創業融資とは?3種の創業融資の特徴やメリット・デメリットを比較

「金融機関から融資を受けたいけれど、創業融資ってどんなもの?」
「創業融資はどこで借りるのがいい?」

これから事業を始めようと考えていて、そんな疑問を持っている方はいませんか?

「創業融資」とは、これから新しく事業を始めようという人向け、もしくは起業して数年の若い企業向けに、金融機関が特に用意している融資制度です。

一般的な融資と比べて、
・金利が低い
・審査に通りやすい
などの特徴があるため、起業を考えるならぜひ利用したいものだといえます。

そこでこの記事では、創業融資について知っておきたいことをまとめました。
まず、

◎創業融資とは何か
◎3種類の創業融資:日本政策金融公庫・地方自治体の制度融資・民間の金融機関

について簡単に解説します。
その上で、

◎日本政策金融公庫の創業融資の特徴・メリット・デメリット・申し込み方法
◎自治体の制度融資の特徴・メリット・デメリット・申し込み方法
◎民間金融機関の創業融資の特徴・メリット・デメリット・申し込み方法

をくわしく説明していきます。
さらに、

◎創業融資の審査で重視されるポイント
◎自己資金なしで創業融資を受ける方法
◎新型コロナウイルス感染症に関して受けられる創業融資

なども説明します。
最後まで読めば、創業融資について知っておきたいことがわかるはずです。

この記事で、あなたが無事に創業融資を受けられるよう願っています。

 

 


1. 創業融資とは?

新しく事業を始めようとする際に、まず最初に準備するのは資金ですよね。
多くの起業家は、自己資金のみではなく融資を受けて起業しています。
特に起業時、または起業間もない時期に借り入れできる「創業融資」は、新規開業を目指す人の強い味方です。

そこでまず、この「創業融資」とはどんなものなのか、よく理解するところから始めましょう。

 

1-1. 創業融資とは何か

「創業融資」とは、これから新しく事業を始めようという人向け、もしくは起業して数年の若い企業向けに、金融機関が特に用意している融資制度です。

制度の詳細は金融機関によって異なりますが、一般的な融資と比較するとおおむね、

・金利が低い
・審査に通りやすい

など、有利な条件で借り入れできるように配慮されています。
新規開業時には、事業所の契約費用や設備費用など、通常の運転資金以外の初期投資が必要ですので、こうした有利な融資制度はぜひ利用したいところです。

ただし、すべての金融機関に創業融資制度があるわけではありません
それについては2. 創業融資には3種あるで説明しますので、そちらを参照してください。

 

1-2. 創業時はもっとも融資が受けやすい

実は、企業にとってもっとも融資が受けやすいのは創業時だと言われているのを知っていますか?
「起業時なんてまだ実績もなく、今後の業績も未知だから、むしろ借りにくいだろう」と思われるかもしれませんが、それは誤解です。

起業前~起業後数年間こそが、融資を受けるチャンスなのです。
なぜかといえば、政府が新しく開業した企業や起業家を支援する政策をとっているからです。

日本経済を活性化させるため、新しい事業にチャレンジする人を後押しし、また開業間もない企業が軌道に乗るよう、資金面から支援しようというわけです。

そのため、政府系金融機関である「日本政策金融公庫」では、中小企業や小規模事業者向けの融資制度をさまざまに用意しています
もちろん創業融資制度もあり、それについては3. 日本政策金融公庫の創業融資でくわしく解説しますので、ぜひ読んでください。

 


2. 創業融資には3種ある

創業融資を提供している金融機関はさまざまですが、それらは大きく3種に分けられます。

◎日本政策金融公庫の創業融資
◎地方自治体の制度融資
◎民間の金融機関の創業融資

です。
それぞれの特徴を表にまとめましたので、以下を見てください。

金融機関

融資制度

金利

融資限度額

向いている人

日本政策金融公庫

新創業融資制度

1.01%~2.80%

3,000万円(うち運転資金1,500万円)

・担保、保証人がない人

・自己資金が少ない人

新規開業資金

基本は1.11%~2.55%

7,200万円(うち運転資金4,800万円)

女性、若者/シニア起業家支援資金

0.30%~2.15%

7,200万円(うち運転資金4,800万円)

地方自治体

制度融資

1.5%~2.5%
※別途、信用保証協会への保証料が必要だが、それをかわりに支払ってくれる自治体も多い

3,500万円

・低金利で借りたい人
・経営サポートが受けたい人

民間の金融機関

創業融資

金融機関により異なる

おおむね500万円~

・地域密着型の企業で、地元の金融機関と信頼関係をつくりたい人

ちなみに融資の受けやすさは、

日本政策金融公庫の創業融資 > 地方自治体の制度融資 > 民間の金融機関の創業融資

だと言われていますので、この記事でも次章からその順番でそれぞれの融資制度についてくわしく説明していきたいと思います。

 

 


3.日本政策金融公庫の創業融資

では、まず最初にもっとも借り入れしやすい融資として人気の「日本政策金融公庫の創業融資」について、その特徴やメリット・デメリットなどを説明します。

日本政策金融公庫の創業融資制度は、主に、

◆新創業融資制度
◆新規開業資金
◆女性、若者/シニア起業家支援資金

の3つありますので、それぞれの制度概要についても見ていきましょう。

 

