資金繰りとは?その意味と必要性、正しい資金繰り法などをくわしく解説

 

「会社経営で『資金繰り』という言葉をよく使うけれど、本当はどういう意味だろう?」
「資金繰りってどうすればいいもの?」

企業の経営者や財務担当者の方の中にも、そんな基本的な疑問を抱えている人は意外に多いのではないでしょうか。

「資金繰り」をひと言で説明すると、「企業が持っている『資金』に関して、その収入と支出を管理し、資金が不足しないように上手に運用・調整すること」です。

この「資金」とは、「現金」と「すぐに現金化できる資産」を指しますので、簡単に言えば「現金の流れの管理」とも言えるでしょう。

資金繰りは、事業運営において非常に重要です。
もし資金繰りがうまくいかなければ、手元に現金が不足して取引先への支払いができなくなったり、従業員への給与が支給できなくなったりする恐れがあります。
最悪の場合は、倒産につながりかねません。

そのため経営者や財務担当者は、つねに資金繰りを健全に保つように努めなければならないのです。

そこでこの記事では、資金繰りについて深く理解し、うまく回せるようになるために、必要なポイントを網羅しました。

まず最初に、

◎「資金繰り」の意味
◎資金繰りの必要性
◎資金繰りと「キャッシュフロー」「収支」「資金調達」との違い
◎資金繰りと「黒字倒産」の関係

をわかりやすく説明して、資金繰りについての理解を深めてもらいます。それを踏まえて、

◎資金繰りを健全に保つ8つのポイント
◎資金繰りが悪化する5つの原因と改善策
◎資金繰り表のつくり方
◎資金調達3つの方法

といった実践的なノウハウも解説していきます。

最後まで読めば、資金繰りとは何か、どうすればうまくいくのかがわかるはずです。
この記事で、あなたの会社の資金繰りが良好に回っていくよう願っています。

1. 資金繰りとは

まず、「資金繰り」という言葉の意味を考えてみましょう。

広辞苑よると、「資金の過不足をきたさないようにすること。
特に企業では現金収支の均衡・調和を図ること」
と書かれています。

もう少しわかりやすく言えば、

「資金繰り」とは ───

企業が持っている「資金」に関して、その収入と支出を管理すること。さらには、資金が不足しないように上手に運用・調整すること。

だと言えます。

ちなみに「資金繰り」を理解するためには、そもそも「資金」とは何かを正確に理解しておく必要もあります。
その意味は、以下の通りです。

「資金」とは ───
企業が所有している資産のうち、現金またはすぐに現金化できるもの。現金、預貯金、コマーシャルペーパー、公社債投資信託などが含まれる。

逆に、すぐに現金化できないもの、たとえば売掛金、貸付金、株式、棚卸資産、不動産など「資金」以外の「資産」である。

「資金」と「資産」を図式化すると、

 

という位置づけだと考えればいいでしょう。

「資金繰り」とは、あくまで「資金」のみの出入りを管理することであって、そこには売掛金や棚卸資産などの「資産」は含まれないということを覚えておいてください。

1-2. 資金繰りの必要性

この「資金繰り」は、企業経営において非常に重要なものですが、それはなぜでしょうか?
その理由は以下の3つです。

1-2-1. 毎月の支払いが発生するため

第一には、現金での取引や従業員の給与支払いのために、つねに十分な資金を用意しておく必要があるからです。
もし資金繰りがうまくいかず、資金が足りなくなる=ショートしてしまうと、必要な支払いができなくなってしまいます。
そうならないよう、先を見越して資金の流れを調整しなければなりません。

1-2-2. 融資審査に通るため

また、企業を経営する上で、金融機関からの融資は欠かせませんが、融資審査ではこの資金繰りがきちんと行えているかどうかが重視されます
資金繰りが危うい企業は、返済が滞るリスクがあるため、審査のハードルは高くなるでしょう。
スムーズに融資を受けるためには、健全な資金繰りを行う必要があるのです。

