法人税の申告期限・納付期限は決算日の2ヶ月後

新たに会社を設立した事業者さんは、法人税の申告期限・納付期限に戸惑うかもしれません。

一般的な確定申告、個人事業主の所得税の申告期限・納付期限は一律で315日ですから、2月になって意識していた方も多いでしょう。
しかし、法人税の申告期限・納付期限は、法人を設立した際に作成した定款で定めた決算日の2ヶ月後です。
決算日は任意に定められるとはいえ、会社を設立されたからには、従来と異なる日程で、従来と異なる申告を行う必要があるのです。

この記事では、法人税の申告期限・納付期限および、期限ギリギリになった時に知っておくと助かる情報をお伝えします。
また、申告期限・納付期限に間に合わせることを考えると、申告書を提出する方法や納付方法も意識して準備した方がよいです。そのあたりも合わせてお伝えします。

スムーズに申告・納付を済ませられるよう、少しでもお役に立てば幸いです。

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1.法人税の申告期限・納付期限は決算日の2ヶ月後

法人税の申告期限・納付期限は、決算日の2ヶ月後です。

その日が土曜・日曜・休日で税務署が閉まっている日の場合、その次の平日(税務署が開く日)になります。

2023(令和5)年の暦で例示しますと、
・決算日が331日→申告期限は531
・決算日が731日→2ヶ月後の930日は土曜日、翌101日は日曜日なので、申告期限は102
となります。

決算日は、会社の定款で定めたものです。一般的には月末が多く、特に3月・9月・12月末が多い傾向があります。とはいえ、任意の日に定める事が出来るものなので、繁忙期を避けたり、資金繰りの都合に合わせることも可能です。
決算日の2ヶ月後が納付期限ですから、このタイミングで資金繰りが苦しくなることは避けるべきなのです。

消費税の申告期限・納付期限も、決算日の2ヶ月後です。
さらに、地方税である法人事業税・法人都道府県民税・法人市町村民税も、申告期限・納付期限は、国税である法人税と同じく決算日の2ヶ月後の場合が多いです。
それぞれ申告し、納付する手間は大変ですが、こちらも忘れないようにしましょう。


2.期限に間に合わせるために知っておきたい、申告書を提出する3つの方法

申告期限に間に合わせることを考えると、申告を提出する方法を意識して準備することも重要です。

紙の申告書で提出する場合、税務署の窓口に足を運ぶのが確実ですが、他の予定が重なって難しい事もあるはずです。その場合、郵送のルールを知っておけば、より状況に合わせた対応が出来ます。

2-1 税務署の窓口で提出

税務署の窓口に足を運んで提出します。
手間はかかりますが最も確実な方法ですし、ついでに納付もできます。
税務署の収受印を押した申告書の控えは、何かと必要な場面があるので、もらい忘れないようにしましょう。

提出する税務署は、本店所在地である納税地がある場所の管轄税務署になります。
よくわからないのであれば、下記の国税庁のページで検索してみましょう。納税地の郵便番号を入力すれば、その管轄税務署がわかる仕様になっています。

国税庁 税務署の所在地などを知りたい方

国の出先機関である税務署と言っても、場所によっては交通の便が悪かったり、駐車場が無い所もありますのでご注意ください。

2-2 税務署に郵送する

税務署に郵送することも可能です。
送付先は、提出する税務署それぞれのページをご覧ください。
(一部の税務署は、業務の合理化として郵送の送付先が各地の業務センターになっている場合があります。その税務署のページに明記されているので、しっかり確認しましょう)。

国税庁 税務署の所在地などを知りたい方

郵便又は信書便であれば、通信日付印(郵便の消印)の日付が提出日となります。
例えば331日に郵便局に出して、その日の消印が押されていれば、税務署への到着が42日になっても、331日に提出されたとなるわけです。
宅配便やメール便は「信書便」に当たらないので、税務署への到着日が提出日になってしまいます)。

国税庁 申告書の税務署への送付

※税金の申告書など厳密な日付が重要な書類は、提出の手間=地理的な公平さが問題になります。そこで郵便または信書便で提出された場合は、通信日付印(郵便の消印)により表示された日を提出日とみなす「発信主義」が法的に認められています。

国税庁 税務手続に関する主な書類の提出時期の一覧

他に、郵送の場合の注意点として、この4点があります。
郵便ポストに投函すると、収集後の押印になるので、翌日以降に押印される可能性がある(そのため、郵便局の窓口で出した方が確実)。
・きちんと届くか心配であれば、特定記録や簡易書留を利用する。
申告期限が地方税と重なるので、税務署宛に都道府県用の申告書を送るような間違いにも気を付ける
・税務署の収受印を押した申告書の控えは、何かと必要な場面があるので、切手を貼った返信用封筒も同封して、控えを送り返してもらえるようにする。

