問い合わせ LINE相談 メール相談 電話相談

ランチェスター経営は中小企業のバイブルだ!

横浜市戸塚区のビジョン税理士法人・代表税理士の鈴木宗也が「ランチェスター経営は中小企業のバイブルだ!」についてお届けします!

ランチェスター経営戦略という言葉を聞いたことがある人も、全く聞いたことが無い人もいると思います。

もともとは軍事法則であるランチェスターの法則は、経営に活かすことができるのです。
ランチェスター経営と呼ぶこともあり、企業戦略を考慮しどのように活かしていくのか?
基本的なことを紹介します。

ランチェスターの法則とは一体?

ランチェスター経営の基本を学ぶ前に、ランチェスターの法則について学ぶ必要があります。
何故ならランチェスターの法則をベースにして経営に取り入れたものが、ランチェスター経営だからです。
ランチェスターの法則は元々軍事的な戦争の勝ち負けの法則であり、戦争の勝敗は兵力と兵数によって決まります。
兵力とは戦闘機や戦車といった武器や戦闘効率を数値化したものです。
ランチェスター法則には二つの法則があるのでそれぞれについて解説します。

ランチェスターの第一法則

ランチェスターの第一法則では、原始的な戦い方を基本とした戦闘方法です。
言うなれば一対一で戦闘を行う方法です。
この場合には兵力=兵数となるため、1人当たりの能力が全く同じだった場合には被害差は兵数差になります。
つまり、100人と60人が刀を持ち切りあった時に60人側が全滅した時は、100人側のやはり60人が死亡し、被害の出方は1対1になります。
第一法則では、初期兵数の多い少ないに関わらず、いつも同数の被害者が出るのが特徴です。

銃や戦闘機などの近代兵器が登場するまでの間における戦争では、常に絶対の兵数を集める事が勝者になっていきます。
この第一法則が成立する条件とは、射程距離が短い武器をもち敵に接近戦を仕掛けて、一騎打ち戦を行う時に初めて成立します。

ランチェスターの第二法則

ランチェスターの第二法則は、兵力が兵数の2乗になる戦闘方法です。
一人当たりの能力が全く同じ場合には、被害の差は兵数の2乗の差になります。

接近戦ではなく遠距離から離れて銃撃戦を行うとこのような差になります。
100人と60人とが遠距離で撃ち合った場合を考えてみます。
100人側は確立1/100の攻撃を60人から受けることになり、60人側は、1/60の攻撃を100人から受けることになります。

すると、
100人側が3600/6000の被害になり60人側が10000/6000になります。
結果的に3,600対10,000という兵数の2乗になっています。

この場合の被害数は2乗の差の平方根になっていて、10,000-3,600=6,400となりその平方根の80人が残ることになります。
100人側は20人の被害で、60人側は全滅するのです。
つまり初期兵数の2乗に被害が拡大します。

近代的な戦闘においては、兵数が多い方が圧倒的に有利で被害数は2乗に比例します。

戦闘においては兵数が多い方が有利なのは変わりはないですが、遠距離で撃ち合う近代的な戦闘では確実に兵数が多くないと勝ち目はありません。

実際に太平洋戦争中には、アメリカ兵はランチェスター法則を応用して3対1や4対1の兵数で戦った結果、アメリカ兵と日本兵の被害はアメリカ軍15万に対し、日本軍が150万人となり1対10になっています。

ランチェスターの法則を経営に活かす!

ランチェスター法則を経営に活かすには条件があります。

  • 経営に関する基礎知識がきちんと身に付いている事。
    戦略の意味や内容を正しく理解する事。
  • ランチェスターの法則自体を正しく理解する事
  • 最後に知恵と工夫で応用する事

ランチェスター法則を正しく理解していても、経営の基礎知識が無ければ、それは正しく生かす事が出来ないのです。
経営の要素や戦略についての知識は経営者として必要最低限のものになりますので、
しっかりと学習しておくことが必要です。
その上でランチェスター法則から経営に活かす方法を解いていきましょう。

ランチェスター法則から分かる事

ランチェスターの法則から、戦闘の被害における兵数の多さが大事であることが分ります。
経営をする上において、兵数の差は企業の経営規模と置き換えることができます。
大企業ほど投入できる資源が多く、小企業は少ないからです。
それなのに戦う市場は同じなのです。

まともに戦って、中小企業が大企業に勝てるとは誰も考えませんね。
特に第二法則に合致する条件で戦っては、どうにも太刀打ちできない事は理解できるかと思います。
では、どうするか?といえば、第一法則が成り立つ条件で戦う事です。

局地戦に持ち込み一騎打ちで戦う事こそが弱小企業が戦う道なのです。

つまり経営資源をある局面だけに絞って投入する事、よく言われるのがターゲット層を絞り込む事や商品を特化してニッチな所に活路を求める方法です。

この方法で不利な条件をより不利にならないようにします。
ただ、どう戦っても大企業と戦っても通常は勝つことはできません。

大企業が入り込むことができない領域やゲリラ戦のような局地戦、つまりはライバルがいない場所で戦う事が大切な事で強者からは逃げる事も経営戦略上は必要な事です。

ランチェスター経営における強者とは?