3-1. 特徴

日本政策金融公庫は、日本政府が100%出資する政府系金融機関のひとつです。

政府の金融政策にもとづき、民間の金融機関ではできないことを補完する役目を担っているため、一般的には融資を受けにくい中小企業や小規模事業者、新規開業者の支援に特に力を入れています。

そのため、特徴的な点として、

◎新規創業~創業7年目の企業に積極的に融資を行う
◎申し込みから融資までの期間がおおむね3週間~1か月半程度と比較的短い
◎自己資金が少なくても融資が受けやすい

などが挙げられます。


前述したように、創業者向けの融資制度は、主に、

◆新創業融資制度
◆新規開業資金
◆女性、若者/シニア起業家支援資金

の3つあります。
それぞれの制度概要は、以下の表にまとめますので、自分に合ったものを選んで申し込んでみてください。

融資制度

新創業融資制度

新規開業資金

女性、若者/シニア
起業家支援資金

適用資格
・条件

次のすべての要件に該当する方

1. 対象者の要件
新たに事業を始める方または事業開始後税務申告を2期終えていない方

2. 自己資金の要件
新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金(事業に使用される予定の資金をいいます。)を確認できる方

ただし、「現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方」、「産業競争力強化法に定める認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める方」等に該当する場合は、本要件を満たすものとします。

新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方

女性または35歳未満か55歳以上の方であって、 新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方

資金の
使い道

新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする設備資金および運転資金

新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする設備資金及び運転資金

新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする資金

融資限度額

3,000万円(うち運転資金1,500万円)

7,200万円(うち運転資金4,800万円)

7,200万円(うち運転資金4,800万円)

利率

1.01%~2.80%

基本は1.11%~2.55%

0.30%~2.15%

担保・保証人

原則不要

要相談

要相談

出典:日本政策金融公庫の公式ホームページ「融資のご案内」より抜粋

 

3-2. メリット

日本政策金融公庫の創業融資が、他の創業融資と比べてメリットがあるのは、

◎申し込みから融資までの期間が比較的短い:おおむね3週間~1か月半程度
◎担保・保証人なしでも借り入れできる
◎審査のハードルが比較的低い
◎自己資金が少なくても借り入れできる

という点だといえるでしょう。
それぞれ説明していきます。

3-2-1. 融資までの期間が短い

日本政策金融公庫の場合融資の申し込みから審査を経て、実際に融資が実行されるまで、短ければ3週間、長くて1か月半程度かかります。
これは金融機関の中では比較的早いと言えます。

他の金融機関と比較してみましょう。

金融機関の種類

申し込みから融資までにかかる期間

日本政策金融公庫

おおむね3週間~1か月半程度

地方自治体の制度融資

おおむね2~3カ月程度

民間の金融機関

銀行:おおむね3週間~1か月半程度
信用金庫:おおむね2~3か月程度

ノンバンク

最短即日~

消費者金融などのノンバンクを除けば、短期間であることがわかります。

新規開業の際はさまざまな準備や手続きで忙しく、融資の手続きにあまり長く時間をかけられないケースも多いでしょうから、これは非常に大きなメリットと言えます。

 

3-2-2. 担保・保証人なしでも借りられる

前述したように、日本政策金融公庫は政府系金融機関であり、銀行など民間の金融機関で借り入れできない起業家や小規模事業者にも、融資の門戸を開いています。

新規開業者が銀行融資を受けにくい原因のひとつとして、「担保や保証人が用意できない」というケースがありますが、そういう人でも融資を受けられる可能性があるのが日本政策金融公庫の創業融資なのです。

特に「新創業融資制度」は原則的に無担保・無保証と決められているので安心です。

その他の制度についても、日本政策金融公庫のホームページには「お客さまのご希望を伺いながらご相談させていただきます。」と記載されているので、まずは相談してみましょう。

 

3-2-3. 審査のハードルが低い

2. 創業融資には3種あるでも触れましたが、融資審査の通りやすさは、

日本政策金融公庫の創業融資 > 地方自治体の制度融資 > 民間の金融機関の創業融資

の順だと言われています。

創業時は実績もないため、民間の金融機関、特に都市銀行などの大手は審査が非常に厳しくなり、なかなか融資を受けられません。

一方、日本政策金融公庫は起業家や中小企業を支援することが目的のひとつですから、有望な事業だと見込んでもらえれば融資を受けることができます。そのためには、事業計画書をしっかり作りこみ、面接時に説得力をもって説明する必要があるでしょう。

日本政策金融公庫の審査については、別記事「日本政策金融公庫の審査とは?審査基準や流れ、審査落ちした際の対処法」にくわしく説明がありますので、そちらもぜひ参照してください。

 

3-2-4. 自己資金が少なくても借りられる

一般的に、創業時に必要な資金のうち、3割程度は自己資金で用意すべきだと言われています。

これは、融資審査の際にもチェックされるポイントで、くわしくは6-1. 自己資金で説明しますが、民間の金融機関では、あまりに自己資金が少ないと融資を受けられない恐れもあります。

が、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」の場合は、独自の「自己資金要件」というものが定められていて、「創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金を確認できる方」「ただし、『現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方』、『産業競争力強化法に定める認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める方』等に該当する場合は、本要件を満たす」とされています。

つまり、簡単にいえば、

◎自己資金は創業資金総額の10分の1~でよい
◎いま勤めている企業と同業で独立開業する場合と、自治体から「特定創業支援事業」として認定された場合は、自己資金がゼロでもよい
(※「特定創業支援事業」については、この項の最後の枠内参照)