2-3 電子申告

e-tax(国税電子申告・納税システム)に登録していれば、電子申告も可能です。
(現在、資本金が1億円を超える大法人は、電子申告が義務になっています。)

当日中までに送信すればよいわけですが、申告期限ギリギリはアクセスが集中して重くなりやすいといわれます。通信状況やエラー等も見越して、少し余裕を持つことをおすすめします。


3.税務署の窓口が閉まった後でも申告書を提出する方法

税務署の窓口は、17時で閉まります
もしも、申告期限当日ギリギリで窓口に駆け込むつもりで間に合わなかった時のために、覚えておきたい方法をお伝えします。

3-1 税務署の「時間外文書収受箱」に入れる

税務署の入口付近には「時間外文書収受箱」という大きなポストがあります。
税務署が閉まった後の夜間だけでなく、休日などいつでも税務署に書類を提出できます。
このポストは次の開庁日、税務署が開く朝に中身を回収し、その際に前日の収受印が押されることになっているので、申告期限当日の夜中ギリギリに投函して、申告を済ませることも可能です。

他に、時間外文書収受箱を使う場合の注意点として、この3点があります。
・他の書類と混ざらないように、きちんと封筒などに入れて「時間外文書収受箱」に投函する。
・封筒には「申告書在中」のように書いておくと良い。
・税務署の収受印を押した申告書の控えは、何かと必要な場面があるので、切手を貼った返信用封筒も同封して、控えを送り返してもらえるようにする。

3-2 “大きい”郵便局の窓口を利用する

先ほど2章で見たように郵送ならば、通信日付印(郵便の消印)の日付が提出日となるので、申告期限当日でも郵便局の窓口が開いているうちに出す方法もあります。各地にある“大きい”郵便局は、税務署の窓口より遅くまで開いているか、「ゆうゆう窓口」という時間外窓口があるので、それを利用します。

例えば、地方税(都道府県と市町村)の申告期限もギリギリならば、税務署を含めて3ヶ所回るよりも、郵便でまとめて出した方がよい場合もあるでしょう。

その際の注意点として、切手を貼って持ち込んだ場合、郵便局によってはその場で消印を押さず、翌日まとめて押印される場合があります。念のため係の人に確認して、消印を押してもらいましょう。
(切手を貼らずに持ち込み、窓口で料金を払えば、その場で当日の日付入り証紙を貼ってくれます。料金不足の心配もいらないので、この方が安心です。)

郵便局の窓口が開いている時間は、場所によって異なります。
例えば東京駅前にある東京中央郵便局は、平日21時まで開いています。
弊社の地元である戸塚郵便局は、平日19時まで開いています。(20232月現在)

日本郵便株式会社のホームページで、お近くの「ゆうゆう窓口」のある郵便局と、その時間を確認してみましょう。

ゆうゆう窓口・集荷に関する連絡先を調べる


4.状況に応じて使い分けたい6つの納付方法

かつては納税といえば窓口納付が当たり前でしたが、近年では24時間利用可能な納付方法も増えました。
申告期限と納付期限は同じ日ですから、ギリギリになった場合、ご自身の状況に合った方法で納付まで済ませましょう

詳細はリンク先の国税庁の説明をご覧いただくとして、この章では簡単にご紹介します。

 

支払

時間

領収書

他の注意点

コンビニ納付

現金

コンビニの営業時間

不可

納付書発行の手間がかかる

スマホアプリ納付

ネット決済

24時間

不可

決済サービスが6つだけ

クレジットカード納付

ネット決済

24時間

不可

手数料がかかる

電子納税

ネット決済

e-tax利用時間内

不可

e-taxで申告すれば利用可能

税務署の窓口で納付

現金

17時で終了

発行可

 

金融機関の窓口で納付

現金

金融機関の営業時間

発行可

多くの銀行は15時で閉まる

4-1 コンビニ納付

コンビニエンスストアは24時間営業が多いので、納付期限ギリギリの際に助かりそうな印象ですが、少し注意が必要です。
・コンビニ支払いでおなじみのバーコード付き納付書は、あらかじめ税務署に申請しておかないと発行されません。
・もう1つのコンビニ納付の方法として、国税庁のホームページで自らQRコードを発行し、その画面もしくは印刷したもので、コンビニ店舗の端末などで納付書を作成し、納付する方法もあります。
なお、コンビニ納付で発行されるのは「払込金受領証」です。領収書は発行されません。