1-2-3. 黒字倒産を回避するため

さらに、「黒字倒産」を避けるためという理由もあります。
「黒字倒産」とは、帳簿上の利益が黒字であっても、資金が不足してしまったために倒産することで、日本の企業ではこのケースが意外に多くあります。
これについては、「1-6. 資金繰りと「黒字倒産」の関係」でくわしく説明しますので、そちらを参照してください。

以上のような理由で、資金繰りは企業にとって欠かせない重要事です。
これがうまくいかなければ、経営危機に陥るか、最悪の場合は倒産に至ってしまいます。
「利益は黒字だから大丈夫」と安心せずに、実際の資金の流れを正しく管理してください。

1-3. 資金繰りと「キャッシュフロー」の違い

さて、資金繰りと似た言葉に「キャッシュフロー」があります。
中にはこのふたつを混同して使っている人もいるようですが、実際には異なる意味をもっているのです。
では、その違いは何でしょうか?

「キャッシュフロー(cash flow)」を直訳すると「現金の流れ」で、一見すると資金繰りと同じ意味にとれます。が、両者の違いを簡単にいうと、

資金繰り

今後いくら入金がありいくら支出しなければならないのかを把握して、資金不足がないように調整すること

キャッシュフロー

今までいくら入金がありいくら支出したかを把握すること

です。

言い換えると、資金繰りは未来のお金の流れの管理キャッシュフローは過去のお金の流れの記録、となります。

とはいえ、もちろん両者は無関係ではありません。
キャッシュフローを記録した「キャッシュフロー計算書」を見直すことで、資金の流れの問題点を洗い出したり、今後の資金繰りの予測を立てたりすることができるのです。

つまり、健全な資金繰りを行うためには、キャッシュフローを把握することが欠かせない、というわけです。

1-4. 資金繰りと「利益」の違い

もうひとつ、資金繰りと混同されがちなのが「利益」です。

「利益」とは「収入と支出」のことですから、資金繰りと重なりますよね。
ですが、厳密には以下のような違いがあります。

資金繰り

資金=現金もしくはすぐ現金化できるものに関する収入と支出の管理・調整

利益

売掛金や買掛金など資金ではないものも含めた収入と支出

たとえば、資金繰りでは現金(またはすぐ現金化できるもの)でのやりとりのみを考えるため、収入がある=現金が手元に入ることになります。
一方利益では、売掛金も収入とされるため、「今月収入があった」といっても実際に手元に現金が入るのは数か月先になるわけです。

そのため、利益だけを見て「黒字になっている」と思っても、実際には売掛金が多くて手元に現金が足りなくなったり、売掛金を回収できずに資金繰りが行き詰ってしまう恐れもあります。

そんなリスクを避けるには、つねに必要な現金が手元に残るよう、適切な資金繰りを行う必要があるのです。

1-5. 資金繰りと「資金調達」の違い

さらに、「資金調達」もまた資金繰りと同一視されやすい言葉です。
その違いは以下の通りです。

資金繰り

必要な資金が不足しないように管理・調整する

資金調達

必要な資金が足りない場合に、不足分を用意する

言い換えると、「資金調達」は資金不足の際に、融資や出資などを受けることでそれを補うことです。
資金繰りは、できれば資金不足に陥らないよう、資金の流れを調節することですが、もし不足しそうになれば、それを補うことも含まれます。

つまり、資金調達は資金繰りの一環として行われるもの、といえるでしょう。

中小企業の経営者や個人事業主の中には、つねに「資金調達」に頭を悩ませている人も多いようです。
が、本来は資金調達の前に、資金繰りを正しく行うことこそが重要です。資金繰りをうまく管理できていれば、「売掛金が予定通りに入らず、今月の支払ができない」といった急な資金不足に陥ることはなく、したがって無理な資金調達に苦しむ必要もなくなるからです。

資金が足りなくなってから資金調達に走るのでは、資金繰りがうまくいっているとは言えません。
つねに資金の出入りを正しく把握することで、「〇月ごろに資金が足りなくなりそうだ」という場合も事前に気づくことができるようになります。

