良樹細根(りょうじゅさいこん)のはなし! コラム
良樹細根(りょうじゅさいこん)
私(代表税理士の鈴木)は2018年からダイエット目的で、藤沢駅(神奈川県藤沢市)の自宅近所にあるキックボクシングジムに通いはじめました。
キックボクシングと聞くと、プロを目指す本格的で強面なイメージを連想したので、入会を躊躇していましたが、入会してみると、とても雰囲気の良いジムでした。
私は、過去に様々なスポーツジムに5回入会し、結果的にほぼ通わずに退会を繰り返してきた経歴がありますが、このジムは入会して2年が経過しても奇跡的にまだ続いています。
ぜこのジムでは続けられるのか、なぜこのジムは気持ちいいのかと考えたことがあります。
内装・外観は決して豪華でなく、とても素朴なジムですが、コーチ全員が明るい挨拶を自然と行い、仕事に対して真剣に取り組んでいます。
また、今さら伸びしろがないダイエット目的の私に、プロの現役選手や元プロ選手のコーチが、とても熱心にキックやパンチの方法を指導して頂けます。
お客様に対して熱心なサービスを行うことは、一見して当然な対応のように思えますが、明るい挨拶や、真剣な指導の姿勢がお客様に伝わるのは、実は難しいものです。
僅か3~4人のコーチが全員素晴らしい訳を考えてみましたが、理由はジムオーナーの人格にあると感じました。
オーナーは常に感謝の気持ちでコーチやお客様に対して接し、仕事に真摯に取り組んでいるように感じます。
このような根底の部分が素晴らしいことを考えると、「良樹細根」という言葉が、私の頭の中に浮かびあがって来ました。
「良樹細根(りょうじゅさいこん)」とは、イエローハット会長の鍵山秀三郎先生の著書に書かれている言葉です。
樹木は、広く深く細かく根を張っていなければ、大樹に育ちません。
何事を始めるにも、根が先で、葉は後。
(鍵山秀三郎 凡事徹底 日めくりカレンダーより)
大きな木は、その幹や枝に負けず劣らず、立派で細かい「根っこ」を持っています。
良樹にするためには、根を細かく、張っていく時期が大切です。
根は見えませんが、樹木は見えます。
一見大きな木だけが注目されがちですが、大きな木には、根が広く、深く、細かく張っていなければ、いずれ枯れてしまいます。
人は、目に見える花や枝ぶりの良さにとらわれ、見えない部分を見落としてしまいます。
しかし、大切なものは、目に見えない根の部分です。
さらに、根は土が良くないと、しっかり根付きません。
良樹細根は、会社の成長や人の形成に当てはまります。
会社では従業員を守るために利益を出す必要があります。
利益は、社員を守るためのコストです。
事業を存続させるために利益が必要です。
樹木に例えると、利益は花と果実です。
利益という花・果実は、良い土壌、細かく強い根、幹、枝葉があって生まれます。
会社は業績で評価されます。
それは赤字か黒字か、数字で表れます。
樹木の価値は美しい花や果実によって決まります。
「経営は逆算」という一倉定先生の言葉があります。
利益という豊かな実りを得るには、逆算すると強い枝葉、太い幹、そして根、土壌に辿りつきます。
会社や人が大きな木のように生育し、正しい人格が形成されることを「良樹」とするのであれば、
「細根」とは・・・
- 時間を守る・約束を守る
- 整理・整頓・掃除
- 明るい挨拶をする
- 仕事を真剣に取り組む
- 感謝の気持ち
- 礼儀など
正しい事を、日々コツコツと積み重ね、実行していくことです。
「細根」を張り巡らせるには、良い「土壌」が必要です。
土に栄養がなければ、根っこは栄養を吸い上げる事ができません。
土壌とは、社長を含め働く人たちの姿勢で、原理原則に基づいた認識と行動がされているかが、大切となります。
原理原則とは・・・
- 何事も100%自分の責任であることを自覚する
- 頂いた縁に感謝する
- 素直さ、謙虚さを大切にする
- 職場の仲間や家族、お客様を大切にする・・・など、
当たり前であり実は難しい、とても大事なことが良い土壌をつくり出します。
土壌に栄養を与え、吸い上げる事により、根が張り、幹が伸びたら、次は「幹と枝葉」です。
「幹と枝葉」とは、会社で言えば「経営理念と社風」です。
経営理念とは、お客様第一主義とか、従業員第一主義の方針であり社風とは、社内でお互いに助け合う、そして仲が良い社風とか、です。
さらに強い経営理念を備えると、社長と従業員の気持ちが一致し、同じ行動指針で動けることになります。
みんなの心がバラバラの方向を向いていては、強い企業文化は作れません。
良い土壌に、細かい根を深く張り巡らせることで、そして謙虚に、素直に、熱意を持って行動をすれば、いつかは美しい花が咲き、
豊かな実がなります。
最初にお話しをしたキックボクシングジムの話に戻しますと、ジムのオーナーの人格こそ良樹細根のうち、土壌です。
コーチたちの素晴らしい振る舞いが細根、私が受けている気持ち良い指導が、良樹細根の幹と枝葉と言えるでしょう。
経営者は、常に真剣な想いで土壌・細根を育てることが、大切だと学ばせて頂きました。
表面的な上っ面の飾りでなく、お客様をはじめ、社内のスタッフ、外部の協力者と感謝の気持ちで接し、真の信頼関係を築くことが大切です。
外見上からは目に見えない根と土壌を大切にしている会社は、お客様から愛され、信頼され、そして選ばれ、継続して生き延びることができるのでは、と感じています。
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