経営理念とは何か?経営理念が重要な3つの理由と経営理念の作り方

あなたの会社の経営理念は、しっかりと効果を発揮していますか?

・経営理念を、なんとなく作ったまま。
・立派な経営理念の言葉を掲げたが、それでおしまい。
という形骸化した経営理念はよくあるでしょう。

壁に経営理念を掲げるだけで、社員は誰も覚えることもなく、全社員が理解していない状態では効果は発揮できません。
私自身、会社がギリギリの状況になるまで経営理念の必要性に気付くことが出来ませんでした。

当時、私は目の前の仕事を精一杯こなし、夜遅くまで、土日も仕事、の毎日でした。
それが経営者のあるべき姿と疑っていませんでした。

しかし現実は、一生懸命に夜遅くまで、土日も仕事をしているのに儲からない、お金が貯まらない、社員が辞める、仕事が楽しくない、心の余裕がない、会社が良くなる兆しが見えないという状態でした。
経営理念について考える余裕はなく、成り行き任せの経営でした。

そんな中、ひょんなきっかけから「経営理念に社長としての魂」が吹き込まれてないことに気づかされました。
具体的には、社員が退職するときに、「社員への給与が安く、社員を大切にしていない」と指摘されたことをきっかけに、価値観が大きく変化したのです。

その時の私は、悔しい気持ちを噛みしめながら、冷静に考えると、退職した社員が正しいことを言っていたことに、気づかされました。

こらから会社を絶対に良くしたい、経営者である私を信じて付いて来てくれている社員に、高給与を払える会社になりたいと強く想うようになりました。
それからというもの、私の考え方や多くの行動が変化し、私の「魂」が社員全体に浸透していくのと同時に、会社の売上と利益もぐんぐん向上していきました。

本記事では、私の実体験に基づいて「経営理念の考え方」「経営理念の作り方」「経営理念の活用方法」をお伝えしていきます。
経営理念本来のパワーをフル活用した、力強く、良い会社作りに繋げて頂けますと幸いです。

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目次

 1 経営理念とは

経営理念とは、会社の目的や存在意義です。
会社は経営理念を実現するために存在し、会社の目的は、経営理念を実現することです。

1-1 経営理念とは、会社の「目的」や「存在意義」である

会社の「目的」とは、会社が最終的に実現したい到達地点です。
そして、会社の「存在意義」とは、会社が存在していることの意味や価値観であり、会社で仕事をしている喜びや楽しさ、そのものと言えるでしょう。
その経営理念の根底には、経営者の倫理観、人生観、価値観があります。

そして、経営理念による会社作りをするには、経営理念を社内にじっくりと時間を掛けて、染み込ませます。
また、経営者の持っている「倫理観・人生観・価値観」を社内に染み込ませるには、経営者の誰にも負けない「強い想い」や「強固な信念」が必要と言えます。

経営者が「理念を実現」させるという、強い想いがあるからこそ、社員に「熱い想い」を惜しげなく伝えることが可能となります。

そして、経営理念の存在により、全社員が「同じ想い」で結ばれ、理念を根底に全社員が、イキイキ&ワクワクと「熱い想い」を語り合うような、熱意溢れる会社が、経営理念が実を結んだ会社と言えるでしょう。

1-2 経営理念の根底には倫理観がある

経営理念の根底には「人間として何が正しいか」という倫理感が必要です。
会社は、「人」同士の信頼関係で成り立っていますので、経営者は倫理観を備えている必要があります。

人は、つい正しくないことを知りつつ、信用信頼よりも、目先の利益を優先する場合があります。

しかし、人は「自分だけの利益を優先しない人」「ズルをしない人」「嘘をつかない人」と付き合いたいものです。

もし会社の目的が、社長の個人的な財産を増やすことで、社長の贅沢が目的だとしたら、社員は付いて来ないでしょう。

また経営理念よりも売上(利益)を優先させると、会社の信念である「魂」をお金で売ることになってしまうかもしれません。
お金で「魂」を売るような会社では、社員は誇りを持って働くことはできないでしょう。
利益の為に、経営理念を妥協するべきではありません。

ビジネスで大切にすべきことは、「信用・信頼が先で、利益は後」です。

目先の利益よりも、「人として何が正しいのか」という倫理観を判断基準に持つことで、いずれ信頼・信用が生まれ、その後利益が生まれると考えられます。
よって経営理念の根底には、倫理観が必要であり、利益よりも経営理念が優先されます。

1-3 経営理念は、長期的な会社の存続発展に寄与する

会社は、短期的ではなく、長期的な存続が求められます。

会社は、生き残るために常に利益を獲得することが求められます。
一方で長期的な会社の成長には、会社で働く全社員が、経営理念に基づき「世の中の役に立っている」という自負を持つことで、人に強さを与え、長期的に前向きなエネルギーが持てるようになるでしょう。
「世の中の役に立っている」という自負の根源となる言葉が経営理念であり、経営理念の活用は、会社の長期的な存続発展に最適と言えるでしょう。

1-3-1 経営理念という考え方で繋がった組織を作る

会社は、売上をあげるのに1年、利益を出すのに3年、人を育てるのに10年掛かると言われています。

人を育てるとは「挨拶」「礼儀」「思いやり」「規律」などの備わった「人間力」を教育することです。
社員教育には、技術教育と人間力の教育があり、人間力の教育では、会社の目的や存在意義という「経営理念」を基礎とした、「価値観」や「考え方」の揃った社員を育てることです。

そして、長期的に存続できる会社を作るためには、経営理念という「考え方で繋がった組織」を作ったほうが良いでしょう。
考え方で繋がることで、お金などの利害関係の繋がりよりも、強固な組織が作れます。

商品やサービスは、短期間で同じような商品・サービスが出現します。
しかし、経営理念という「考え方」で繋がった会社は、目指す目的で繋がっている関係性のために、とても強固です。
ライバルは10年追い付くことができないでしょう。
そうすると、「人」での差別化が可能となり、長期的な安定成長が見込めるようになります。

経営理念という「考え方」で繋がっている会社は、全社員が考え方や価値観などの「人の志」という信頼関係で繋がりますので、強固で、一体感があり、長期的な成長が見込めるようになります。

