マネジメントとは?社長が知っておきたい基礎知識や必要な能力を解説

マネジメントとは人間と組織の力を生かして成果をあげる一連の取り組みのことです。

 具体的には、経営理念や戦略の策定、組織づくり、人材育成などを通して、会社に生産性を生み出し、成果につなげることをマネジメントと呼びます。

 もしマネジメントをしなければ、会社が業績を向上させることは難しくなるでしょう。生産性が生まれないためです。

 マネジメントは経営者にとって不可欠であるにもかかわらず、
「マネジメントって、具体的に何をすべきなのかわからない」
と感じている人が大多数なのではないでしょうか。

 そのまま何となく経営を続けても、会社を大きく成長させることは難しいでしょう。

 そこで本記事では、会社を成長させるために最重要といっても過言ではない「マネジメント」について、詳しく解説します。

 本記事のポイント

  •   マネジメントの基礎知識が身につく
  •   業績向上につながる実践的なポイントをレクチャー
  •   マネジメントをどう始めれば良いのかわかる

「マネジメントについて知りたい」
「自社のマネジメントをうまくやる方法を知りたい」
という方におすすめの内容となっています。

この解説を最後まで読むことで、「マネジメントの基本」はもちろん、具体的な業務内容や必要な能力・スキルなどを体系的に理解いただければと思います。また、成功させるためのポイントも把握できるでしょう。

 結果として、あなたの会社の業績を向上させるマネジメントを実践できるはずです。ではさっそく解説を始めましょう。

 


1. マネジメントとは

 まずはマネジメントの基礎知識から見ていきましょう。

1-1. マネジメントとは人間と組織の力を生かして成果をあげる一連の取り組み

「マネジメント」とは何でしょうか。概念でもあり手法でもあり、人によっては経営思想まで色濃く反映した、独自の哲学を持っています。

 あまりにも広い解釈が可能なマネジメントですが、経営者として実務にも役立つ定義をするなら「人間と組織の力を生かして成果を挙げる一連の取り組み」と表現できるでしょう。

 ここで勘の良い方なら、
「それはつまり経営ではないか?」
という疑問が浮かんだかもしれません。

そのとおりで、「人間と組織の力を生かして成果を挙げる = マネジメントは経営そのもの」ともいえます。

マネジメント(Management)を直訳すると「管理」という意味になりますが、具体的に何を管理することがマネジメントなのかといえば、“経営などの管理をすること”と言えます。

1-2. マネジメントは事業に命を与える存在

 次に少し概念的な話にも触れておきましょう。

 マネジメントといえば米国の経営学者ピーター・ドラッカーが有名です。

 ドラッカーはマネジメントについてどう表現しているのかといえば「事業に命を与える存在」と言っています。

 マネジメントとは、事業に命を与えるダイナミックな存在である 。そのリーダーシップなくしては、生産資源は資源にとどまり、生産はなされない。
出典:ピーター・ドラッカー『現代の経営[]

 つまり、経営者のリーダーシップによって意志的にマネジメントをしなければ、会社は何も生み出すことができないと言えます。

 会社を経営し社長という役割を担う以上、必ず実践すべき仕事がマネジメントであるといえます。

1-3. マネジメントの目的は成果をあげること

 会社にとって必要不可欠なマネジメントですが、何のためにマネジメントをするのかといえば、単純明快な答えがあります。
マネジメントの目的は成果です。

 ドラッカーは「マネジメントの力の基盤は成果しかない」と言っています。

組織とそのマネジメントの力の基盤となりうるものは一つしかない。成果である。成果をあげることが、組織にとって唯一の存在理由である。
出典:ピーター・ドラッカー『断絶の時代』

以上をまとめると、経営者にとってマネジメントとは、会社が生産性を持つために重要な仕事であり、マネジメントによって達成していく目的は成果であるといえます。

 


2. マネジメントの3つの役割

 

ここからは、徐々にマネジメントを深掘りしていきます。

 マネジメントに取り組む前に、考え方として押さえておきたいのが「マネジメントの役割」です。マネジメントには3つの役割があります。

マネジメントの3つの役割
マネジメントには、自らの組織をして機能させ、社会に貢献させるうえで三つの役割がある。それら三つの役割は異質ではあるが同じように重要である。

第一に、企業、病院、大学のいずれであれ、自らの組織に特有の目的と使命を果たす。
第二に、仕事を生産的なものにして働く人たちに成果をあげさせる。

第三に、自らが社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題について頁献する。
出典:ピーター・ドラッカー『マネジメント[エッセンシャル版]