ということなのです。

もちろん、誰でも自己資金ゼロで日本政策金融公庫の創業融資を受けられるわけではありません。
自己資金が十分にある人よりは、審査が厳しくなる可能性もあるかもしれません。

ですが、少なくとも銀行など民間の金融機関よりは、自己資金が少なくても借り入れできる可能性は高いと言えるでしょう。

【「特定創業支援事業」とは】

「特定創業支援等事業」とは、これから創業しようという起業家や創業間もない若い企業に対して、国は継続的に支援をするため始めた事業です。
自治体ごとに制度は若干異なりますが、おおむね以下のようになっています。

1)自治体は、創業セミナーや創業塾を主催したり、商工相談員や中小企業診断士などによる個別相談などを設けて起業家をサポートする

2)起業家は、それらのセミナーや個別相談に、各自治体が定める回数、期間で参加すると、自治体から「特定創業支援事業」の認定を受け、証明書をもらえる

この認定を受ければ、日本政策金融公庫の創業融資に自己資金なしでも申し込めるほか、創業に関するさまざまな優遇を受けられます。

 

3-3. デメリット

いろいろとメリットの大きい日本政策金融公庫の創業融資ですが、デメリットないとはいえません。
それは、以下の2点です。

▼入念な準備が必要
▼自治体の制度融資よりもわずかに金利が高め

では、それぞれ見ていきましょう。

3-3-1. 入念な準備が必要

日本政策金融公庫は、新規開業を目指す起業家を積極的に支援する金融機関です。
民間の金融機関では借り入れできないような人・事業であっても、何とかして融資を受けられるようにと、いろいろな面から検討をしてくれます。

が、そのために提出書類が民間の金融機関よりも多く、申し込みが煩雑になるというデメリットがあるのです。

たとえば「新創業融資制度」の平均的な必要書類を、自治体の制度融資と比べてみると、以下の通り、かなり手間がかかることがわかります。

日本政策金融公庫「新創業融資制度」の
申込書類(例)

自治体の制度融資の申込書類(例)

・借入申込書
・事業計画書
・履歴事項全部証明書または登記簿謄本
・設備の見積書
・月別収支計画書(資金繰り計画書)
・賃貸借契約書、または賃貸借予約契約書
・有担保の場合:不動産の登記簿謄本または登記事項証明書

・自治体からのあっせん書または紹介状
・金融機関の融資申込書
・事業計画書
・登記事項証明書
・印鑑証明

また、日本政策金融公庫の審査では、事業計画書の内容と面談が非常に重視されると言われています。
そのため、これらの準備も入念に行っておく必要があるのです。

 

3-3-2. 自治体の制度融資よりもわずかに金利が高め

日本政策金融公庫の金利は、民間の金融機関に比べるとだいぶ低金利に設定されています。
ただ、一般的には自治体の制度融資のほうがさらに低い金利で借りられると言われています。

比較してみましょう。

金融機関

金利

日本政策金融公庫

0.3~2.8%
◎新創業融資制度の場合、おおむね2%前後になることが多い

地方自治体の制度融資

自治体によって異なり、おおむね1.0~3.0%程度
◎実際は1.0~2.0%程度になることが多い
 1%未満で借りられる可能性もあり

銀行の創業融資

銀行によって異なり、地方銀行の場合おおむね1.5~5.0%程度

公表されている金利を見ると、一見日本政策金融公庫がもっとも低いのですが、実際に借りる際の金利は2%前後になることが多いようです。
それに対して自治体の制度融資は1~2%に決まることが多く、ときには1%未満という場合もあります。

もちろん、金利は審査の際にさまざまな要素を加味して決定されるので、かならずしもこの通りとは限りませんが、あくまでこのような傾向があるということは知っておいてください。

 

3-4. 申し込み方法

このように、デメリットが少なくメリットが多い日本政策金融公庫の創業融資は、新規開業を目指す起業家の人気を集めています。
そこで、「自分も申し込みたい」という人のために、申し込み方法をお伝えしておきましょう。

3-4-1. 必要書類

まず、必要書類は以下の通りです。

◆借入申込書
◆創業計画書
◆設備資金を申し込む場合:見積書
◆履歴事項全部証明書または登記簿謄本(法人の場合)
◆有担保の場合:不動産の登記簿謄本または登記事項証明書
◆生活衛生関係の事業の場合:都道府県知事の「推せん書」(借入申込金額が500万円以下なら不要)
              または、生活衛生同業組合の「振興事業に係る資金証明書」
◆運転免許証またはパスポートのコピー
◆飲食店など許可・届出が必要な事業の場合:許認可証のコピー

これらを揃えてください。

3-4-2. 融資までの流れ

必要書類が揃ったら、以下の流れで申し込み、審査を受けます。
申し込みから融資まで、おおよそ3週間~1か月半程度かかります。

1)相談・申し込み:まずは最寄りの日本政策金融公庫の支店に相談 【「店舗案内」参照】
           その後、必要書類を提出、または郵送して申し込み

 ▼

2)面談・審査:提出した書類をもとに面談、事業計画などについて質問される
         担当者が事業所(店舗や工場など)も訪問
         それらを総合して審査される