1-3-2 税理士法人で、経営理念を道具として活用している社員の姿

良い経営理念を作って、社内に浸透すると、社員の仕事への姿勢が変わるでしょう。

例えば、税理士法人で仕事をしている3人のスタッフの事例がありますが、経営理念が浸透すると、仕事を前向きに取り組む「Aさん」のような社員が徐々に増加すると考えられます。

Aさん 25歳 男性 入社2年目

私は税理士法人で仕事をしているときに、いつもお客様の社長を想像している。
どうすればもっと会社が良くなって、売上や利益も増え、資金繰りが良くなるかを考え、何かお客様に提案できることはないかと、ワクワクしながら考えて仕事をしている。
私がもっと早く、正確に入力できるようになって、さらに月次決算書を活用して社長に良い提案できるようになれば、お客様の会社がもっと良い方向に向かうようになる筈だ。
私は、税理士法人の仕事を通じて、中小企業の社長や社員の方々、そしてその家族の生活が良くなり、さらに日本中の中小企業がもっと良い経営ができるようになって欲しい。その為に、私が仕事を覚え、知識を学び、もっとお客様に貢献できるようになりたい。

Aさんは、仕事への遣り甲斐を感じ、お客様に貢献できることを喜びとして仕事をしています。
お客様からは、「いつも一生懸命やってくれて有難う」と、感謝されるレベルの仕事をしています。
Aさんには経営理念が浸透しており、Aさんのような社員が揃っている会社は、同じ考え方に基づいた価値観で結ばれ、良い会社と言えます。

経営理念が浸透している「Aさん」に対して、経営理念が浸透していない社員は、下記の「Bさん」、「Cさん」のような仕事をする傾向にあります。

Bさん 28歳 男性 入社 3年目

私は、お客様から宅急便で送られてくる領収書を毎日会計ソフトに入力しています。
キャバクラとか、交通費とか、クシャクシャで汚い領収書の束で、手間が掛かり、本当に面倒な仕事だ。
給料を貰うために、生活のために仕方なく行っている。
他にもっと簡単で、ラクにお金を稼げる仕事があったら転職したいな。
他の仕事はもっとラクなんじゃないかな。

Bさんは、単なる作業として仕事をしており、お客様へ貢献するという視点がありません。
向上する気持ちもないので、結果的に良い仕事ができないと考えられます。
嫌々仕事をしているために、誰にも感謝されず、仕事に対する遣り甲斐もないのでしょう。

Cさん 32歳 女性 入社5年目

私は、会計ソフトへの入力が誰よりも早くて、正確だ。
税理士法人のスタッフで、私よりもスピード感があり、素早く仕事がこなせる税理士法人の職員はいないと思う。
入力を歩合制でやったら、もっと給与をもらえるようになるので、歩合でやりたいな。

Cさんは、職人として、自分自身のために仕事をしています。
技術があっても、仕事が自分中心のために、お客様からのニーズがズレ、お客様に対してベストな良い仕事の提供ができにくい状態です。

Aさん、Bさん、Cさんの仕事の内容は同じでも、Aさんは仕事が楽しく、遣り甲斐を感じて仕事をしています。
これに対して、Bさん、Cさんに(特にBさん)とっては、仕事が退屈に感じているでしょう。

A、BCさんの中で、Aさんが一番、世の中に貢献して、人生が豊かになる傾向にあるでしょう。

会社で、経営理念を道具として正しく活用することで、Aさんにように経営理念を実現するために、もっと自分が成長したいという気持ちが湧き上がり、感謝される喜びを知り、日々の仕事を遣り甲斐を持ってできるようになるでしょう。

経営者は、社員が毎朝通勤をする際に「今日、何のために会社に仕事に行っているのか?」を、前向きな気持ちで、明確な答えを持てるようにすることが、社長の仕事といえます。

1-4 経営理念を構成する3つの要素

経営理念とは「①使命感(ミッション)」・「②未来像(ビジョン)」・「③価値観(バリュー)」の3つの要素の総称であり、経営理念はこの3点セットから成り立ちます。

会社は、価値観(バリュー)を基礎として成り立ちます。
そして価値観(バリュー)の上に使命感(ミッション)があり、使命感(ミッション)という形で、世の中に貢献したい想いを伝え、使命感(ミッション)が実現した姿が、我が社の未来像(ビジョン)になります。

この章では、ミッション・ビジョン・バリューを分かりやすく説明するために、桃太郎の例を使いながら説明していきます。

桃太郎とは?

桃太郎の物語では、桃から生まれた桃太郎が、村人を困らせ、村人から宝物を奪っている鬼を退治しに、鬼ヶ島に向かいます。
その道中で、犬やサルやキジなどの仲間に「きびだんご」を与えて、仲間を引き連れ、仲間たちと一緒に、悪さをしている鬼を倒し、鬼達の宝物を村人へと返すという物語です。

1-4-1 使命感(ミッション)

使命感(ミッション)とは、世の為、人の為に「どのように役に立ちたいのか?」という、世の中へ貢献したい、命を捧げるほどの想いであり、会社の存在意義と言えます。
使命感は、「世の中に、どのような価値を提供して」「何のために、この会社が存在するのか」という、会社の存在理由であり、心から溢れ出すほど、成し遂げたい本気の想いと言えるでしょう。

桃太郎の話では、鬼が村人から宝物を奪っており、村人を困らせています。
そこで、桃太郎が悪い鬼を退治して「村人みんなの幸せな暮らしを実現する」ことが、想いの源です。

桃太郎の村人に貢献したいという想いが根底あり、「村人の幸せな暮らしを実現する」ことがミッションであり、使命感となります。

1-4-2 未来像(ビジョン)

未来像(ビジョン)とは、「将来、どのようになりたいのか?」という、会社が目指すべき将来の理想とする姿です。
未来像(ビジョン)は、使命感や価値観を、より具体的に、目に見える形にした理想の将来の姿です。

なお、未来像(ビジョン)がない会社は、単に目の前の仕事をこなしているだけの、活気がない組織であり、社員にビジョンがない仕事をさせることは、社長の大きな罪と言えるでしょう。