経営における戦場への投入資源といえば、商品と営業マンです。
商品力は武器の質となり営業マンは兵数となります。
強者というのは、商品力、ブランド力がある商品があり、それを売る販売員が多い企業です。
大抵の場合は大企業なのですが、大企業であっても弱者と強者が存在します。
では、弱者と強者の境はどこにあるのでしょうか?

そのカギは市場占有率によります。
市場占有率が高い企業ほど強者であり、低い企業ほど弱者になります。
それは企業規模とは関係ないので、ニッチな市場では中小企業でも強者となりえます。

強者とは市場占有率1位の企業のことを指し2位以下の企業は弱者と考えます。
市場占有率26.1%で全体の1/3を押さえたことになり、41.7%で半分を押さえたことになり、73.9%を超えると実質的に一社独占とほぼ同じになり、
ランチェスター経営の企業経営における一つの目標とされます。
この数値は、ランチェスター法則を経営に取り入れることを提唱した田岡信夫氏と斧田太公望氏によって導き出されています。

強者の戦略

強者の戦略を学ぶ事は弱者にとって大変重要な事で、弱者が強者と同じ戦略を取ると必ず失敗してしまうのでやってはいけない行為とも取れます。

企業経営において大事なことは、まずはやってはいけない事を知る事で、失敗を少なくする事が企業経営を失敗しない条件でもあります。

ほとんどの中小企業は弱者である事が多いので、強者の戦略を知って同じことをしない事と、、その逆を行うようにしていく事がランチェスター経営の初歩です。

強者の行うべき戦略とは?

市場占有率トップの強者は、全てにおいて圧倒的な力を見せつけることが大事なポイントです。

ランチェスター法則の第二法則のような戦い方を基本戦略とし、遠距離戦、広域戦、総合戦を行います。
経営における遠距離戦とは、間接販売を行ったりTVCMなどの広域広告を行ったりします。
他との差別化を図るのではなく、模倣や同質のものを市場に投入して他社を圧倒していきます。
市場占有を最大限に利用し他社の追随を押さえ込む戦略を取ります。

ターゲット層を絞らないフルラインナップで商品を揃え、先手必勝で新商品を投入していきます。
総合1位を目指して全ての経営資源を投入していきます。

弱者の戦略

強者は全企業で0.5%もなく、ほとんどの企業が弱者企業です。
弱者の取るべき戦略は強者の戦略の逆を行えば大丈夫です。
一対一になるように近接戦を行い遠距離戦は避けます。

接近戦とは直接販売を行い、お客と面と向かって営業を行う方法です。
また広域にならないように営業範囲を極力狭くします。
商品はターゲットを絞りピンポイントの商品を選びます。
強者と被らないようにニッチなものを選択して差別化を図っていきます。
総合1位ではなく部分的な1位を目指します。

弱者の戦略を理解する事が第一歩!

ほとんどの企業が弱者であると言われると通常の社長は「うちの技術は日本一だから弱者じゃない!」とか「お客が〇〇企業だから弱者じゃないだろう?」などと思うものです。

ランチェスター経営で言う強者と弱者の違いは市場占有率で決まっている為、企業規模や顧客企業などには関係ありません。
市場で1位でかつ26.1%以上占有している企業だけが強者なのです。
まずはココを理解しましょう。

市場規模が大きいからと営業範囲を広げたり、様々な商品を扱って何でもあります!という戦略は強者が行うと効率が良いのでおすすめですが、弱者が行うと強者の影響を受ける為に効率が悪いどころか、意味がない事になります。

弱者の戦略の基本は、部分的1位を目指す事なので営業範囲は自社近辺に絞ります。
扱う商品も一点に絞り、その商品ならどこにも負けない!という商品を作ります。
一点突破して顧客を掴んだら、初めて品種を増やします。