 ▼

3)融資決定・契約手続き:審査に通ると融資決定
              借用証書など必要書類が送付されるので、記入して契約手続き

 ▼

4)融資実行:希望の預貯金口座に融資金が振り込まれる

 ▼

5)返済開始:決められた返済額を、基本的には月賦払いで返済

 

 


4. 地方自治体の制度融資

日本政策金融公庫の創業融資と並んで起業家に人気なのが、地方自治体の制度融資です。
これについても特徴やメリット・デメリットなどを見ていきましょう。

4-1. 特徴

「制度融資」とは、都道府県や市区町村といった地方自治体が、民間の金融機関、信用保証協会と三位一体となって提供する融資制度です。

制度の詳細は自治体によって異なりますが、そのしくみは共通していて以下の図のようになっています。

自治体が窓口となり、銀行などの民間金融機関の融資をあっせんしてくれます。
この融資には、貸し倒れリスクに備えてかならず信用保証協会の保証をつけることになっています。
もし融資を受けた創業企業が返済できなくなっても、保証協会が弁済してくれるため、金融機関としては信用度の低い新規開業事業者にも融資しやすくなるわけです。

ただ、信用保証協会の保証をつけるには、融資を受ける側が保証料を支払わなければなりません。
制度融資では、自治体によってはこの保証料や金融機関への利子を一部負担してくれるところもあるので、起業家にとってはお得だといえます。

この融資の特徴を挙げると、

◎金利が低く、1%未満で借りられるケースもある
◎申し込みから融資までの期間が長く、おおむね2~3か月かかってしまう
◎自治体によって制度が異なり、制度融資自体がない自治体もある

という点でしょう。

一例として、東京都の中小企業制度融資『創業』の融資概要を以下にまとめましたので、参考にしてください。

融資制度

東京都・中小企業制度融資『創業』

適用資格
・条件

都内に事業所があり、東京信用保証協会の保証対象業種を営む中小企業者で以下3点のいずれかに該当する方

1. 現在事業を営んでいない個人で、創業しようとする具体的な計画を有している
2. 創業した日から5年未満である中小企業者等
3. 分社化しようとする会社または分社化により設立された日から5年未満の会社

資金の
使い道

運転資金、設備資金

融資
限度額

3,500万円

利率

1.5%~2.5%

担保・
保証人

担保:保証付融資の合計残高が8,000万円以下の場合、原則として不要
保証人:原則として、法人代表者を除き連帯保証人は不要
◎東京都が信用保証料の2分の1を補助する

 

4-2. メリット

自治体の制度融資には、他の創業融資と比べて以下のようなメリットがあります。

◎金利が低い
◎優遇措置がある
◎経営サポートが受けられる

それぞれくわしく説明しましょう。

4-2-1. 金利が低い

前章でも日本政策金融公庫の創業融資と比較しましたが、制度融資の第一のメリットは、金利が低いことです。

自治体によって金利の設定はことなりますが、おおむね1.0~3.0%程度で、実際は1.0~2.0%程度になることが多いようです。
中には1%未満で借りられるケースもあり、大きな魅力だといえます。

また、この融資は信用保証協会の保証をつける必要があるため、保証料が融資額の0.2~2.2%ほどかかります。
しかし、自治体の制度融資の場合、この保証料の一部または全部を自治体がもってくれるというところも多くありますので、その分もお得になるのです。

4-2-2. 優遇措置がある

融資の制度内容は自治体によって異なりますが、融資利用者にはさまざまな優遇措置が設けられています。
たとえば、

◎信用保証協会の保証料の一部を自治体が補助する
◎金融機関に支払う金利の一部を自治体が補助する
◎自治体が金融機関に預託金(=融資の原資)を無利子で預ける
 →制度融資用の原資があることで、金融機関側は融資がしやすくなる

などを実施している自治体があります。

4-2-3. 経営サポートが受けられる

また、制度融資の場合、融資だけではなく経営サポートもしてくれる自治体が多くあります。

そもそも制度融資自体が、各自治体が地元企業を支援することを目的としているため、資金面だけでなく、経営に関する相談やアドバイスでも力になってもらえるのです。

融資の相談・受付窓口が金融課である場合が多いので、資金調達や経営に関して有益な情報を得られる可能性もあり、創業間もない企業にとっては頼れる相談相手になるでしょう。

 

4-3. デメリット

では、デメリットはどうでしょうか?挙げるとすれば、

▼保証料がかかる
▼申し込みから融資までの期間が長い
▼自己資金要件のハードルが高め
▼自治体によっては制度融資自体がない

では、ひとつずつ解説します。

4-3-1. 保証料がかかる

この章の冒頭で説明したように、制度融資では融資の際に信用保証協会の保証をつける必要があります
そのため融資を受ける事業者は、金融機関への返済に加えて、信用保証協会に保証料も支払わなければなりません

保証料率は、一般的に融資額の0.45~1.90%の間で決められます。
もし1%であれば、毎月利子+1%を支払っていくことになるわけで、これは返済が長期にわたると軽視できない負担になるでしょう。

ただ、自治体によってはこの保証料を一部負担してくれるところもあります。
中には保証料全額負担という自治体もあるので、まずは創業する自治体の制度を調べてみてください。