桃太郎の話では、使命感である「村人の幸せな暮らしを実現する」ために、鬼退治をして「△ヵ月後には、笑顔溢れる村に絶対する」というのがビジョンです。

桃太郎の心の根底には、村人が鬼からの悪さで困っているので、村人を助け、村人の幸せを実現したいという想いがあります。
そこで、鬼を退治した後の世界観である、「△ヵ月後の村人の笑顔溢れる姿」を具体的にイメージできるように、共に戦う仲間の犬・サル・キジに伝え、仲間の協力を得ることが、桃太郎(経営者)のビジョンを伝える力となります。

1-4-3 価値観(バリュー)

価値観(バリュー)とは、「会社で何を大切に経営しているのか?」という、基本的な価値観・価値基準です。
価値観は、仕事の中で社員が行動する際の価値判断の基準となるものです。

価値観(バリュー)は、多くの会社では、社員が実際の仕事を行う際の「行動基準」として扱われています。

何を「価値観」「行動基準」とするかは、会社によって、それぞれ異なります。
「売上獲得を重視するのか」、「社員の幸福を重視するのか」、「お客様の満足を重視するのか」、「社会貢献を重視するのか」、若しくは「社長自身の個人的財産を増やすことを重視するのか」何を大切にして経営をするのかという価値観は、会社ごとで異なります。

桃太郎の話では、追求する価値観(バリュー)は「村人の幸福」です。

もし目指すべき価値観(バリュー)が、チーム内でみんなバラバラだったら、チームの力が集中せずに、ミッション・ビジョンの実現は困難です。
「村人みんなの幸せな暮らしを実現」という、使命感の根底には、「村人の幸福」という価値観(バリュー)があります。

そして、共に戦う同志である「犬・サル・キジ」と価値観(バリュー)を共有することで、ミッション・ビジョンの実現のために、一緒に鬼と戦うエネルギーとなります。
チームとしての価値観(バリュー)である、「村人の幸福」を共有することで、強い力でミッション・ビジョンの実現に向けて進むことが可能となります。

桃太郎のミッション・ビジョン・バリュー
・ミッション(使命感) 村人みんなの幸せな暮らしを実現するゾ!
・ビジョン(未来像)  △ヵ月後には、笑顔溢れる村に絶対するゾ!
・バリュー(価値観)  村人の幸福!

仕事はチームでやるものです

桃太郎の話では、ミッション・ビジョン・バリューを掲げ、目指すべきゴールを明確に設定しているのと同時に、仲間たちに対して「きびだんご」を給与として与えています。
しかし、給与としての「きびだんご」の効果は一時的なものと言えます。
桃太郎は、鬼退治をする理由を「ミッション・ビジョン・バリュー」で、メンバーに熱い想いを伝えることで、メンバーは桃太郎の想いに賛同し、鬼を退治する機運が高まります。
「きびだんご」としての給与は、仲間として居続けてもらう為の報酬です。
ここで重要なことは、経営者の役割は、桃太郎と同様に、「きびだんご」だけに頼ることなく、経営者の熱い本気の想いを「ミッション・ビジョン・バリュー」として全社員に伝え、みんなの心を一つにして、ミッションを実現するための指揮を執ることです。

1-5 経営理念と企業理念、クレド、行動指針、社訓、社是の違い

経営理念に近い言葉として、企業理念、クレド、行動指針、社訓、社是などの言葉があります。
経営理念を、「企業理念」「クレド」「社訓」などと表現している会社もあります。

中小企業において、経営理念の活用が進まない一つの理由は、経営理念と類似する言葉が多くあり、言葉の定義も曖昧で、経営理念自体が分かりにくいことが原因と考えられます。

経営理念の周辺キーワードの意味自体がぼんやりとしていることが、経営理念の活用が停滞している原因と思われます。
よって経営理念と類似している言葉の定義について、ここで簡単に触れさせて頂きます。

・経営理念  会社の目的や存在意義
・企業理念  企業全体の価値観
・クレド   価値観を具体的な行動にまで落とし込んだもの
・行動指針  経営理念を実現するための行動を指し示す指針
・社訓    全従業員が守るべき指針
・社是    会社が正しいと考える方針


2、経営理念が重要な3つの理由

経営理念には、3つの重要な理由があります。

経営理念は、「①強い組織ができ上がる」という側面と、「②良い社風を作り出す」という内部的な側面と、さらに「③長期的な利益が出る」という側面の、3つの重要な理由あります。

2-1 強い組織ができ上がる

経営理念は、「お客様」「社員」「社会」へのメッセージであり、経営理念が社員に浸透することにより、強い組織ができ上ります。

お客様へのメッセージが大切である理由は、会社は「お客様」に貢献する会社のみが、生き残れます。

さらに、「お客様」に商品やサービスを提供するのは、「社員」です。
「社員」がお客様に対して良い商品や良いサービスを提供することで、お客様満足を満たすことができます。

そして、会社は、社会の一員です。
会社は、社会に貢献している会社のみ、存続が許されます。

会社は、「お客様」「社員」「社会」の三者が相互に密接に関わることで、成り立ちます。

また、近江商人の考え方で「三方良し」の精神というものがあります。
「三方良し」とは、「売り手」と「買い手」が満足し、さらに「社会にも貢献」することが、良いビジネスであるとする精神です。

売り手は、自分たちだけの利益獲得を目指すのではではなく、買い手に喜ばれる商品サービスを提供することによって、いずれ信用信頼が得られます。
さらに、売り手と買い手だけでなく、地域や社会全体に貢献をすることで、真の信用は得られるとする考え方です。

経営理念に「お客様」「社員」「社会」へのメッセージを盛り込み、経営理念を社内に浸透することができれば、「お客様」「社員」「社会」から信用信頼され、皆から愛される強い組織ができ上ります。
だからこそ、経営理念は重要です。