よくあるのが「何でもできます!」というフレーズですが、何でもソツなくできる事は知名度がある強者だから良いのです。

自分がお客になったつもりで考えてみてください。
知名度が低い業者から営業を受けたとき、何ができる?何が得意?と聞くと思います。
何でもできると言われても得意なことを聞くはずです。
であれば、
最初から得意なものや専門分野をしっかり持ち集中させて営業する方がお客を得る可能性が高いです。
弱者の戦略の基本は極力狭いところで勝負し、より大きな他社の影響を低くする事です。

中小企業が取るべき戦略とは

それでは中小企業が取るべき戦略とはどうすれば良いのだろうか?
先ずは目的と手段をはっきりとさせるところから始めます。
ランチェスター経営を学習すると必ず目的や目標を立てるところから始まります。
何故ならば、経営における目標がブレていると戦略もブレ始めて結果的に売り上げを伸ばすことができなくなります。

もう一つ大事なことがあります。

よく数値目標を最初に掲げる人がいますが、数値目標はあまり意味がありません。
あくまでも経営の目標があり、それを達成するための数値目標なのです。
利益を上げる事は企業経営で重要な事ですが、それを目的や目標に据えてしまうとうまくいかない事が多いのです。

では何を目標とすべきかといえば、1位になる事です。
どんなジャンル、地域、何でも構わないので1位になる事が大事なのです。
小売業ならば地域で1位を目標とするのが良いでしょう。
ランチェスター経営は市場1位になる事が最終目標にあり、そこに到達するための戦略を立てる事こそが本筋なのです。

1位になる事が有利!

トップになると何が有利になるのでしょうか?
4つの原則を説明します。

  • 1つ目 特定地域でお客が多くなると移動時間が短くなる
  • 2つ目 お客からの紹介が増え、更にお客が増えていく
  • 3つ目 知名度のアップ
  • 4つ目 純粋に1位にお客が流れる

同業者が倒産すると、必ず1位の会社にお客は流れていきます。
この4つの原則が当てはまる為に、ランチェスター経営では1位になることを目標とします。

特定地域でも1位になれば、その地域で強者となれるのです。
中小企業が目指すべき事は狭い地域で1位になって、トップを守りつつその地域を少しずつ拡大していく事なのです。

細分化して1つに集中!

企業の経営戦略を立てる上で重要な項目、商品、客層、営業地域があります。
その全部を細分化する事から始めます。
商品ならば大衆向けから専門向けまで、価格帯なら高価格なものから低価格まで細分化します。

客層であれば、老若男女だけでなく年齢別、職業別、収入別などに分割します。
営業地域も一緒です。
細かく細分化したら、その中で自分が得意な分野の商品を選ぶなど細かくした一つを選択してそこに一極集中させます。

そんなに細分化してしまったらお客はいないのでは?とか思う方もいるかもしれませんが、どこも扱わない商品を販売していればその地域のお客は全て集客できます。

そして大事な事ですが、特定の商品だけでなく関連するモノも一緒に売れるので心配はいりません。
一極集中してその分野で1位になる事が大事です。

パレートの法則

パレートの法則とはイタリアの経済学者であるパレートが発見したべき乗則で、自然現象や環境など様々な事例に当てはめることができます。
80:20の法則とか、バラツキの法則とか言われる事があります。

よく言われるのが、上位20%の人が80%の利益を上げているとか、2割の人で8割の売り上げを上げるなど経済指標にも使われます。
社長の実力は企業経営に直結していて、その実力にはパレートの法則が働いています。

その為に、社長の実力が業界内100人で10位以内でなければ利益は出ていない事になります。
30位ほどで利益がゼロの会社になります。
それは企業の2割が黒字を出していて赤字でない企業が3割という統計データで裏付けされています。
実力を付けて、10位以内に入れるように努力することが必要です。

社長の実力をアップすることが大事!

社長の実力はテストがあるわけではないので、はっきりとは分らないですが、社長の実力が企業の実績に反映されるので、利益が出ていない企業の社長は実力不足なのです。

ところが、こういう社長は仕事で動き回っている事が多くて、休みもなく働いている人も多いです。
それでも利益が上がらないのは、やり方が間違っているからです。

社長のするべき事はたくさんありますが、経営の勉強をして実力を付けることも必要な事です。
間違っている事をいくらやっても利益は出ないので、辞めてしまう事も必要です。
この辞める行為はとても難しいのですが、じり貧になる事を続けて意味があるでしょうか?

自分の企業を守りたいのであれば、自分で守るしかないので自分に投資して学習して実力を付けましょう。
ランチェスター経営を自社経営に活かす為にも、経営の基礎は勉強しておく必要があります。

足りないと思っている事は勉強して、実力を高め企業経営に活かしてください。