4-3-2. 融資までの期間が長い


3-2-1. 融資までの期間が短い
でも触れましたが、自治体の創業融資の場合、申し込みから融資までの期間はおおむね2~3か月です。

日本政策金融公庫の創業融資なら3週間~1か月半ですから、その1.5~2倍程度長くかかるわけです。
これは、自治体・金融機関・信用保証協会という3者がかかわっている上、審査も金融機関と信用保証協会の両方が行うためです。


制度融資を受けたければ、その期間を見越して早めに申し込みをする必要があるでしょう。

4-3-3. 自己資金要件のハードルが高い

日本政策金融公庫の創業融資では、自己資金は融資希望額の10分の1あればよいとされています。
それに対して自治体の制度融資の場合は、少なくとも3分の1、多くの自治体では2分の1は必要とされています。

つまり、自己資金が100万円だとすると、日本政策金融公庫の創業融資では1,000万円借りられる可能性があるのに対して、自治体の制度融資では200万~300万円しか借りられないわけです、

自己資金があまり用意できない人にとっては、利用しにくい制度だと言えるでしょう。

4-3-4. 自治体によっては制度融資がない

さらに、自治体によっては制度融資自体がないところもあります。
事業所をおく自治体に制度がなければ、そもそも利用できません。

制度があっても、その内容は自治体ごとに異なりますし、同じ地域で都道府県の制度融資と市区町村の制度融資が受けられる場合もありますので、まずは起業しようとしている自治体に制度融資があるかどうかを調べてみてください。

 

4-4. 申し込み方法

制度融資の申し込み方法は、自治体によって多少異なりますが、おおむね以下の通りです。

4-4-1. 必要書類

自治体の制度融資では、自治体・金融機関・信用保証協会の3者にそれぞれ申し込みをする必要があります。

その際に求められる書類は、自治体や機関ごとに異なりますが、一例として以下のようなものが挙げられます。

◆創業計画書
◆自治体からの「あっせん書」または「紹介状」
◆融資申込書
◆保証申込書
◆設備資金を申し込む場合:見積書
◆履歴事項全部証明書または登記簿謄本(法人の場合)
◆資金繰り表
◆飲食店など許可・届出が必要な事業の場合:許認可証のコピー
◆印鑑証明                            など

くわしくは、各自治体の制度融資に関するホームページやパンフレットで確認しましょう。

4-4-2. 融資までの流れ

制度融資を受ける流れは、自治体によって細かい違いはありますが、一般的には以下のような手順で進めます。ちなみに申し込みから融資までは、おおよそ2~3か月かかると見ておいてください。

1)金融機関を選ぶ:自治体の公式サイトなどで、制度融資を取り扱っている金融機関を調べ、
           その中から、融資を申込みたい金融機関を選ぶ

 ▼

2)金融機関に融資相談:金融機関に「制度融資を利用したい」と相談し、事前の同意をとる

 ▼

3)自治体に融資申請:自治体の担当窓口に必要書類を提出して融資を申請

 

4)自治体の審査:提出した書類をもとに自治体が審査
          自治体によっては面談や指導などもあり
          審査に通れば、金融機関への「あっせん書」または「紹介状」がもらえる

 ▼

5)金融機関に融資申し込み:2)で相談した金融機関に正式に融資申し込み

 ▼

6)信用保証協会に保証申し込み:金融機関の指示に従って、信用保証機関に保証申し込み

 ▼

7)信用保証協会の審査:信用保証協会の審査を受ける
             面談や、担当者による事業所訪問がある場合もあり

 ▼

8)金融機関の審査:信用保証協会の審査に通ると、金融機関の審査に移る

 ▼

9)融資実行:すべての審査に通れば、希望の預貯金口座に融資金が振り込まれる

 ▼

10)返済開始:決められた返済額を、基本的には月賦払いで返済

 

 


5. 民間の金融機関の創業融資

前出の2種の創業融資は公共性の高いものですが、民間の金融機関である銀行や信用金庫、信用組合でも創業者向けの融資商品を提供しているところがあります。

それについても説明しておきましょう。

5-1. 特徴

都市銀行や大手銀行では創業に特化した融資はないようですが、地方銀行や信用金庫・信用組合であれば、扱っているところが見つかります。
その特徴は、

◎審査が厳しい
◎信金・信組の場合は融資までの期間が2~3か月と長い
◎融資限度額は、銀行のプロパー融資であれば高額が可能だが、それ以外は比較的低め

となっています。
制度内容や金利も、金融機関によってまちまちなので、各金融機関に相談してみましょう。

ここではいくつかの銀行の創業融資を挙げておきますので、参考にしてください。

 

【民間金融機関の創業融資(例)】

金融機関名

融資商品名

概要

きらぼし銀行

創業サポートローン

融資限度額:500万円
保証人:法人の場合は代表者
    個人の場合は不要
担保:原則不要

みちのく銀行

みちのく創業チャレンジ資金

融資限度額:3,000万円
保証人:経営者保証
担保:原則不要

北陸銀行

ほくぎん創業支援ローン

融資限度額:1,000万円
保証人:必要に応じる
担保:必要に応じる

八十二銀行

創業応援資金<テイクオフ>

融資限度額:3,000万円
保証人:法人の場合は代表者
    個人の場合は不要
担保:別途相談

千葉銀行

ちばぎん地方創生融資制度

保証人:法人の場合は代表者
    個人の場合は不要
担保:必要に応じる

横浜信用金庫

創業支援融資「創る」

融資限度額:500万円
金利:1年以内/3.70%~
   1年超/3.90%~
保証人:法人の場合は代表者
    個人の場合は不要

城南信用金庫

創業・起業者向け協調融資「Approach」

融資限度額:5,000万円
保証人:法人の場合は代表者
    個人の場合は連帯保証1名
担保:必要に応じる

 