2-2 良い社風を作り出す

経営理念は、良い社風を作り出すと考えられます。
社風とは「会社の体質や雰囲気、気質(Weblio類語辞書)」です。

社員の働いている姿が「社風」であり、社風は全社員から湧き出してくる雰囲気であり、経営理念の成果です。
社風の良さには、複数の要因があります。

「良い社風」を作るには、下記の点がポイントなります。

・経営者が、社員や外注などの「人」を大切にしていること
・信用、信頼できる経営者であること
・お客様への貢献を通じて、社員が喜びを感じて働ける会社であること

そして経営理念は、良い社風を作ると同時に、会社の長期的な成長に繋がると考えられます。
会社は、短期間な膨張拡大となるような急成長ではなく、長期的に安定成長することが求められます。

会社が長期的に安定成長することで、社内が活気づき、社風も良くなります。
そして、社員の給与が上がり、社員の役職が増え、若手社員の雇用も可能となり、シェアが増え、お客様に貢献できるサービス範囲も増えるでしょう。
また、優秀な人材ほど、会社の成長と伴に、自分も成長できる環境を求めるようです。

経営者の熱い想いが、社員に経営理念を伝える「惜しみない努力」として表れ、会社の安定成長に繋がり、結果的に「良い社風」作りに繋がります。

2-3 長期的に利益が出る

経営者は、経営理念を深く信じ、信念を持ち、社員に惜しみなく伝え続けることが重要ですが、「経営理念が「ある」会社」と「経営理念が「ない」会社」の『売上』や『利益』の数字の視点から、経営理念の重要性を示すデータをお伝えします。

宮田矢八郎著「理念が独自性を生む」のリサーチデータでは、経営理念が「有る」と回答した会社の平均経常利益は4,900万円であり、経営理念が「無い」と回答した会社の平均経常利益は2,900万円で、利益額は1.7倍という結果が出ています。
これは、「利益」に対する経営理念の有効度を示す数字と言えるでしょう。

経営理念平均経常利益リサーチした会社数
あり4,900万円2752社(55%)
なし2,900万円2236社(45%)

宮田矢八郎著「理念が独自性を生む」43

上記の2つのグラフでは、売上が大きくなるにつれて、そして利益が大きくなるにつれて「経営理念が有り」と回答する会社の割合も高くなっています。

これは経営理念がある会社ほど、売上や利益が大きくなる事実を示しており、経営理念の存在が、結果として会社を成長させ、利益を多く獲得していることが分かります。

しかし、大切な点は、経営理念を掲げることで、売上や利益は増加しますが、経営理念は売上や利益を上げるための手段ではありません。

「経営理念を掲げている会社」が、”結果”として多くの「売上」と「利益」を獲得している、という事実が大切なポイントです。


3、素晴らしい経営理念の5の具体例

日本と海外企業の良い経営理念を参考にしながら、経営理念の具体例について考えていきたいと思います。

日本企業の経営理念は、京セラの経営理念を筆頭に、社員を最も大切にする思想が根底にあると考えられます。
それに対して、海外企業の経営理念は、googleやAmazonを筆頭に、お客様やユーザーを最も大切にする傾向が伺えます。

日本の優良企業の多くでは、社員を大切にしている姿勢が伺えると言えるでしょう。
従来の多くの日本企業は、終身雇用制を掲げていました。
日本では「人を大切に」して、「社員の幸福」を重視するという社風が、日本の風土にマッチしているものと思われます。
そこで、経営理念に「全社員の幸福」や「人を大切にする」キーワードを、ぜひ入れることをお勧めします。

3-1 京セラの経営理念

全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、
人類、社会の進歩発展に貢献すること

京セラの経営理念は、中小企業で模範となる良い経営理念と言えます。

『全従業員の物心両面の幸福』とは、全従業員の「物=お金、物品」と「心=気持ち、精神」の両面の幸福を追求することを、宣言しています。
さらに、後半の『人類、社会の進歩発展に貢献する』とは、会社の使命感であり、使命感を追求することが、結果的に全社員の生活を守ることに繋がります。

京セラの創業者である稲盛和夫氏によると、経営理念作成までのエピソードとして、創業3年目に社員から残業などへの不満が募り、待遇改善や将来への保証を求められ、3日3晩に渡って、稲盛氏の自宅で話し合いが行われたそうです。
この機会をきっかけに、稲盛氏は「会社とはどういうものでなければならないか」を真剣に考え、経営理念で掲げているような、全従業員の幸福を目指す会社に生まれ変わったそうです。

創業当初は、社長自身が食べることで精一杯ですが、その後の社員を雇用するステージになると、社員の生活を真摯に考え、社員の「幸福」を考える必要性がでてきます。

このことを踏まえて、経営理念に「全従業員の幸福を追求する」ことを、ぜひ取り入れることをお勧めします。

3-2 伊那食品工業

「いい会社をつくりましょう」  ~たくましく そして やさしく ~

言葉としては、とてもシンプルな経営理念です。
シンプルなほど、奥が深く、会社の想いがストレートに伝わります。

伊那食品工業様のホームページには「いい会社とは」どのような会社であるのかについて、説明が書かれています。

伊那食品工業様の企業理念のページはこちらから

「いい会社」は自分たちを含め、すべての人々をハッピーにする会社であり、会社の目的は人々の幸せを追求することであり、その中で最も重要で身近な「社員の幸せを追求する」ことであると、社長からのメッセージで伝えられています。

社長からのメッセージでは、「社員を大切にする」想いがストレートに伝わってきます。

なお、シンプルな経営理念にする場合、社長からのメッセージを付け加えることで、読み手にとって経営理念の理解が深まるようになりますので、ぜひお勧めです。

3-3 アマゾン

「地球上で最もお客様を大切にする企業」
「顧客は常に正しい」

Amazonでは、経営理念をシンプルに「お客様第一」の一本に絞り込んでいます。

経営理念を、お客様第一のメッセージだけに絞り込むことで、会社で一番大切にしていることが分かりやすく、伝わります。
Amazonの特徴として、利益の大部分をお客様のために新規事業や値下げ、物量網の構築など、お客様のための投資に使っているようです。
Amazonでは、短期的な利益を重視せず、お客様が喜ぶサービスを提供することを徹底的に追求しています。