それぞれ見ていきましょう。

2-1. 組織の目的と使命を果たす

 1つめの役割は「組織の目的と使命を果たす」ことです。

 ここでいう目的や使命とは、利益や売上ではありません。
あなたの会社特有の経営理念やミッションを実現することこそ、マネジメントの重要な役割です。

具体的には“MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の実現が、第一にマネジメントが目指すところといえます。

ミッション・ビジョン・バリューについて詳しくは、以下の記事をご覧ください。

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2-2. 生産性を向上し従業員に成果をあげさせる

 2つめの役割は「生産性を向上し従業員に成果をあげさせる」ことです。

 ここで「もしマネジメントをまったく行わなかったら?」と想像してみましょう。

 従業員は皆がてんでばらばらに好き勝手なことをしていて、生産性のかけらもありません。仕事をしないで遊んでいる人もいます。当然、成果があがることもなく、業務時間が無駄に過ぎていきます。

 この状況を変えるのが、マネジメントの役割です。例えば、モチベーションが高まる人事制度を導入し、効率的に機能するチームを編成し、リーダーシップによって求心力を高める──といった具合です(具体的な業務内容は次章で解説します)。

 逆にいえば、生産性が低く従業員が成果をあげていない組織の問題点は、経営者のマネジメントにあるともいえます。

生産性を高め従業員が成果をあげられるようマネジメントによって導くことこそ、経営者として大切な仕事です。

2-3. 社会に貢献する

 3つめの役割は「社会に貢献する」ことです。

 マネジメントというと、人材管理や組織編成など社内に目が向きがちですが、社外に向けた取り組みもマネジメントの役割です。

 企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility:CSR)という言葉がありますが、会社の活動が社会に与える影響に責任を持ち、マネジメントによって自社が社会に貢献できるよう導かなければなりません。

具体的には、社会に対するマイナスの影響を除去しながら、社会的公正や環境への配慮、地球・社会のサスティナビリティー(持続可能性)への取り組みを進めていくことも、マネジメントの重要な役割となります。

 


3. 階層別に見るマネジメント業務

次に「マネジメント業務とは、具体的に何をすることなのか」を見ていきましょう。

会社で行われるマネジメント業務は、マネジメントを行う人の立場によって、大きく3つに分けられます。

  1. トップマネジメント
  2. ミドルマネジメント
  3. ロワーマネジメント

3-1. トップマネジメント

 まずはトップマネジメントから見ていきましょう。トップマネジメントは「経営陣」の立場の人が行うマネジメントです。

 ドラッカーが著書『マネジメント[エッセンシャル版] – 基本と原則』などで説いているのは、基本的にこのトップマネジメントになります。

 具体的な業務を見てみましょう。

経営理念・経営戦略の策定

まず挙げられるのが「経営理念・経営戦略の策定」です。

マネジメントを行ううえでは、会社がどの方向へ向かっていくべきなのか、まず指し示す必要があります。

経営理念や経営戦略を策定することは、トップマネジメントの重要な業務といって良いでしょう。

理念や戦略が明確に定められた会社ほど、理念や戦略がもたらす強い求心力によって、会社全体のマネジメントが効果的に機能すると言えます。

組織の構築

次に「組織の構築」です。

具体的には、組織図で表されるような組織編成を作ることや、職務の設計、目指す組織に合わせた採用の実行、組織の規則やルール整備などが組織の構築にあたります。

経営理念や戦略に基づいて、最も生産性が高まり、成果をあげられる組織を作っていくことが大切です。

人材育成の仕組みづくり

人材育成はマネジメントの重要な業務ですが、トップマネジメントにおいて求められるのは人材を育成すること自体よりも、「会社全体で効果的に人材育成が推進できる仕組みを作ることと言えます。

 例えば、人事制度や業績評価の仕組みづくりは、人材育成の仕組みにあたります。

リスク管理

 経営陣にしかできないマネジメントとして重要なのが「リスク管理」です。

 常日頃から会社の危機管理を徹底すると同時に、会社に大きな損害を与えかねない問題が発生したとき・発生しそうな予兆があったときには、先頭に立ってスピーディに行動しなければなりません。