5-2. メリット

繰り返しますが、民間金融機関の創業融資は、制度内容がまちまちです。
そのため一概にメリット・デメリットを挙げにくいのですが、強いてあげれば以下のようなことが言えるでしょう。

◎信金・信組は借りやすい
◎企業としての信用につながる

くわしくは以下の通りです。

5-2-1. 信金・信組は借りやすい

地方銀行や信用金庫、信用組合は、地域経済を活性化させるため、地元の企業を支援するという性格を持っています。
そのため、地元で新規開業しようという事業者には、積極的に融資してくれる傾向があります。

特に信金・信組は、営利を追求するよりも、地域振興や相互扶助を目的としているので、より融資を受けやすいと言えるでしょう。

5-2-2. 信用につながる

民間の金融機関の融資審査は、日本政策金融公庫や自治体の制度融資よりも厳しいと言われています。
特に都市銀行はもっとも厳しく、地方銀行がそれに続きます。

そのため、もし銀行の融資を受けられれば、銀行がその企業の信用度を担保したと捉えられるため、企業としての信用度を高めることができるのです。

 

5-3. デメリット

一方で、デメリットとしては以下のことが挙げられます。

▼銀行は審査が厳しい
▼信金・信組は申し込みから融資までの期間が長い
▼信金・信組は融資限度額が低め

それぞれ説明しましょう。

5-3-1. 銀行は審査が厳しい

前述したように、銀行の審査は金融機関の中でも厳しいものです。
厳しさは、

都市銀行 > 地方銀行 > 信用金庫・信用組合

となっています。
もっともハードルが高いのは都市銀行のプロパー融資で、創業企業が融資を受けるのはかなり難しいでしょう。

一般的に、金融機関の審査の厳しさは金利と反比例していて、

▢審査に通りやすいほど金利が高くなる
▢金利が低いと審査が厳しくなる

という傾向があります。


実際、銀行のプロパー融資は金利1%以下になることもありますが、その分融資のハードルは非常に高いのです。

5-3-2. 信金・信組は融資までの期間が長い

銀行に比べると、信金・信組はかなり融資を受けやすいと言えますが、そのかわり申し込みから融資までの期間が長く、おおむね2~3か月はかかってしまいます。

創業時は資金調達以外にも準備すべきことが多く、非常に忙しくなるはずです。
そんな中で、融資の申し込みが遅れてしまうと、資金が必要な時までに融資がおりないということにもなりかねません。

信金・信組で融資を受ける際には、余裕をもって早めに申し込む必要があるでしょう。

5-3-3. 信金・信組は融資限度額が低め

さらにいえば、信用金庫や信用組合の創業融資は、融資限度額が低めです。

「500万円以内」というところもあり、3,000万円以上の融資が受けられる日本政策金融公庫などと比較すると、必要な資金額に足りないケースも出てくるでしょう。

 

5-4. 申し込み方法

民間金融機関の創業融資は、申し込み方法も金融機関によってまちまちです。
ここでは一例を挙げておきましょう。

5-4-1. 必要書類

まず、必要書類は以下です。

◆創業計画書
◆信用保証委託申込書
◆信用保証委託契約書
◆履歴事項全部証明書または登記簿謄本(法人の場合)
◆開業届出書(個人の場合)
◆飲食店など許可・届出が必要な事業の場合:許認可証のコピー
◆自己資金額が確認できる書類
◆印鑑証明                            など

詳細は金融機関によって異なりますので、事前にかならず確認してください。

5-4-2. 融資までの流れ

融資を受ける流れは、金融機関ごとに大きな違いはなく、おおむね以下のような手順になるでしょう。
申し込みから融資までの期間は、銀行で3週間~1か月半、信金・信組なら2~3か月です。

1)相談・申し込み:融資を受けたい金融機関に相談
           その後、必要書類を提出して申し込み

 ▼

2)審査:提出した書類をもとに審査
      信用保証協会の保証をつけることが多いため、信用保証協会が審査する
      面談が行われる場合もあり

 ▼

3)融資決定・契約手続き:審査に通ると融資決定
              必要書類に記入して契約手続き

 ▼

4)融資実行:希望の預貯金口座に融資金が振り込まれる

 ▼

5)返済開始:決められた返済額を、基本的には月賦払いで返済

 

 


6. 創業融資の審査で重視されるポイント

ここまで、3種の創業融資について解説してきました。
その中で、融資を受けるためにもっとも気になるのが審査の基準ですよね。
融資審査では、どのような点をチェックされるのでしょうか。

そこでこの章では、創業融資の審査で重視されるポイントについて説明しておきましょう。
それは主に、以下の5点です。

◎自己資金
◎創業計画書・事業計画書の内容
◎返済能力
◎信用情報
◎事業経験・職歴

では、それぞれくわしく説明します。

 

6-1. 自己資金

創業融資でまず重視されるポイントのひとつが「自己資金」です。

通常の融資審査では、企業の業績が大きな判断材料になりますが、新規開業する企業の場合はまだ実績がありません。
そのかわりに、

・資金面で開業準備を十分にしてきたか
・自己資金が少ないと相対的に借入金額が増えてしまうが、返済負担に耐えられるか

を評価するために、自己資金額をチェックするのです。

 