3-4 グーグル

グーグルは、転職したい会社ランキングで常に上位入りしています。
自由な発想で、思う存分仕事ができそうなイメージのグーグルですが、そのようなイメージの基となっているのが、グーグルの経営理念だと思います。

グーグルの経営理念は、「ミッション」と「 Google が掲げる10 の事実」の二つから成り立ちます。

① ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる。 
② 1 つのことをとことん極めてうまくやるのが一番。
③ 遅いより速いほうがいい。
④ ウェブ上の民主主義は機能する。
⑤ 情報を探したくなるのはパソコンの前にいるときだけではない。
⑥ 悪事を働かなくてもお金は稼げる。
⑦ 世の中にはまだまだ情報があふれている。
⑧ 情報のニーズはすべての国境を越える。
⑨ スーツがなくても真剣に仕事はできる。
⑩「すばらしい」では足りない。

「Google が掲げる 10 の事実」の各項目には、詳細な説明文が付け加えされています。
詳細の説明もGoogleのホームページから見ることができるので、ぜひ原文を一読することをお勧めします。

「Google が掲げる 10 の事実」の原文はこちらから

「 Google が掲げる10 の事実」は、どの言葉も説得力があり、読み手の心を引き付けます。
読むと分かりますが、ユーザー目線を追求している会社の姿勢が良く分かります。

3-5 パナソニック(松下電器産業)

経営理念で、まず学びたいのは、松下幸之助氏の経営理念に対する考え方です。

松下幸之助氏によると、経営では「経営理念を確立すること」が第一に大切で、経営理念を確立することができると、50%は経営が成功したようなものだと語っていたそうです。

経営理念を確立するには、「経営者が人生観・社会観・世界観を涵養(かんよう:無理せず、ゆっくりと養い育てること)が重要である」と述べています。

経営理念の根底には、経営者の事業経営に対する強い想いがあり、強い想いが経営理念に重みを与えます。
そして経営者の強い想いがあるからこそ、社員に伝えることに対して、惜しみない努力をすることに繋がっていきます。

「綱領」
産業人たるの本分に徹し社会生活の改善と向上を図り
世界文化の進展に寄与せんことを期す

「信条」
向上発展は各員の和親協力を得るに非ざれば得難し
各員至誠を旨とし一致団結社務に服すること

「私たちの遵奉すべき精神」
産業報国の精神、公明正大の精神、和親一致の精神、力闘向上の精神、
礼節謙譲の精神、順応同化の精神、感謝報恩の精神

今後もパナソニックは、経営理念に基づいて、
社会の課題解決と発展に貢献し続け、新しい未来を切り拓いていきます。

松下幸之助氏は、著書「実践経営哲学」の中で下記の通り述べています。

『創業当初は食べるために事業を行っていたが、商売が発展して、人が多くなってくると「使命」について考えるようになり、自分なりに考えた「使命」について従業員に発表したことで、従業員も使命に燃えて仕事に取り組む姿が生まれてきました。
そして、「経営に魂」が入った状態になり、それからは驚くほど事業が急速に発展したのである』と著書の中では書かれています。

このような経験からも松下幸之助氏は「経営理念の確立が大事」であると言っています。

松下幸之助氏の経営理念の考え方について学びたい方は「実践経営哲学」松下幸之助著の購読をぜひお勧めします。


4、経営理念の作り方のポイント

経営理念は、ミッション、ビジョン、バリューの3つから成り立ちますので、ミッション、ビジョン、バリューの作り方について、説明します。

経営理念には、社長が本気で成し遂げるという強い想いだけを書きます。
よって、経営理念の作成は、部下や外部の専門家に依頼するのではなく、社長が一人で作成しましょう。

4-1 私たちの使命感(ミッション)は何であるか

使命感(ミッション)の作り方のポイントは、世の為、人の為に「どのように役に立ちたいのか?」、世の中に貢献したいと思っていることを、そのまま言語化することです。

使命感は、命を捧げるほどの「世の中への貢献」の想いであり、心から溢れ出すほどの、本気の想いを書きます。

ミッションの作り方は、下記の通りになります。

どんな仕事 )を通じて、( 誰に )に、( どんな貢献をするか )で貢献する。

ミッション参考例
・日立製作所    「(優れた自主技術・製品の開発)を通じて(社会)に貢献する」
・クラウドワークス 「(”働く”)を通じて、(人々)に(笑顔を)」 

ドラッカーによると、使命とは、人を行動に駆り立てるものでなかればならず、「全社員が、そうだ、これが私が覚えられたいことだ」と言えなければならないと、述べています。

使命は、私たちが世の中から「覚えられたいこと」であり、会社の存在理由でもあり、「貢献」が使命感を作成する一つのキーワードになります。

4-2 私たちの未来像(ビジョン)は何であるか

未来像(ビジョン)とは、「将来、どのようになりたいのか?」という、使命感や価値観を、より具体的に、目に見える形にした理想の将来の姿であり、中長期的に目指す状態です。

未来像(ビジョン)の作り方は、「〇〇地域で、〇〇でNo.1になる」と書くことが、分かりやすくお勧めです。
〇〇地域は、例えば東京都や横浜市などよりも、さらに細分化した地域名を記載することで、努力すれば手に届くような範囲で目指すことが可能となります。

さらに業界も細分化して、居酒屋よりは「焼鳥屋」、さらに「商品名」などで細分化することで、No.1に手に届くようになるでしょう。

例えば、「〇〇地域の、焼鳥屋のおもてなしで、地域NO.1の店になる」などです。
つい、あれもこれもとやりたくなりますが、中小企業では勇気を持って、やらないこと決め、小さく絞ることが、生き残るには大切だと言えるでしょう。

未来像(ビジョン)を考える際も、特定の地域や特定層のお客様、専門的な商品など、絞り込み、作成することがお勧めです。

4-3 私たちの価値観(バリュー)は何であるか

価値観(バリュー)とは、会社で大切にしている価値観であり、社員が仕事をする際の「行動基準」となるものです。

会社によって、何を「価値観」とするか、何を「行動基準」とするかは、それぞれ異なります。

価値観(バリュー)は、会社の行動基準ですので、使命感(ミッション)や未来像(ビジョン)よりも、具体的で分かりやすい内容であり、全社員が「価値観(バリュー)を基に行動をする」ことになります。