そうすれば、売掛債権を回収したり、手持ちの資産を売却するなど、あらかじめ資産を現金化して資金不足を回避できるかもしれません。

資金調達に走り回るようになってしまう前に、まずは資金繰りを見直すことが重要なのです。

ちなみに資金調達については、「6. 資金調達 3つの方法」でも触れていますので、そちらも参照してください。

1-6. 資金繰りと「黒字倒産」の関係

「1-2. 資金繰りの必要性」でも少し触れましたが、資金繰りを語る際にかならず引き合いに出されるのが「黒字倒産」の危険性です。

資金繰りがうまくいかずに手元に現金が足りなくなると、たとえ利益が黒字でも倒産してしまうケースがあるのです。
それを回避するためには、適切に資金繰りを行うことが必要になります。

では「黒字倒産」とは何なのか、わかりやすく説明しましょう。

一般的に「倒産」は、「赤字が積みあがって事業が回らなくなったとき」に起こると思われがちです。
そういうケースも多いでしょうが、実際には「黒字なのに倒産」する企業も数多くあるのです。

以下のグラフは株式会社東京商工リサーチによる「2019年「倒産企業の財務データ分析」調査」のデータです。

これによると、2019年に倒産した企業は545社あり、そのうち赤字で倒産したのは288社、全体の52.8%にすぎません。
残る257社、47.2%は黒字なのに倒産しています。

倒産企業のうち、実に半数近くが「黒字倒産」というのですから、「うちは黒字経営だから」という企業も安心してはいられませんよね。
一方で、上記のグラフを見ると「生存企業」、つまり倒産せずに事業を継続できている企業でも、2割以上は赤字です。
「赤字=倒産/黒字=優良経営」ではないことがよくわかります。

では、倒産というのはなぜ起こるのでしょうか?
それは、「企業が支払い能力を失い、事業を続けられなくなった場合」です。
そして、黒字経営であっても、「支払い能力がない=手元に現金がない」状態に陥ることはままあるのです。

たとえば、現金取引しか行わない企業を考えてみましょう。
その場合、売上はすなわち現金収入で、会社の「資金」となりますから、いつでも支払いに回すことができますよね。

ですが、日本ではそういう企業は多くなく、掛け売りで取引している企業がほとんどだと言われています。
そのため、売上があっても、実際に入金されるのは数か月先、ときには1年先ということもよくあります。

そうなると、利益は黒字であっても、手元に現金は入りません

一方で、仕入代金や従業員への給与などの支出はコンスタントに必要です。
その結果、「利益は黒字なのに、支払いができずに倒産」=「黒字倒産」ということになってしまうわけです。

そこで重要になるのが「資金繰り」です。
黒字倒産を避けるためには、つねに必要な資金が手元に残るように調整しなければなりません。
つまり、収支だけに着目せず、現金の流れを把握して、適切に資金繰りを行うことが必要なのです。

2. 資金繰りを健全に保つ8つのポイント

 

ここまでで、資金繰りとは何か、なぜ必要なのかを理解してもらえたかと思います。
では、実際に資金繰りを健全に保ち、つねに手元に必要な現金を残しておくためには、何をすればよいのでしょうか?

そこで留意すべきポイントは、以下の8つです。

 1. 資金とその流れを把握する
 2. 取引の際には信用調査をする
 3. 売掛金はかならず回収する
 4. 不要な資産を資金化する
 5. コストを削減する
 6. 資金調達をする
 7. 資金繰り表を作成する

では、ひとつずつ説明していきましょう。

2-1. 資金とその流れを把握する

まず最初に、

◎自社には資金がいくらあるのか
◎月々の入金と支払いはいくらくらいか
◎入金と支払いのサイト(期間)はどうなっているか

を正確に把握しましょう。
これらを知ることで、資金の流れの全体像が見えてきます。
その中から、問題点や改善点が見つかるはずです。

たとえば、「入金のサイトは数か月間と長いのに、支払いのサイトが短いので、たびたび資金が不足する」という場合には、支払いサイトを長く、入金サイトを短くしてもらうよう取引先に交渉しましょう。

また、「そもそも手元の資金が少ない」というケースなら、融資や出資を受けたり資産を売却するなど、資金調達をする必要があるかもしれません。
これについては、「6. 資金調達 3つの方法」を参照してください。

とにかく資金繰りの第一歩は、資金の流れを正確につかむことだと覚えておきましょう。

2-2. 取引の際には信用調査をする

「新しい取引先と契約したのはいいが、さっそく入金が遅れている」という経験はありませんか?
または、「今まで順調に入金してくれていた取引先が、最近少し入金遅れするようになった」と不安に感じることはないでしょうか?