6-1-1. 審査に通るために必要な自己資金額

必要な自己資金の基準は、必要な資金総額に対しておおむね以下の割合だとされています。

融資の種類

自己資金割合

日本政策金融公庫

10分の1~
※場合によっては自己資金ゼロでも可
 ただし、安全圏は3分の1~

自治体の制度融資

3分の1~
2分の1~という自治体も多い

民間の金融機関

3分の1または2分の1~

つまり、どこで融資を受けるにも、自己資金は3分の1以上用意しておいたほうがよいというわけです。

 

6-1-2. 自己資金に含まれるもの

では、「自己資金」として認められるのはどんな種類のお金でしょうか?
それは以下のものです。

自分の口座に貯めた預貯金

自己資金として最も重視されるものです。
預貯金が多ければ、開業資金をコツコツ貯めていた=計画性があるとみなされ、融資審査でプラスに働きます。

返済義務のない、
親族からの贈与金

借金ではなく贈与された場合は、自己資金と認められます。
ただし、手渡しなどではなく振り込みにして、資金の流れを記録に残しておく必要があります。

退職金

独立開業に際して退職した場合などは、退職金も自己資金です。

手持ち資産を売却したお金

不動産や車、有価証券などを売却したお金も自己資金と認められます。

相続したお金

親族などの遺産を相続した場合も、自己資金に組み入れられます。

保険の返戻金

生命保険などを解約した返戻金も自己資金にできます。

みなし自己資金

すでに起業している場合、そのために先に支払った設備投資などは、自己資金とみなされる可能性が高いです。

第三者割当増資

株式会社で、新たに株式を発行し、第三者に引き受けてもらって資金調達した場合は、その資金も自己資金とみなされます。

 

6-1-3. 自己資金と認められないもの


逆に、自己資金とみなされないのは、

✖預貯金口座に入れていないお金:現金で持っているタンス預金など
✖融資直前に口座に振り込まれたまとまった額のお金:融資を受けるための「見せ金」を疑われる
✖返済義務がある借入金

です。

つまり、資金の出所がはっきりしているもの、開業資金として以前から貯めたり用意したりしていたものは自己資金であり、出所がわからないものや急に用意された大金、借金は、「融資審査を有利にしようと、自己資金を水増ししているのではないか」という疑いがあるため、自己資金とは認められないというわけなのです。

 

6-2. 事業計画書

もうひとつ、創業融資で重視されるのは「事業計画書」「創業計画書」です。

前述したように、創業融資の審査では過去の業績が判断材料になりません。
そのかわりに、今後の事業計画がいかに有望で実現性があるか、事業計画書や創業計画書といった書面で確認する必要があるのです。

この内容が充実していれば、「この事業は入念に計画されていて、成長性も期待できる」と判断され、審査通過の可能性はグンと高まるでしょう。

計画書を作成する際に留意するポイントは、

◎前提として、マーケティングリサーチや競合分析は入念にしておく
◎計画はなるべく具体的に、実現性があるものにする
◎計画の裏付けになる具体的なデータを添付する
◎競合他社との差別化、自社の強みを明確にしておく
◎専門用語などを多用せず、誰にでもわかりやすく作成する
◎同時に資金繰り計画や返済計画も立てておく

などです。

計画書の作成については、商工会や自治体、融資相談をする金融機関などでも相談にのってもらえますので、一度作成したらぜひアドバイスを求めてみるといいでしょう。

 

6-3. 返済能力

もうひとつ重要なのは、「返済能力」です。
民間の金融機関はもちろん、政府系金融機関の日本政策金融公庫であっても、貸したお金は返してもらわなければ困りますよね。

そのため、審査で「返済が難しそう」と判断された融資は行いません。

審査に通るには、事業計画に対して無理のない借入額であることと、信頼性のある返済計画を提出することが大切です。

 

6-4. 信用情報

創業融資の場合、法人名義の借り入れであっても、経営者個人の信用情報が照会されます

「信用情報」とは、個人の「お金に関する情報」で、収入やローンやクレジットの利用歴などが「CIC」「JICC」といった信用情報機関に記録されています。

これらは各金融機関から照会可能であるため、もし信用情報にキズがあれば、融資審査は通りにくくなります

たとえば、

✖税金や公共料金の滞納・延滞
✖ローンやクレジットの滞納・延滞
✖債務整理

などをしたことがあれば、「今回融資しても、返済が滞るかもしれない」と判断され、審査にマイナスに働くのです。

ただ、これらの信用情報には保存期限があり、5~10年で記録はなくなります
「信用情報に問題がある」という人は、その時点から5~10年経つのを待って、自分で信用情報を取り寄せ、記録がなくなったのを確認してから融資申し込みをするといいでしょう。

 

6-5. 事業経験・職歴

創業融資では、今までの業績が審査基準にできない分、「事業経験や職歴」、すなわち創業者がその事業の経験があるかどうかも重視します。

まったく未経験の分野で開業しようという人よりも、

・前職で勤務していた会社と同業で独立開業する
・開業のために、同業他社で数年経験を積んだ

という人の方が、審査では有利だということです。

とはいえ、「10年修行していなければダメ」などということはありません。
たとえば、開業前に同業種で半年~1年程度働くと、「経験あり」と判断してもらえる可能性もあるようです。