価値観(バリュー)の参考例
・原理原則を守る・・・常に何が正しいのか、物事の本質から考える
・人として何が正しいのか・・・利益よりも、人としての道徳や倫理観を優先する
・誠実・・・相手目線に立ち、相手の気持ちを考えて行動する
・感謝・・・日々感謝の気持ちを持つ
・謙虚と素直・・・謙虚とは「教えてください」という姿勢で、素直に学ぶ
・真剣勝負・・・本気でやれば大概できる。


5、真似から作る、経営理念の作成5つのステップ

前の章では、ミッション、ビジョン、バリューに基づき、経営理念の作り方のポイントを紹介しました。

しかし、多くの経営者にとって、経営理念は、そう簡単に作成できるものではありません。
そこで、良い経営理念を真似しながら、比較的簡単に作成できる経営理念の作り方を、5つのステップでお伝え致します。

ステップ1 数多くの経営理念を読む

はじめに、他社の経営理念を数多く読み、経営理念には、どんなことが書かれているのかを確認するところから始めます。

数多くの経営理念は「経営理念ドットコム」でご覧頂けます。

経営理念を数多く読んだ上で、感性が合う、良いと思う経営理念を、書き留めて下さい。
そして、お勧めの経営理念の作成方法は、最初から全部自分で作ろうとせずに、良い経営理念を真似ることです。

その中でも、私が一番お勧めする「真似をするべき経営理念」は、京セラの経営理念です。

京セラの経営理念 
「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」

真似をする経営理念は、社長自身が共感できる経営理念である必要があります。
共感できる言葉であれば、最初は真似でも、徐々に自分の言葉となり、いずれ社員に伝えることができるようになります。

ステップ2 経営理念を紙に書く

数多くの経営理念を読み、おおよそのイメージができたら、良いと思う経営理念の言葉を参考に、紙に書き出してみます。
最初はただの真似であっても、言葉を紙に書き記すことで、自分の考え方が整理されていきます。
京セラや自分の感性に合う経営理念を参考にしながら、下記の質問に答えながら言葉を書き出して下さい。

・世の為、人の為に「どのように、人に役に立ちたいのか?」=使命感(ミッション)
・「何のために、この会社は存在しているのか?」=使命感、存在意義(ミッション)
・「会社で大切にしている価値観は何か?」=価値観(バリュー)
・「将来、どのような分野で、どの地域でNo.1にしたいのか?」=未来像(ビジョン)

内容が正しいか、間違っているかよりも、書き出すことで、自分の頭の中が整理されます。
経営理念に正解はありません。

人生観や価値観は、人それぞれ異なりますので、自分の感性を大切にして、真似しながら経営理念を作成して見て下さい。
とりあえず作成した上で、しっくり来ないようであれば、自分の考えに合うように、修正して下さい。

経営理念を書き出すことは大切ですが、最初は書き出すことも非常に難しいものです。
よって、はじめて作成する人は、完璧は目指さず、なんとなく自分が共感できる経営理念の言葉を書き出した上で、次のステップに進んでも、経営理念は作成できます。

軽い気持ちで書き出し、次のステップに進んで下さい。

ステップ3 やりたくないこと、やらないことを書き出す

経営理念の作成にあたって、社長の想いや共感できる言葉を選ぶだけでなく、「これだけは、絶対にやりたくないこと」「やらないこと」を明確にすることで、自分の価値観が明らかになります。

例えば私の場合は、下記のように「やりたくないこと」「やらないこと」を先に明確にしています。
「人間関係の築けない人とは付き合わない」
「他人の責任にする人とは取引しない」
「自分の意見や主張を一方的に押し通す人とは付き合わない」
「下請け仕事はしない」
「売り込み営業はしない」などです。

「やりたくないこと」「やらないこと」を先に決めて、自分の価値基準を明確にすることで、経営理念の実現に向けてワクワク邁進することができるようになるでしょう。

ステップ4 共感できる複数の経営理念を、繋ぎ合わせる

経営理念の作成方法は、共感できる言葉を真似ることから作成をはじめることがお勧めです。
そこでステップ4では、京セラの経営理念を参考に、良い経営理念を繋ぎ合わせて、真似から経営理念を作る参考例をお伝えします。

京セラの経営理念
「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」

経営理念の繋ぎ合わせの参考例
① 「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、地域社会の進歩発展に貢献する」
② 「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、お客様満足を追求し、社会に貢献する」
③ 「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、日本中の中小企業を元気にする」
④ 「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人々の幸せと社会の発展に貢献する」
⑤ 「全従業員の人間性を高め、物心両面の幸福を追求すると同時に、地域社会の幸福に貢献する」

会社の目的は「社員の心と経済的な幸せの追求」や「社会への貢献」を通じて、世の中を良くすることだと私は考えていますが、「自分だけが良ければいい」という利己の考えを捨て去ることが、理想的な経営のスタートと言えます。

その点を踏まえて、京セラの経営理念では、「社員の幸せの追求と社会貢献」が明確に掲げられているため、真似をすることで、経営理念をスムーズに作成できるようになるでしょう。

なお、参考までに経営理念で良く使用されているキーワードは、下記のとおりです。
「社会貢献」
「誠実」
「全社員の幸福」
「お客様への貢献」
「地域社会への責任」
「社員第一主義」
「お客様第一主義」

ステップ5 真似から作成した経営理念を、読み直し、何度も修正する

作成した経営理念は、時間を掛けて何度も読み直します。

そして、1週間くらい時間を空けて改めて経営理念を再度読み直すと、言葉の違和感を感じ取れるようになります。
使われている言葉が自分の価値観と照らして正しいのか、じっくり何度も読み込んで下さい。

例え、真似であっても、社長自身の価値観に照らしながら経営理念の「言葉」を選ぶ作業は、経営理念に社長の「魂」を吹き込む最初の行為となります。

社長の「魂」が入ってない経営理念は、作成しても、何も会社は変わらないでしょう。
よって、作成した経営理念を社員に向けて何度も伝え、違和感が無くなるまで、何度も修正して下さい。

