政策金融公庫HP)

 創業計画書に盛り込むべき項目の中の、「事業の見通し」において、すでに月の平均的な売上や利益について予測は立てていますが、さらに細かく計画していく形になります。

 また、資金繰り計画書とは、現金の流れについて把握するために作成するものです。
実際に、事業における収支が安定していたとしても、現金が不足するという事態は起こるため、事前に手元の資金の過不足を把握しておくために必要なものです。

 具体的には下記のような形で作成します。

出典資金繰り表記入例(日本政策金融公庫HP)

 上記の参考例とは異なり、すべて「予測」で資金繰り計画を立てるので、多少難しさはありますが、現金の流れをしっかり把握しているというアピールにつながります。

 個人事業主の場合には、毎月の生活費の項目も追加して現金の流れを把握しておくと、起業後に現金が不足する心配が少なくなります。

 もちろん、融資担当者にとっても「現金が不足することなく返済に回せるだろう」という判断がしやすくなるので、資金繰り計画書も追加で作成することをおすすめします。

4-2.事業経験書

事業経験書をつけることで、融資担当者へ熱意や強みをアピールすることができます。

 これからビジネスをはじめる場合には、これまでの実績をアピールすることができないため、事業に関連する経験が非常に重要になってきます。

 そのため、すでに「経営者の略歴等」の項目で、ある程度事業の経験については記載していますが、さらに追加の資料を作成し、下記のような点もアピールすると良いでしょう。

 ・これまでの勤務経験で得た自分の強み
・これまでの勤務経験の実績
・自分の強みや実績がビジネスを成功に導く理由

 上記の点をアピールできれば、全くの未経験でビジネスをはじめようとする人と比べ、融資担当者の評価は高くなるでしょう。

 事業経験書をつけて、自分にはビジネスを成功に導くスキルや情熱があることをしっかりアピールしてみてくださいね。

4-3.市場調査資料

市場調査資料をつけると、さらにビジネスへの信頼感が増すでしょう。

 市場調査資料とは、ビジネス分野における市場規模や将来予測、顧客特性や地域性、トレンドなどについて分析したレポートのことです。

 例えば、美容室をはじめるのであれば、周辺にどの程度の美容院が何件あり、そのうち何年ほど営業が続いているのか、ニーズがどれくらいあるのかを調査しておけば、売上予測の数字の裏づけにもなります。

 また、美容のトレンドからマーケティング戦略を立てることも可能であり、そのような分析を事前にしていた方が、投資担当者からの評価は高くなるでしょう。

 市場調査資料を添付することで、これから始めるビジネスへの真剣度が高いことや客観的視点を持っていることがアピールできます。

4-4.写真やフロー図

新しい分野や一般的に馴染みのない分野におけるビジネスを展開したい場合には、写真やフロー図などの資料を追加でつけるようにしましょう。

 融資担当者とはいえ、全てのビジネス分野に精通しているわけではないため、なるべく分かりやすく解説するために工夫することが大切です。

 写真やフロー図などで、投資担当者がすんなり理解できるような準備をしておくことをおすすめします。


5.融資を勝ち取れる完成度の高い創業計画書に仕上げる3つのコツ

前章までで、資料は揃えられたはずなので、ここからは、融資を勝ち取れる完成度の高い「創業計画書」に仕上げるための下記3つのコツについて紹介していきます。

・分かりやすさを重視
・何度も修正する
・客観性のある数字を示す

5-1.分かりやすさを重視

「創業計画書」全体に言えることとして、分かりやすさを重視して記載していきましょう。

 抽象的な記載や専門用語ばかりの記載では、融資担当者が理解できず、審査に悪い影響が出てしまいます。

 そのため、自分がはじめるビジネスに詳しくない周りの人に読んでもらい、誰でも理解できる記載になっているかをチェックしてもらうことをおすすめします。

 【分かりやすさチェック】

・専門用語は使われていないか?
6W2HWhen(いつ)Where(どこで)Who(誰が)Whom(誰に)Why(なぜ)What(何を)How(どのように)How much(いくら))を含む具体的な記載になっているか?
・遠回しな記載になっていないか?
・簡潔に述べられているか?