新規の取引をする場合や、既存の取引先に不安を感じた場合には、信用調査をしてみてください。

たとえば、

◎商業登記簿謄本で業歴、資本金などを確認する
◎帝国データバンクや東京商工リサーチといった信用調査会社の保有する企業情報を取得する

などの方法で調べることができます。
その結果、経営状態に問題がない企業とのみ取引するようにすれば、「売掛金を回収できない」といったリスクは減らせるでしょう。

信用調査は多少の手間ではありますが、資金繰りを悪化させないためには、できるだけ実施しておくことをおすすめします。

2-3. 売掛金はかならず回収する

また、売掛金は入金期日までにかならず回収することも心がけてください。
入金期日は厳守するよう取引先に伝え、1日でも遅れた場合はすぐに督促の連絡をしましょう。

もし「少し遅れているけれど、じきに入金してくれるだろう」などと考えて放置していると、先方からは「多少の遅れは待ってくれる相手だ」とみなされて、支払いを他社の後回しにされてしまうかもしれません。
そうなると、こちらの資金繰り計画も狂ってしまいます。
そんなことのないよう、売掛金は期日までにかならず回収する必要があるのです。
すでに未回収の売掛債権がたまっている場合は、早急に回収して資金繰りを正常に戻してください。

2-4. 不要な資産を資金化する

前述したように、企業の資産は「資金」だけではありません。
不動産や株式、在庫や売掛債権なども「資産」です。

が、それらはすぐに現金化できないため、「資金繰り」に組み込むことはできませんでしたよね。
ならば逆に、これらを先に現金化、つまり「資金」にしてしまえばいいのです。

もし使っていない建物や車などがあれば、思い切って売却してしまいましょう。
有価証券を現金化するのもいいでしょう。
在庫は抱えているだけでも経費がかかりますので、余剰分は処分します。売掛債権や貸付金が残っていれば、早急に回収してください。

これで手元の資金を増やすことができれば、資金繰りに余裕ができるはずです。

2-5. コストを削減する

入金を正常化すると同時に、出ていくお金も見直す=コスト削減をする必要があるでしょう。

もし、商品の仕入費用や材料費が大きな割合を占めている場合は、無駄な在庫をなくして必要分を仕入れるようにします。
家賃や人件費も、抑えることができるかもしれません。
もちろん消耗品などの細かい経費も、無駄があれば徹底的に削りましょう。

ただ、あまりに削減しすぎて、従業員に余計な負担がかかったり、モチベーションが下がってしまうようなことは避けなければなりません。
社内の意見も聞きながら、適切なコスト削減を行ってください。

2-6. 資金調達をする

ただ、ここまで挙げた方法を踏まえた上で、「そもそも手元の資金が足りないし、現金化できる資産もない」というケースもあるでしょう。
そんな場合は、外部からの資金調達を検討してください。

具体的には、

◎銀行など金融機関からの融資を受ける
◎他企業や投資家などから出資を受ける
◎公的な助成金や補助金を受ける

などさまざまな方法があります。

これについては、「6. 資金調達 3つの方法」でくわしく説明しますので、そちらもぜひ参照してください。

2-7. 資金繰り表を作成する

最後のポイントとしてかならず行ってほしいのが、「資金繰り表」の作成です。

「資金繰り表」とは、自社の資金の流れを表にして可視化するものですが、「決算書」(財務諸表)には含まれません。
決まったフォーマットもなく、かならず作らなければならないものでもないのです。

が、「2-1. 資金とその流れを把握する」で説明したように、自社の資金の流れを整理するためには、資金繰り表をつくることが不可欠だといえます。
これをもとに、自社の資金繰りの問題点を洗い出したり、今後の資金繰りを予測したりできるからです。

資金繰り表については、「4. 資金繰り表のつくり方」でさらにくわしく解説しますので、そちらを参照してください。

3. 資金繰りが悪化する5つの原因と改善策

 

前章では、資金繰りを正しく行うためのポイントを挙げました。
が、それでも資金繰りが悪化してしまう場合はありますよね。
それはなぜでしょうか?