 市場や社会における急激な変化にも適応し、組織の生存を確実にすることは、トップマネジメントの非常に重要な業務です。

 あるいは、企業活動が社会に対して悪影響を与えるリスクが発生した場合にも、早急に対応する必要があります。

3-2. ミドルマネジメント

 次にミドルマネジメントについて見てみましょう。

 ミドルマネジメントは「中間管理職」の立場の人が行うマネジメントです。

 経営陣と一般社員との間に立つ橋渡し的な役割があります。
経営陣が定めた方針を深く理解したうえで、部下たちにわかりやすく伝達したり、それぞれの部下の成長度合いに応じて、業務を振り分けたりします。

 具体的な業務は以下のとおりです。

経営戦略の実行管理

ミドルマネジメントの重要な業務は、経営陣が策定した経営戦略の実行管理です。

具体的には、大きな方針である経営戦略を、より細かな戦略や戦術にブレイクダウンし、現実的に実現可能かつ求められる目標が達成できる行動計画に落とし込みます。

 そのうえで、現場の社員たちに業務を振り分け、進捗管理しながら目標達成まで導くのがミドルマネジメントの役割です。

経営理念や行動規範の浸透

 もうひとつ、ミドルマネジメントの重要業務として挙げられるのが「経営理念や行動規範の浸透」です。

経営陣と一般社員との間のパイプ役となり、経営陣の考え方を深く理解したうえで、現場の社員が理解しやすい形で伝達し、社内に浸透させていきます。

ミドルマネジメントは、トップマネジメントの補佐と現場の調整役の両方を担うため、マネジメントの要であるといえます。 

人材育成

ミドルマネジメントでの人材育成では、積極的に部下と関わりを持ち、メンバーひとりひとりの強みやビジョンを理解したうえで成長を促すことが求められます。

具体的には、部下との日々のコミュニケーション、定期的なミーティング、業務への的確なフィードバック、部内研修、OJT(実務のトレーニング)などが挙げられます。

 メンバーごとの適切な目標管理や公平性のある評価も、ミドルマネジメントの重要な業務です。

3-3. ロワーマネジメント

最後にロワーマネジメントをご紹介します。

ロワーマネジメントとは、中間管理職よりも下の職位にあるリーダーの立場の人が行うマネジメントです。

役職は会社によって異なりますが、例えば係長・主任・現場リーダー・チーフなどが、現場の作業を指揮するために行うのがロワーマネジメントです。

具体的な業務を見てみましょう。 

作業の指揮監督

 ミドルマネジメントで策定された行動計画に基づき、計画に沿って作業が進むように現場を指揮・監督するのが、ロワーマネジメントの主な業務です。

 作業する担当者にやり方を教え、具体的な指示を出し、順調に進んでいるか進捗確認しながら計画を実行します。

 問題点が発生したときは、すみやかに報告を行い、現場の情報がミドルマネジメント・トップマネジメントに活かされるよう配慮しながら、日々の業務を進めていきます。

 


4. マネジメントに必要な能力・スキル

マネジメントを行うためには、どんな能力やスキルが必要になるのでしょうか。

企業が達成したい目的や目指すビジョンが異なれば、マネジメントの方向性や必要な能力にも違いが出てきますが、ここでは「マネジメントの基礎力」ともいえる7つのポイントを見ていきましょう。

  1. 目的や戦略の策定力
  2. 人材発掘・人材育成力
  3. 分析力
  4. 問題解決力
  5. プロジェクトマネジメント
  6. プロフィット志向
  7. 決断力

4-1. 目的や戦略の策定力

 1つめは「目的や戦略の策定力」です。

 策定とは方針や戦略などを考えて決めるという意味ですが、マネジメントを行ううえで重要なのが、まさに「企業の目的や戦略を考えて決める」という能力だと言えるでしょう。

 会社で実践されるあらゆるマネジメントは、あらかじめ策定された企業の目的や戦略を起点としなければ、機能しません。

 ドラッカーも「組織づくりは目的と戦略から入らなければならない」と述べています。

 組織構造は目的を達成するための手段である。
したがって組織構造に取り組むには、目的と戦略から入らなければならない。
これこそ組織構造についてのもっとも実りある洞察である。
これは当然と思われるかもしれない。そのとおりである。
しかし現実には、組織づくりの最悪の間違いは、いわゆる理想モデルや万能モデルをそのまま生きた組織に当てはめるところから生じている。
出典:ピーター・ドラッカー『マネジメント[エッセンシャル版]

経営者が行うトップマネジメントであれば、まずは企業理念(ミッション・ビジョン・バリュー)を策定します。

そのうえで中長期的な視野を持ち、3年後・5年後・10年後の企業があるべき姿を描き、目的・戦略を策定することが大切です。 

 