5-2.何度も修正する

「創業計画書」は最初から完璧を目指さずに、何度も修正してブラッシュアップしていくようにしましょう。

 はじめて「創業計画書」を作成する場合、いきなり完璧に書ける人はほとんどいません。

 そのため、まずは書きやすい項目から埋めていき、少しずつ完成度を高めていきましょう。

5-3.客観性のある数字を示す

「創業計画書」における数字は、なるべく客観性のある数字を示すようにしてください。

 融資担当者にとって、「経費」や「売上予測」といった数字は返済能力を判断する際に、非常に重要なポイントとなるので、数字の根拠が甘いと融資判断に悪い影響を与えるでしょう。

 もちろん、ビジネスをはじめる前、「多く売り上げたい」という気持ちは誰でも持っているものです。
しかし、自分の希望が数字に反映されてしまっていないかどうかについては、注意深くチェックする必要があります。

 全ての数字が突拍子のない数字になっていないか、客観的な数字になっているか何度も確認しましょう。


6.創業計画書Q&A


創業計画書に関してよくある下記Q&Aについて回答していきます。

 Q事業計画書と創業計画書の違いは?

Q忙しくて創業計画書を自分で作成できない場合はどうしたらいいの?

 

Q.事業計画書と創業計画書の違いは?

A.創業時に作成する事業計画書が「創業計画書」です。

これまで解説してきた通り、起業する際に作成するのが「創業計画書」です。

 「事業計画書」は、厳密には起業時以外にも記載するものですが、ほぼ同じ意味で使われています。

事業計画書について詳しく知りたい場合には、下記の記事を参考にしてみてください。

 事業計画書とは?会社の成長に不可欠な理由と具体的な作り方を解説

 

Q.忙しくて創業計画書を自分で作成できない場合はどうしたらいいの?

A.税理士などの専門家に依頼しても良いでしょう

 「創業計画書」は自分でも作成できますが、忙しい人や融資が受けられるか不安という人は、税理士などの専門家にお願いするのもひとつの方法でしょう。

 依頼における金額は、資金調達の金額や専門家によって変わってくるので、下記の点をチェックしつつ自分に合った専門家を選ぶようにしてください。

・融資の実績がどれくらいあるか?
・料金はいくらか?
・どれくらいの期間で作成してくれるのか?
・無料相談ができるシステムがあるか?


7.まとめ

本記事では、

・創業計画書とは?
・創業計画書のテンプレートを紹介
・創業計画書に盛り込むべき項目と書き方ポイント解説
・融資を勝ち取るために追加した方がいい項目
・融資を勝ち取れる完成度の高い創業計画書に仕上げる3つのコツ

 について詳しく解説しました。

 創業計画書とは、起業する際に「これからどのようなビジネスを始めようとしているのか」についての計画をまとめた書類のことです。
具体的には、創業の動機や取り扱い商品・サービス、売上予測といった項目を埋めていく形になります。

 創業計画書は基本的には、テンプレートを利用して記載していきましょう。
テンプレートを利用することで、簡単に作成でき、完成度の高いものに仕上がります。

 創業計画書に盛り込む項目は下記の通りです。

創業の動機
経営者の略歴等
取扱商品・サービス
取引先・取引関係等
従業員
お借り入れの状況
必要な資金と調達方法
事業の見通し

 融資を受けるために特に重要なのは経営者の略歴等」「必要な資金と調達方法」「事業の見通し」の3になります。

 融資を勝ち取るために追加した方がいい項目は下記の通りです。

・月別収支計画書、資金繰り表
・事業経験書
・市場調査資料
・写真やフロー図

 最初は難しいと感じるかもしれませんが、埋められる箇所からはじめて、何度もブラッシュアップしていき、完成度の高い「創業計画書」に仕上げていきましょう。

 本記事を読むことで、創業計画書について理解を深め、テンプレートを利用して創業計画書作成に取り掛かってもらえたなら幸いです。

 

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