真似から経営理念を作成するデメリット

真似から経営理念を作成するデメリットとして、経営理念が社員に浸透しない傾向にあります。
それは、真似から経営理念を作成すると、経営者自身に経営理念が腹落ちしてないため、社長は社員に経営理念を自分の言葉で語れないために、相手に伝わりません。
しかし、真似から経営理念を作成して、最初は借り物でも、長年読み込み、言葉を少しずつ組み替えることで、いずれ自社オリジナルの経営理念に変化していくでしょう。

経営理念は、作成したら「社員に伝え続ける」ことが必須です。
そして、経営理念は日本国憲法と同様で、修正はできるが簡単には修正すべきではないという原則を理解した上で、違和感があれば修正することで、いずれ自社オリジナルの経営理念に育っていきます。

経営者の世の中を良くしたい、社会に貢献したい、社員の幸福を追求したいという本気の想いが、人を動かします。
よって、経営理念が真似であるかは最終的には関係ありません。


6、経営理念を浸透させる方法

経営理念を作成しても、社員に浸透しなければ経営理念の効果は得られません。
経営理念が壁に掲げられているにも関わらず、社員に浸透していないと感じる会社は、周りの知り合いの会社でも、ご存じかと思います。

また社員に、経営理念は何ですかと聞くと、壁に掲げてある経営理念を慌てて読むようでは、経営理念の効果は得られません。

全社員に経営理念が浸透することで、良い社風と強い組織ができ上がり、そして生まれも育ちも違う社員の心が一つになり、全社員が「この会社で働けて幸せです」と心から思える会社にするために、経営理念の浸透は必要です。

しかし、経営理念は、浸透させることが一番難しいことも事実です。

経営理念の浸透が難しいエピソードとして、旧松下電器(現パナソニック)の高橋副社長が、松下電器の労働組合からの依頼で講演をした際に「松下電器の経営理念について」というお題だったそうです。

そのお題を聞いて、労働組合は、「その話は耳にタコができるくらい聞いた。たまには違う話をしてくれ」と言ったそうです。
それに対して高橋副社長は「俺だって同じ話を何度もしたくない。頼むから経営理念を実践してくれ」と言ったという逸話があります。

経営理念を社内に浸透させることは、非常に難しいという事実を、高橋副社長のエピソードでは教えてくれています。
それでは、経営理念を作成した後に、社内に浸透させる方法について見ていきます。

6-1 経営理念の浸透には、経営計画書を作る

経営理念を社員に浸透させる効果的な方法は、経営計画書を作ることです。

経営理念を浸透させるには、経営計画書を作り、経営理念を文章化して、経営計画書発表会を開催して、経営理念並びに経営方針を社員に伝えることが、効果的でしょう。

・経営理念があっても、殆どの中小企業では社員に浸透していないことが多くあります。
・殆どの中小企業では、経営計画書を作成していないケースが多いです。
・もし経営計画書があったとしても、正しく活用できていません。
よって、多くの中小企業では、経営理念を浸透させることができていない場合があるのです。

経営計画書とは、単なる数字の羅列の計画書ではなく、経営理念から未来像、戦略、戦術、数字などが網羅的に書かれている、会社の未来を作る経営方針書です。

経営者自らが経営計画書を作成して、経営計画書を正しく運用することが、経営理念を浸透させる効果的な方法と言えるでしょう。

経営計画書の作り方と運用方法については、こちらをご参照下さい。

6-2 社長自身の行動と理念を一致させる

社員は、常に社長を見ています。
経営理念を社員に浸透させるには、経営者自身が、細かな言動や行動に至るまで、経営理念を実践することが重要です。

経営理念で「お客様第一主義」と言いながら、会社内で社長がお客様の悪口を言っていたら、経営理念を浸透させるのは困難でしょう。
経営理念で「社員の幸福を追求する」と言いながら、社員を平気で解雇しているようでは、経営理念を浸透させるのは困難でしょう。
経営理念で「社員第一主義」と言いながら、社員を毎日夜遅くまで残業をさせている会社では、経営理念を浸透させるのは困難でしょう。

まずは社長自身が、心の底から経営理念が腹落ちしていることが必須であり、社長が腹落ちしていないと、社長の行動と言行に不一致が起こり、社内に浸透させるのは困難でしょう。

経営理念の浸透には、社長の言行一致が必要です。
経営理念で言っていることと、社長の行動を一致させることがスタートとなります。

6-3 経営理念の浸透には、社長が利己的な言動をしない

経営理念の浸透には、社長が利己的な行動をしないことが大切です。
利己的な行動の具体例として、社長の「公私混同」が挙げられます。
例えば、仕事とは関係ない、家族との食事や友人とのゴルフを、会社の経費にしていたら、それは公私混同です。

社長が利己的な行動をしていると、社員に経営理念を浸透させるのは困難でしょう。
経営理念で「社員第一主義」を唱えているにもかかわらず、社長が公私混同をしていると、社長が贅沢することが会社の目的となります。

公私混同をしている社長の姿を社員が見ていると、経営理念が大切であると社長が伝えても、社長自身が経営理念に反する行動をしているために、社長が経営理念を社員に語っても、社員には響きません。
よって、経営者の公私混同が改められない限り、経営理念を浸透させるのは困難でしょう。

さらに、社長の利己的な行動は、経営理念の根幹である、倫理観に反することにもなります。

経営理念を社内に浸透させるには、社長が利己的な行動を改め、公私混同をしないことが大切です。
まずは社長自身の身を律することからはじまります。

6-4 経営理念の浸透には、社長が宣教師になる

経営理念を浸透させるには、社長は、経営理念の宣教師になる必要があります。
経営理念の浸透は、社長自身が率先して経営理念に沿った行動を取り、宣教師として社員に語り伝え続けることで、社内に浸透します。