目的や戦略の策定力を鍛えたい人向けの参考書籍 

サイモン・シネック『WHYから始めよ!インスパイア型リーダーはここが違う』

リチャード・P・ルメルト『良い戦略、悪い戦略』

 

4-2. 人材発掘・人材育成力

 2つめは「人材発掘・人材育成力」です。

 強い組織を作るためには「人材」が欠かせないことはいうまでもありませんが、トップマネジメントにおいてまず重要なのは、自社に合う人材を発掘して活用する能力です。

 経営者に、幅広い人脈や鋭い活眼力によって社内外から優秀な人材を発見し、登用する力がなければ、目指す組織を構築するのは難しいでしょう。

 優秀な人材を自社に惹きつける経営者自身のリーダーシップ力・人望力や、魅力あるビジョンを描く会社の引力もカギとなります。

ミドルマネジメント以下においては、部下と信頼関係を築きながら能力の向上を的確に支援する力が重要なポイントです。

 

人材発掘・人材育成力を鍛えたい人向けの参考書籍

伊賀泰代『採用基準』

 石井遼介『心理的安全性のつくりかた』

 

4-3. 分析力

 3つめは「分析力」です。

 分析力とは、膨大に存在する情報やデータのなかから有益な情報を選り分けて、事実を客観的かつ構造的に捉え、重要な問題点や新たな発見を見出す力のことです。

そもそも分析力がなければ、良い戦略の策定も人材の登用もできません。
あらゆるマネジメントのベースとなるのが分析力であるといえるでしょう。

 分析力が高い経営者ほど、感情や直感に左右されることなく、真実・本質に根差したマネジメントを実践できます。

 

 分析力を鍛えたい人向けの参考書籍

後 正武『意思決定のための「分析の技術」』

 河本薫『会社を変える分析の力』

 

4-4. 問題解決力

 4つめは「問題解決力」です。

 分析して問題を発見できる能力と、それを解決できる能力は、また別となります。マネジメントの実務においては、うまくいくことばかりではありません。

 むしろ、日々発見される問題を、いかにスピーディに円滑に解決できるかが、優れたマネジメントとそうでないマネジメントの明暗を分けます。

 問題解決力を磨くうえで大事なポイントは、できるだけ多くのPOV(ポイントオブビュー、視点)を持ち、複数の解決案を提示したうえで、最適な選択肢を選択できるようになることです。

 「できるだけ多くの選択肢を持てる力」と「最適な1つの選択肢を選び抜ける力」を訓練することで、問題解決力は高まっていきます。

 

 問題解決力を鍛えたい人向けの参考書籍

高田貴久『問題解決――あらゆる課題を突破するビジネスパーソン必須の仕事術』

 内田和成『仮説思考―BCG流問題発見・解決の発想法』

 

4-5. プロジェクトマネジメント

 5つめは「プロジェクトマネジメント」です。

 プロジェクトマネジメントは、企業戦略の実行を担うミドルマネジメントにおいて特に重要な能力となります。

 具体的には、プロジェクトを期限内に予算内で完遂し、期待された以上の成果をあげるスキルが求められます。

 現実的な計画立案、必要なリソースの確保、メンバーへの業務の割り振り、チームの統率、計画の進捗管理、リスクの見積もりなどを通して、プロジェクトを成功へと導きます。

 経営者が経営戦略やビジョンを策定しても、最後までやり遂げられない組織では、プロジェクトマネジメントの能力が不足しています。

 どんなに優れた戦略も実行されなければ成果はゼロですから、成果をあげるマネジメント実践において、必要不可欠の能力です。

 

 プロジェクトマネジメントを鍛えたい人向けの参考書籍

伊藤大輔『担当になったら知っておきたい「プロジェクトマネジメント」実践講座』

 

4-6. プロフィット志向

 6つめは「プロフィット志向」です。

 マネジメントというと組織づくりや人材育成に重きが置かれがちですが、業績向上に結び付けるために不可欠なのが利益(儲け)に対するバランス感覚です。

 多くの企業では、経営者はプロフィット志向が強いものです。普段からPL(プロフィット&ロス、損益計算書)を意識し、会社をつぶさないために試行錯誤している経営者が多いでしょう。