この章では、資金繰りが悪化する原因と、それぞれに対する改善策を解説します。

3-1. 赤字経営

資金繰りが悪化する原因としてもっとも多いのは、赤字が続くことです。売上が減少しても、人件費や家賃などの固定費は支払い続けなければならないため、資金が不足してしまうからです。

この場合は、そもそも経営を見直す必要があります。
赤字経営から脱却するにはどうすればいいか、無駄をなくし、販路を広げ、ときには事業内容の転換も検討する必要があるかもしれません。
資金繰りと並行して、経営の立て直しをはかってください。

3-2. 急激な売上減少

また、それまでは順調に黒字が続いていても、何かのきっかけで売上が急激に減少してしまうことで、資金繰りが悪化する場合もあります。

「新しい製品を発売したが売れなかった」といった自社の失敗によるケースもあるでしょうが、「主要取引先の経営が悪化した」など、外的な要因によるケースも考えられます。
今回の新型コロナウイルスによる旅行業や飲食業への打撃などもこの一例です。

こういった場合は、自社でできる経営努力をすると同時に、公的な補助金や融資を受けることも検討してみるといいでしょう。
たとえば、中小企業や個人事業主向けには、日本政策金融公庫がさまざまなセーフティネット融資制度を設けています。
以下のサイトから、利用できる制度はないか探してみてください。

◎日本政策金融公庫「融資制度一覧」
◎中小企業向け補助金・総合支援サイト「ミラサポplus」(経済産業省・中小企業庁)

3-3. 急激な売上増加

反対に、売上が急激に増えたせいで資金繰りが悪化するケースもあります。

たとえば、通常は毎月千万単位の取引しかない企業が、億単位の案件を受注したとします。
となると、材料や商品の仕入にかかる費用も通常の何倍にも及ぶでしょう。
一方で、億単位の売上の入金は数か月先、場合によっては1年以上先になるかもしれず、それまでの間に、仕入にかかる費用や人件費などが資金繰りを圧迫してしまうわけです。
最悪の場合、資金がショートして「黒字倒産」になりかねません。

このリスクを回避するためには、どうすればいいのでしょうか?
まず、大口の取引を受ける前に、資金繰りに無理が出ないか慎重に検討してください。
その上で、資金が足りなくなるようであれば、銀行から融資を受けるなどして不足分の資金を調達しましょう。
さらに、取引相手に対しては、入金サイトをできるだけ短くしてもらうよう交渉するといいでしょう。

それでも資金繰りの見通しが立たなければ、受注額・受注量を減らしたり、場合によっては取引をあきらめる勇気も必要です。

 

3-4. 無理な借入による返済金

資金繰りをうまく回すためには、「2-7. 資金調達をする」で触れたように、銀行など金融機関から融資を受けるのもひとつの方法でしたよね。
ですが、借り入れが多額になりすぎると返済額も大きくなり、資金繰りを悪化させる恐れがあります。

「資金不足になったら、融資を受ければいい」と考えてしまいがちですが、この考えはリスキーです。
自社の資金の流れをつねに把握して、借入は無理なく返済できる範囲にとどめてください。

3-5. 無理な設備投資や事業拡大

赤字経営を改善させようとして、もしくは黒字経営でより利益をあげようとして、新たに設備投資を行ったり事業規模を拡大したりすることはよくありますよね。
これもまた、資金繰り悪化の要因になる恐れをはらんでいます。

というのも、設備投資にも事業拡大にも資金が必要です。
そこに投資することで、手元の資金は大きく減りますし、もし銀行などから融資を受けた場合には、毎月の返済が発生します。

結果として売り上げが上がればいいのですが、もし計画通りに増収できなかった場合は、資金繰りが苦しくなるでしょう。

設備投資や事業拡大を計画する際には、すぐに結果が出なくても資金繰りに詰まらないよう資金に余裕をもつなど、慎重に検討してください。

4. 資金繰り表のつくり方

「2-8. 資金繰り表を作成する」では、ぜひ資金繰り表をつくってほしいとおすすめしました。
そこでこの章では、資金繰り表のつくり方についてくわしく説明したいと思います。