宣教師という立場は、教祖ではありません。

経営理念を作成するという場面では、社長は教祖でもありますが、社内に経営理念を浸透させるためには、社長は教祖ではなく、宣教師としての立場となります。

宣教師という立場は、例え社内では社長であっても、経営理念の存在が最上位にあり、全てに優先して社長であっても、経営理念を遵守する必要があります。

よって、社長という立場であっても、経営理念を守ることが求められます。
そして、社長は宣教師として社内に経営理念を伝え、さらに宣教師の分身を増やしていくことで、経営理念が社内に広がりを見せ、経営理念が社内に浸透していきます。

6-5 経営理念を浸透させる具体的な方法

経営理念を社内に浸透させるには、上記「6-1」で解説した経営計画書の活用と併せて、「紙で書く」、「朝礼や社内勉強会で伝える」、「仕事中の会話で伝える」などの複数の方法を活用することがお勧めです。

この複数の方法を組み合わせながら、仕事上の個々の場面で経営理念に基づく考え方を社員に伝えることが、社員の浸透には効果的です。

①紙で書く
経営理念を紙に書くことは必須です。
文字化することで、話し言葉で伝えるよりも、確実に、誤りなく相手に伝わります。
経営理念を文字化して、さらに「経営計画書」で経営理念の考え方について肉付けすることで、経営理念の言葉がより正確に相手に伝わるようになります。

②朝礼や社内勉強会で伝える
文字化すること併せて、社長が講師となり経営理念の内容を言葉でも伝えることで、聞き手は理解が深まります。
紙に書かれている経営理念について、社員の側で理解を深めるために、経営理念に掲げた言葉の意図や想いを、経営者自らの言葉で伝えることは、大切です。

③会話で伝える
仕事の上で起こったあらゆる事象について、経営理念に照らして判断すると、どのような解釈になるのか、社員と常に会話することは重要です。
紙に書かれている経営理念を「読む」、朝礼や社内研修で「聞く」だけでなく、実務の場面で社員とコミュニケーションをとりながら会話の中で経営理念を使うことで、経営理念の浸透が徐々に進むでしょう。

社長が、社内でも、社外でも、あらゆる場面で、経営理念を基準として社員との対話の中で伝え続けることが重要です。

一日に何回も、何十回も、そして長期的に、継続的に社長が宣教師として伝え、会話を続けることが経営理念を浸透させるコツです。

6-6 経営理念により社長自身の行動を縛る

経営理念を浸透させる最後の方法は、社長自身の行動を縛ることです。

経営理念に掲げた言葉と、社長自身の行動を一致させることは大変なことですが、経営者自ら経営理念の言葉を発することを通じて、経営理念に対する責任が生じ、社長自身の行動を縛ることになります。

暗い場所から明るい場所は見やすいのと同様に、社員の側から社長は、見えやすい存在です。
社長の行動や言動、一挙手一投足が社員から見られていると思って下さい。

経営理念により、社長自身を縛り、経営理念に掲げた言葉に対しての責任を全うすることで、経営理念が社内に浸透するでしょう。


7、経営理念は、会社を安定成長させる

経営理念を作成し、全社員に浸透させて、仕事のあらゆる場面で経営理念を活用することできれば、社風が良くなり、会社は安定成長していきます。

そこで、経営理念を活用した会社の安定成長のために必要なことを見ていきます。

7-1 経営理念に目標数字を加えることで、会社を安定成長させる

経営理念は、多くの企業では結果的に売上と利益の増加をもたらしているというデータを「2-3」でご紹介しましたが、経営理念を掲げただけでは、本当は売上も利益も増加しません。

会社の成長には「経営理念」に加えて、「目標数字」の視点が必要です。

「経営理念(目的)」×「目標数字」

経営理念は、仕事の「質」を向上させる、定性的な目的です。

会社の成長には、経営理念という定性的な目的である「大義名分」に加えて、定量的な「目標数字」を掛け合わせることで、会社の安定成長が現実のものに近づきます。
経営理念に併せて、目標数字により、PDCAサイクルを活用することで、会社が安定成長できるようになります。

つまり会社の安定成長には、目標数字だけでもダメで、経営理念だけでもダメで、経営理念と目標数字の両方が必要です。

7-2 良い経営理念は、「本業一筋」事業領域の範囲で事業を集中させてくれる

良い経営理念は、他事業への脱線を防ぎ、本業の事業に集中させます。

会社経営をしていくと、本業とは異なる事業に手を出す会社が多く存在します。
しかし、本業以外の事業を行うと、ノウハウが分散します。
他業種のノウハウは乏しいので、現実には利益が出にくくなる傾向にあります。

経営理念には、事業の存在意義や目的を掲げますので、経営理念に従った経営をしている限り、本業の事業領域から外れた事業を行わないでしょう。

経営理念を活用している会社は、事業の範囲が明確化されているために、本業一筋となり、本業以外のビジネスを行わない傾向にあります。
会社の安定成長には、本業の一点突破が大切です。

経営理念を正しく活用している会社は、事業領域が定まっていますので、安易な他業種への参入を防ぎます。
よって経営理念は、本業一筋で本業に専念することを導いてくれ、本業以外への脱線を防ぎます。
本業一筋の経営は、会社の長期的な安定成長へと繋がります。

7-3 経営理念と経営計画書

経営計画書は、会社の未来作りの設計図であり、経営計画書は会社を未来に向けて安定成長させる助けとなる道具です。
会社は、経営理念を実現する為にあります。
そして経営計画書は、経営理念を実現させることにつながる道具です。

経営計画書には、経営理念からはじまり、経営理念を実現させる戦略、戦術、目標数字、方法などが具体的、且つ網羅的に書かれています。
よって、経営計画書は、会社を長期的に安定成長させるには最適な道具と言えるでしょう。

日本中の中小企業が、経営理念を掲げ、経営計画書を活用して、経営理念の実現に向かって「ワクワクした良い会社作り」を実現すること、私たちビジョン税理士法人の夢であり、目的であり、存在意義です。


さいごに

良い会社を作りには、経営者が経営理念に対して、「誰にも負けない強い信念」を持ち、「経営理念を貫き通し」、理念の実現に向けて、社員が本来持っているエネルギーを、引き出すことがポイントです。

経営理念を活用することで、良い社風を作り出し、働いている社員が「この会社で働けて幸せです」と言って頂けるような良い会社作りができることを切に願います。

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