 しかしながら、中間管理職以下のミドルマネジメント実践者のプロフィット志向が弱いと、会社全体のマネジメントがうまくいかなくなります。

 単純に利益が出にくくなるだけでなく、利益を重視する経営陣に対して「売上至上主義だ」といった反発が起きるケースもあるため、注意が必要です。

経営者としては、ミドルマネジメントを担う人材のプロフィット志向を育てることを意識しましょう。

 

プロフィット志向を鍛えたい人向けの参考書籍

エイドリアン・J・スライウォツキー『ザ・プロフィット利益はどのようにして生まれるのか』

 

4-7. 決断力

 7つめは「決断力」です。

 決断力とは「決める力」のことですが、単に決めるだけでなくより良く決められるかが、大事なポイントです。

 具体的には、より早く、より少ない判断材料で、より精度の高い、より高い成果に結び付く決断ができる力が、マネジメントに求められる決断力と言えます。

 そのためには、精度の高い仮説やフォーキャスト(予測)、優先順位の正しい把握、決断に伴う責任を負う覚悟、決断に誤りがあった場合のプランB(バックアッププラン)などの決断を支える要素が必要になります。

 なお、「決断力の有無は、性格に依存する」と思っている方も多いようですが、マネジメントに必要な決断力は訓練で鍛えられます。書籍などで技術を学んで練習しましょう。

 

 決断力を鍛えたい人向けの参考書籍

出口治明『早く正しく決める技術』

 『ハーバード・ビジネス・レビュー意思決定論文ベスト10 意思決定の教科書』

 

 


5. マネジメント実践の流れ 3ステップ

ここまでお読みいただき、
「今まで特に意識してマネジメントをしていなかったけれど、今後は戦略的にマネジメントを取り入れていきたい」
と感じているかもしれません。

どこから手を付ければ良いのか、実践の流れをご紹介しましょう。

5-1. ステップ1:経営理念・経営戦略を策定する

 1つめのステップは「経営理念・経営戦略を策定する」です。

 先に述べたとおり、マネジメントの出発点は経営理念・経営戦略であると思います。

 企業としての理念や戦略がないのに、小手先のテクニックでマネジメントを実践しても、業績向上は期待できません。

 具体的にはMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)と経営計画書を作成することをおすすめします。

 詳しくは以下の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。

 ▼ MVVミッション・ビジョン・バリュー

ビジョン式 経営計画書

5-2. ステップ2:組織づくりに取り組む

 2つめのステップは「組織づくりに取り組む」です。

 ステップ1で策定した理念や戦略に照らし合わせて、あるべき組織の姿を描き、それを実践していきます。

 具体的には、マッキンゼーが提唱した7Sのフレームワークに沿って組織の構築をするとスムーズです。

 組織の7S

ソフトの4S

Shared value (共通の価値観・理念)

Style(経営スタイル・社風)

Staff(人材)

Skill(スキル・能力)

ハードの3S

Strategy(戦略)

Structure(組織構造)

System(システム・制度)

 まずは現状を把握して、言語化するところから始めましょう。

 現状の言語化ができたら、「現状」と「あるべき姿」のギャップを探し、ギャップを埋めるための改善を施していきます。

5-3. ステップ3:人材マネジメントを実践する

 3つめのステップは「人材マネジメントを実践する」です。

 経営理念・経営戦略・組織ができたら、あとは日々の業務で人材マネジメントを実践していきます。
具体的には採用、人事評価、人材育成、モチベーションの醸成、チームづくりなどを進めていきます。

 初めて本格的な人材マネジメントに取り組む場合には、まず基礎知識を書籍やセミナー受講などを通して身に付けることをおすすめします。

 

初めて人材マネジメントに取り組む人向けの書籍

坪谷 邦生『図解 人材マネジメント 入門 人事の基礎をゼロからおさえておきたい人のための「理論と実践」100のツボ』 

 

知識がないままにゼロから自己流で実践するよりも、体系的に学んでから実践したほうが圧倒的に近道になるでしょう。

特に、中小企業で社内に本格的なマネジメントを経験した人がいない場合には、ぜひ書籍などの力を借りて知識を身に付けましょう。

 


6. マネジメントで業績を向上させる成功ポイント

最後に、マネジメントで業績を向上させるための成功ポイント3つ、お伝えします。

  1. 社長は未来を考える時間を確保する
  2. ミドルマネジメントに優れた人材を採用する
  3. 自分なりのマネジメント哲学を持つ

6-1. 社長は未来を考える時間を確保する

 1つめのポイントは「社長は未来を考える時間を確保する」ことです。

 ここまで繰り返しお伝えしてきたとおり、会社のマネジメントを成功させるためには「経営理念や経営戦略を起点としてマネジメントを行うこと」を忘れないようにしましょう。
この原点が曖昧になると、マネジメントするのが難しくなってしまうでしょう。