資金繰り表とはどんなものなのか、どんな項目を入れてつくればいいかを順番に解説していきますので、以下にしたがって作ってみてください。

4-1. 「資金繰り表」とは

最初に「資金繰り表とは何か」について、あらためて説明しましょう。

ひと言でいえば、「資金≒現金について、収入と支出を表にしたもの」です。
資金とは、前述したように「資産のうち、現金またはすぐに現金化できるもの」ですが、資金繰り表で扱うのはほぼ現金です。
月ごと、日ごとなどに分けて、現金での「収入」と「支出」がいくらあったかを表にまとめます。

前述しましたが、この資金繰り表は「決算書(財務諸表)」には含まれません
企業が必要に応じて任意で作るもので、決まった書式や必須項目などもありません。

ですが、最低限必要な項目など、一般的なつくり方はあります。
この章では、「月次資金繰り表」を例に紹介しておきましょう。

4-2. 資金繰り表の項目

まず、資金繰り表にはどんな項目を立てればいいのでしょうか?
事業内容によって多少異なりますが、おおむねベースとなるのは以下の項目だと考えてください。

項目

概要

前月繰越金

前月から繰り越された資金

収入

現金売上

売上のうち、現金で受け取った代金

売掛金の回収

以前の掛取引での売却代金を回収したもの

手形期日入金

手形の支払期日が来て入金された代金

手形割引

手形を支払期日前に第三者へ裏書譲渡して現金化したもの

前受け金

商品代金などの一部、または全部を前払いで受け取ったもの

その他の営業収入

上記以外の現金収入

営業収入計

上記の営業収入の総計

支出

現金仕入

売掛ではなく現金で決済した仕入れ代金

買掛金の支払

以前の掛取引での仕入代金を支払ったもの

手形期日決済

手形の支払期日が来て支払った代金

未払金の支払

後払いにしていた仕入代金を支払ったもの

人件費

従業員への給与や社会保険料など

その他の営業支出

上記以外の現金支出

税金支払

法人税や事業税、消費税など各種税金の支払い

営業支出計

上記の営業支出の総計

収入

借入金

銀行などから借入をした融資金

その他の財務収入

受取利息、受取配当金など

財務収入計

上記の財務収入の総計

支出

借入金の返済

銀行などから借り入れている資金の返済金

その他の財務支出

支払利息、配当金支払など

財務支出計

上記の財務支出の総計

翌月繰越金

上記の収支を計算して、翌月に繰り越しとなる資金

以上の項目を立てたら、それぞれに金額を記入します。

4-3. 資金繰り表の見方

上記のように資金繰り表をつくったら、それをもとに資金の流れを把握します。
その際、チェックするべきポイントは以下の通りです。

◎営業収支がプラスかどうか
営業収支がプラスであれば、事業がうまく回って資金も不足していないので、資金繰りは健全です。
もしマイナスが続くようであれば、事業がうまく回っていないことを表わしていますので、「2. 資金繰りを健全に保つ8つのポイント」であげた対策で立て直しをはかりましょう。

◎営業収支と財務収支のバランス
営業収支と財務収支のプラス・マイナスのバランスも重要です。
その組み合わせによって、以下のように判断できます。

営業収支

財務収支

プラス

プラス

営業活動での収支、財務収支ともにプラスなので、手元に十分な資金がある
資金繰りは順調

プラス

マイナス

営業活動では収益が上がっているが、銀行からの借入金の返済などで財務収支はマイナスになっている
返済ができていれば、資金繰りは問題なし

マイナス

プラス

営業活動で収益が上がっておらず、銀行などからの借り入れが増えて財務収支がプラスになっている
資金繰りはやや危険
今後、借入金の返済が続くため、営業収支をプラスにする必要がある