未経験から起業する場合は、しばらく経験を積んでから融資申し込みをするというのも、審査のためには有効でしょう。

 

 


7. 自己資金なしで創業融資を受ける方法

さて、6-1. 自己資金で、融資審査では自己資金割合が非常に重視されると説明しました。
ですが、「自己資金はまったくないけれど、今すぐ開業しないとビジネスチャンスを逃してしまう」というケースもあるでしょう。

そんな場合は、自己資金ゼロでも創業融資を受けられる方法があります。
それは、

◎日本政策金融公庫の「新創業融資制度」を利用する
◎自己資金を増やす

というやり方です。
詳しく説明しましょう。

 

7-1. 日本政策金融公庫の「新創業融資制度」を利用する

3-2-4. 自己資金が少なくても借りられるで説明しましたが、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」は、自己資金に関して以下のように規定しています。

・創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金を確認できる方
・ただし、「現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方」、「産業競争力強化法に定める認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める方」等に該当する場合は、本要件を満たす

この後者の要件にのっとれば、

◎いま勤めている会社と同業で独立開業する
◎自治体から「特定創業支援事業」の認定を受ける

のいずれかであれば、自己資金ゼロでも融資を受けられる可能性があります。
自己資金がない人は、まずはこのどちらかを検討するといいでしょう。

ちなみに「特定創業支援事業」については、「3-2-4. 自己資金が少なくても借りられる」を参照してください。

 

7-2. 自己資金を増やす

もうひとつの方法は、自己資金を増やすことです。
具体的には、

◎不動産や車、有価証券や貴金属など手持ちの資産を売却する
◎親族から返済不要の贈与を受ける
◎現職を退職して退職金をもらう
◎保険を解約して返戻金をもらう
◎出資してくれる人を探す
◎クラウドファンディング

などが考えられます。

6-1-2. 自己資金に含まれるものに該当するお金を作れるのであれば、なるべく自己資金を増やしたほうがよいでしょう。

 

 


8. 新型コロナウイルス感染症に関して受けられる創業融資

もうひとつ、多くの方が気になっているであろうことは、「新型コロナウイルス感染症関連で、創業融資はどうなっているのか?」でしょう。

実は、日本政策金融公庫、自治体の制度融資、民間の金融機関ともに、新型コロナウイルス感染症で影響を受けた・受ける企業向けに、さまざまな融資対応を行っています

そのうち、創業企業に関わる融資のいくつかを以下に紹介しますので、参考にしてください。
特に自治体の制度融資に関しては、各自治体ごとにさまざまな取り組みがなされていますので、まずは問い合わせしてみることをおすすめします。

融資制度

利用できる者

概要

日本政策金融公庫

新型コロナウイルス感染症対策挑戦支援資本強化特別貸付(新型コロナ対策資本性劣後ローン)

新型コロナウイルス感染症の影響を受けているスタートアップ企業や事業再生に取り組む方等

融資限度額:
別枠7,200万円

東京都

事業転換・業態転換等支援融資
(新型コロナウイルス感染症対応)

新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、事業転換や業態転換に取り組む都内の中小企業

融資限度額:
2億8,000万円
金利:1.3%以内~1.8%以内

 

 


9. 創業融資コンサルティング・創業融資サポートとは

さて、ここまで創業融資について、さまざまな角度から解説してきましたが、正直なところ、読んでいて「面倒くさいな」「自分には難しすぎてムリ…」と感じた方も多いのではないでしょうか。

実はそんな方のために、「創業融資コンサルティング」「創業融資サポート」というものがあるのです。

専門のコンサルタント会社や税理士事務所、会計事務所などが提供しているサービスで、

◎事業計画書など、創業融資の申込書類の作成指導、または作成代行
◎融資元金融機関とのやりとり代行
◎融資審査での面接シミュレーション

などを行なってくれます。

これらを利用することで、融資手続きにかかる手間と時間を節約し、審査に通りやすくなるというメリットがありますので、利用を検討してみてもいいでしょう。

また、日本政策金融公庫に絞って融資申し込みをするなら、「認定支援機関」を利用するのもおすすめです。

「認定支援機関」とは、経営に関して一定レベル以上の専門知識や実務経験があると国が認めた公的な支援機関です。
商工会や商工会議所、金融機関、税理士、公認会計士、弁護士、中小企業診断士などが認定を受けています。

これらに相談すれば、事業計画書など融資申し込みに必要な書類の作成をサポートしてもらえる上に、認定支援機関を通して日本政策金融公庫に融資を申込むと、審査に通る確率が上がると言われていますので、ぜひ一度相談してみてください。

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10. まとめ

いかがでしょうか?
創業融資について、知りたかったことがわかったかと思います。

では最後に、あらためて記事の要点をまとめてみましょう。

◎創業融資には、以下の3種類がある

 ・日本政策金融公庫の創業融資
 ・自治体の制度融資
 ・民間金融機関の創業融資

◎創業融資の審査で重視されるポイントは、
 ・自己資金
 ・事業計画書
 ・返済能力
 ・信用情報
 ・事業経験、職歴

◎自己資金なしで創業融資を受ける方法は、
 ・日本政策金融公庫の「新創業融資制度」を利用する
 ・自己資金を増やす

 

これを踏まえて、あなたが無事に融資を受けられるよう願っています。

 

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