国税庁[手続名] コンビニ納付(QRコード)

4-2 スマホアプリ納付

d払い、aupayなど6つの決済サービスに限られますが、スマホアプリ決済による納付も可能になりました。
ネット上の「国税スマートフォン決済専用サイト」での手続で納付するというものです。
24時間利用可能なので、納付期限ギリギリの際に助かりそうですが、通信状況などに注意が必要です。
別途手数料はかかりませんが、1回の納付額が30万円まで、領収書が発行されない制限もあります。

国税庁[手続名]スマホアプリ納付の手続

4-3 クレジットカード納付

クレジットカードによる納付も可能ですが、税務署の窓口などでカードが使えるわけではありません。
ネット上の「国税クレジットカードお支払サイト」での手続で納付するというもので、24時間利用可能です。
納税額に応じて手数料が加算される方式なので、他の方法に比べて割高ですし、領収書も発行されません。

国税庁[手続名]クレジットカード納付の手続

4-4 電子納税

e-taxを利用して申告したのであれば、電子納税も可能です。e-taxの利用時間内の納付ができます。

電子納税 | 【e-Tax】国税電子申告・納税システム(イータックス)

4-5 税務署の窓口

申告のために税務署に足を運んだら、一緒に納付を済ませる事も可能ですが、17時で閉まってしまいます。なお、領収書は発行されます。

4-6 金融機関の窓口

あらかじめ納付書をきちんと作成しておき、金融機関の窓口で納付する方法です。
納税資金を口座からおろすついでに納付できますが、多くの銀行の窓口は15時で閉まってしまいます。なお、領収書は発行されます。


5.法人税の申告期限・納付期限は延長できる場合がある

5-1 災害などを受けて、国税庁が申告期限・納付期限の延長を決定する場合

広域的な災害などがあると、国税庁が地域や期間を区切って申告期限・納付期限の延長を決定することがあります。
この場合、その対象地域・期間に該当するのであれば、自ら申請する必要はありません。

5-2 災害などを受けて、自身で申告期限・納付期限の延長を申請する場合

国税庁の決定が無くても、災害などやむを得ない理由があれば、自ら税務署に申請することで申告期限・納付期限の延長ができます。
申請の提出時期は「やむを得ない理由がやんだ後相当の期間内」と定められているので、期限を過ぎてしまった後でも、申請は可能です。
事態が落ち着いてから税務署に相談し、税務署も状況を総合的に判断する流れになるでしょう。
詳細は、国税庁の案内をご覧ください。

国税庁[手続名]災害による申告、納付等の期限延長申請

5-3 申告期限の延長の特例を申請する場合(納付期限の延長は不可)

法人税の申告は、確定した決算に基づいて行う必要があります。しかし、
・会計監査などによって、申告期限内に決算の確定が間に合わない
・定款に「事業年度終了後3ヶ月以内に定時株主総会を開催する」と定めている株式会社の場合、申告期限内に定時株主総会を開催できず、決算の確定が間に合わない
という場合に「申告期限の延長の特例」によって、申告期限を最大1ヶ月延長することもできます。
これを利用するには、決算日までに「申告期限の延長の特例の申請書」を税務署に提出する必要があります。

国税庁[手続名]定款の定め等による申告期限の延長の特例の申請

ただし、この手続きで延長できるのは申告期限のみです。納付期限は延長できないので、申告より先に納税する「見込納付」をしないと、利子税などがかかってしまいます。
見込納付とは、申告で税額を確定していない段階で “大体このくらいであろう”という見込で納付する方法です。株主総会の後に申告して、見込納付額が実際の税額より多ければ、払いすぎた分の還付を受けられます。


まとめ

法人税の申告期限・納付期限は、決算日の2ヶ月後です。

申告については、
郵便又は信書便の場合、消印の日付=提出日になる
税務署の窓口が閉まっていても「時間外文書収受箱」に出すこともできる
という2点を覚えておきましょう。

納付については、24時間利用できるサービスも増えているので、ご自身で利用しやすいものをお選びください。

このあたりを心得ていれば、仮にギリギリになっても少し安心できるというものですが、思わぬ手違いということもあるので、期限まで余裕を持って申告・納付するに越したことはありません

最近は、利便性が高まったクラウド会計ソフトもありますが、最終的には期限を気にしつつ自力で行う必要があります。
申告の負担を減らして事業に専念されたいのであれば、税理士に依頼することも検討されてはいかがでしょうか?

 

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