マイナス

マイナス

営業活動で収益が上がっておらず、銀行などから借り入れもできていないので財務収支もマイナスになっている
資金繰りは非常に悪化していて、早急な立て直しが必要

上記のように、大きな流れを把握したら、さらに細かく、

◎売掛金の回収はうまくいっているか
◎人件費、経費などの支出は大きすぎないか
◎借入金の返済額に無理はないか

などをチェックします。
その上で、改善できる部分を見つけて対策を取りましょう。

5. 資金調達 3つの方法

ここまで、資金繰りについてさまざまな視点から解説してきました。
が、結局のところ、資金繰りに詰まった多くの場合に必要となるのは「資金調達」ですよね。
そこで最後に、資金調達の主な方法を3つ紹介しておきましょう。

5-1. 融資を受ける

まず、金融機関から融資を受けるという方法がありますよね。
融資元は多種多様で、

◎銀行
◎信用金庫、信用組合
◎日本政策金融公庫など政府系金融機関
◎地方自治体の制度融資
◎消費者金融などノンバンク

などがあります。

資金調達で融資を受ける際には、「無理なく返済できるかどうか」を第一に考えなければなりません。
そのため、なるべく低金利で長期返済できる融資元を探しましょう。

5-2. 補助金・助成金を受ける

国や地方自治体、民間の各種団体などが提供している補助金・助成金を利用するのもおすすめです。
というのも、これらは融資とは違って返済する必要がないからです。

補助金・助成金を受けるには、それぞれ受給資格があるので、自社に合ったものを探しましょう。
以下のサイトでさまざまな補助金・助成金を検索できますので、利用してみてください。

J-Net21「支援情報ヘッドライン」(中小企業基盤整備機構)
ミラサポplus(経済産業省・中小企業庁)

6. まとめ

いかがでしたか?
資金繰りとは何か、経営者、財務担当者として何をすべきかを理解してもらえたかと思います。
では最後に、記事の内容をまとめてみましょう。

◎「資金繰り」とは、企業が持っている「資金」に関して、その収入と支出を管理し、資金が不足しないように上手に運用・調整すること
◎資金繰りを健全に保つポイントは、
・資金とその流れを把握する
・取引の際には信用調査をする
・売掛金はかならず回収する
・不要な資産を資金化する
・コストを削減する
・資金調達をする
・資金繰り表を作成する
◎資金繰りが悪化する理由は、
・赤字経営
・急激な売上減少
・急激な売上増加
・無理な借り入れによる返済金
・無理な設備投資や事業拡大

これらを踏まえて、あなたの会社の資金繰りがうまくいくよう願っています。

1ヶ月間の税理士顧問お試し「無料」体験|トライアル実施中

資金繰り、融資、数字、経営、税金などで、お困りではないですか?

「キャッシュ(お金)」に強い会社になる為に、資金の問題点を明らかにして、銀行目線の格付評価と資金繰りの改善点をお伝えします。
・資金繰りの問題を、根本から改善したい。
・社員と一体感のある経営を目指したい。
・借入を返済しても、借入自体が減らず、お金が貯まらない。

1ヶ月間のお試し税理士顧問では、次のお悩みを明らかにします!

・現預金は、いくらあれば大丈夫なの?
・売上は順調なのに、お金が貯まらない!
・生き残る為に必要となる「売上」と「利益」はいくらなのか?
・銀行からの評価は、どこを改善すれば良くなるのか?

「今の税理士でいいのかな?」と、不満や物足りなさを感じたことはありませんか。
● データや資料の作成、報告が遅い
● 決算直前にならないと納税額が分からない
● ミスが多い!担当がコロコロ変わる
● 単なる事務代行屋。税金の計算と集計のみ
● 税務調査で、頼りないと感じた
● サービスと顧問料のバランスが悪い
● うまくコミュニケーションが取れない
● キャッシュフロー資金繰りについての説明がない
● 将来について一緒に語れる税理士と付き合いたい

「ビジョン税理士法人がご支援させて頂ければ、もっと良い会社になる」という強い想いで、中小企業を応援しています。

お客様の成長支援の成果の一例
年商3000万円の会社が、僅か3年で年商3億円にまで成長
年商2000万円の20代の個人事業者が、僅か5年で年商5億円にまで成長
ビジョン税理士法人と契約当初は売上0円だったが、年商10億円以上に成長