あなたの会社では、3年後、5年後、10年後──といった未来を見据えたビジョンや戦略を描けているでしょうか。

会社の未来を具体的に示すことは、経営者にしかできないことであり、社長の最も重要な仕事のひとつです。
にもかかわらず、多くの社長が日々の些末な業務に忙殺されて、未来を考える時間を十分に取れてないのではないでしょうか。
良いマネジメントを実現するためには、未来を考える時間を確保しましょう。

そのためには、現在自分で行っている業務のうち、社員に権限委譲できる業務や社外の専門家に依頼できる業務を、積極的に手放すことが大切です。

例えばファイナンスであれば、優秀な税理士の支援を受けることで、資金繰りや節税に頭を悩まされる時間がなくなります。

実際、私たちビジョン税理士法人でも多くの企業を支援しており、以下の成果をあげています。

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6-2. ミドルマネジメントに優れた人材を採用する

 2つめのポイントは「ミドルマネジメントに優れた人材を採用する」ことです。

 すでにミドルマネジメントを任せられる優秀な人材が社内にいれば良いのですが、そうでない場合には、採用によって獲得を目指すと良いでしょう。

 というのは、社内にまだマネジメントが定着していない段階では、社内で優れたマネジャーを育てることは非常に難しいからです。

マネジメントとは具体的にどうやれば良いのか目で見て学ぶことが難しいため、マネジャーが育つまでに時間がかかります。

そこで外部からミドルマネジメントができる人材を引っ張ることで、社内のマネジメントが機能しやすくなるのと同時に、社内でのマネジャー育成にも役立ちます。

6-3. 自分なりのマネジメント哲学を持つ

 3つめのポイントは「自分なりのマネジメント哲学を持つ」ことです。

 本記事ではマネジメントの基礎知識を解説してきましたが、マネジメントは非常に奥が深い概念です。

 ここで学びを止めることなく、さまざまな先駆者やトップ経営者たちのマネジメントを知り、自分なりのマネジメント哲学を構築していってください。

 自分なりのマネジメント哲学が、あなたの会社特有の目的と使命を果たすマネジメントを実現する原動力となるはずです。

 最後に、マネジメントの学びを深めたい人におすすめの書籍を3冊、ご紹介します。

 マネジメントの学びを深めたい人向けの書籍

スティーブンP.ロビンズ『マネジメントとは何か』

アンドリュー・S・グローブ『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』

ピーター・F・ドラッカー『マネジメント[エッセンシャル版]』

 

 


7. まとめ

 マネジメントとは人間と組織の力を生かして成果をあげる一連の取り組みのことです。マネジメントは事業に命を与える存在であり、マネジメントの目的は成果をあげることです。

 マネジメントには3つの役割があります。

  1. 組織の目的と使命を果たす
  2. 生産性を向上し従業員に成果をあげさせる
  3. 社会に貢献する

 階層別に見るマネジメント業務は、以下のとおりです。

 トップマネジメント

  • 経営理念・経営戦略の策定
  • 組織の構築
  • 人材育成の仕組みづくり
  • リスク管理

 ミドルマネジメント

  • 経営戦略の実行管理
  • 経営理念や行動規範の浸透
  • 人材育成

 ロワーマネジメント

  • 作業の指揮監督

 

マネジメントに必要な能力・スキルとしては以下が挙げられます。

  1. 目的や戦略の策定力
  2. 人材発掘・人材育成力
  3. 分析力
  4. 問題解決力
  5. プロジェクトマネジメント
  6. プロフィット志向
  7. 決断力

 マネジメント実践の流れは以下のとおりです。

  • ステップ1:経営理念・経営戦略を策定する
  • ステップ2:組織づくりに取り組む
  • ステップ3:人材マネジメントを実践する

 

マネジメントで業績を向上させる成功ポイントはこちらです。

  1. 社長は未来を考える時間を確保する
  2. ミドルマネジメントに優れた人材を採用する
  3. 自分なりのマネジメント哲学を持つ

 マネジメントに取り組むファーストステップとしては、経営理念や戦略を明確にすることが大切です。以下のページより経営計画書を作成することから始めてみましょう。

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