
事業承継・引継ぎ補助金を活用できれば、承継時の資金負担を抑えられます。しかし、申請方法が複雑で、採択率を高めるポイントが分からず不安を抱える方も少なくありません。
本記事では、補助金の申請手順や計画書の書き方、実現性や加点項目を整える方法も解説します。本記事を読むことで、補助金を活用した事業承継を成功させられるでしょう。
目次
事業承継・引継ぎ補助金とは?制度の目的と令和6・令和7年度の変更点
事業承継・引継ぎ補助金とは、事業承継やM&Aに伴う新たな取組に必要な費用を支援する国の補助制度です。
令和7年度からは名称を「事業承継・M&A補助金」とし、支援枠を4枠に拡充するなど、令和6年度からの見直しが一段と進みました。ここからは、この制度の目的と、令和6・令和7年度の主な変更点を見ていきましょう。
参照:事業承継・引継ぎ補助金
事業承継・引継ぎ補助金の概要と対象者(個人事業主も対象)
事業承継・引継ぎ補助金は、事業承継やM&Aに伴い中小企業や小規模事業者が行う新事業や設備投資に必要な費用を補助する制度です。
この制度は目的別に3枠に分かれ、設備投資や専門家への報酬、廃業に伴う費用などが対象となります。また、個人事業主も他事業者からの事業引継ぎや設備投資を行う場合は申請対象に含まれます。
補助金額は最大800万円(経営革新枠・賃上げ実施時)となり、事業承継に伴う資金負担を大きく軽減することが可能です。
令和6年度・令和7年度の最新スケジュールと「いつまで申請できるのか」
令和6年度は、第9次公募と第10次公募が実施されました。
令和7年度は、第11次公募と第12次公募が実施されました。さらに、2025年10月31日~11月28日には第13次公募も行われる予定です。
これらのスケジュールから、申請は年間を通して複数回の募集が行われており、最新の公募情報を確認して申請期限に間に合うか判断してください。
採択結果から見る傾向と採択されやすいケース
採択結果を見ると、制度全体の傾向と採択されやすいケースが確認できます。
採択結果の主なポイントは、以下のとおりです。
- 採択率は全体で約5~6割とされ、経営革新枠と専門家活用枠は約60%に達するが、廃業・再チャレンジ枠は35%前後にとどまる
- 承継後の成長戦略を明確にし、専門家の助言を受けて作成した計画は採択されやすい
これらを踏まえると、客観的な助言を受けながら綿密な計画を作成することが採択のカギとなります。
事業承継・引継ぎ補助金の3つの事業類型(経営革新・専門家活用・廃業再チャレンジ)を比較
事業承継・引継ぎ補助金には、「経営革新」「専門家活用」「廃業・再チャレンジ」の3類型があり、目的や補助内容が枠ごとに異なります。
それぞれで対象経費や補助率に差があるため、事業の状況に合わせた選択が必要です。ここでは、3つの事業類型の特徴や補助内容の違いを比較します。
経営革新(創業支援型・経営者交代型・M&A型)の特徴と補助率
経営革新は、中小企業が事業承継後に行う経営改革を支援する制度です。
- 創業支援型は他社の設備や人材などの経営資源を引き継いで創業する場合
- 経営者交代型は親族や従業員への承継
- M&A型は第三者への承継を対象
承継後の設備投資や借入金返済、店舗改装など幅広い経費が補助対象となり、補助率は原則1/2(一部条件で2/3)です。
補助上限は600万円で、賃上げを実施した場合は800万円となります。
専門家活用で補助される費用・対象者・M&A時の注意点
専門家活用は、M&Aに必要な専門家費用を支援する制度です。
「売り手支援型」と「買い手支援型」の2種類あります。
補助対象にはFA仲介手数料やデューデリジェンス費用、契約書作成費などが含まれ、補助率は原則1/2(一部条件で2/3)です。補助上限は600万円で、M&Aが未成約となった場合は300万円が上限となります。
注意点として、FAやM&A仲介業者への支払いは登録制度に基づく登録業者が行う業務であることが補助対象の条件となります。
廃業・再チャレンジ事業で支援される経費と併用の可否
廃業・再チャレンジ事業では、以下の費用が対象になります。
- 廃業に伴う登記費用
- 決算清算の専門家費
- 従業員人件費
- 在庫廃棄や設備解体
- 原状回復
- リース解約料
再挑戦のための新事業開始費用も補助対象に含まれます。廃業・再チャレンジ事業は経営革新事業や専門家活用事業との併用が可能で、併用時には設備移転費も計上できます。
ただし、他事業との重複申請は認められません。補助率は2/3以内で、補助上限は150万円です。
補助対象経費・上限額・確定申告との関係
補助金の対象経費には設備投資や専門家費用、廃業に伴う費用が含まれます。補助額には下限があり、最低補助額を下回る場合は支給されません。
また、受給額は課税対象となるため、確定申告で計上する必要があります。
設備投資・専門家費用・廃業費用など対象経費の具体例
補助金の対象経費は類型により異なります。設備投資では機械装置やシステム構築、建物費、技術導入費などが対象です。
専門家費用にはM&Aアドバイザーや中小企業診断士への報酬、仲介手数料やデューデリジェンス費用などの委託費が含まれます。
廃業・再チャレンジ事業では廃業支援費や在庫廃棄費、設備の解体費などが補助対象です。
補助率・上限額の比較と最低補助額の注意点
補助率と上限額は事業枠ごとに異なります。
- 事業承継枠は1/2(小規模は2/3)で、上限は800万~1000万円
- 専門家活用枠(買い手支援型)は1/3~2/3で、上限は600万~800万円(条件により2000万円)
廃業枠は2/3または1/2で、上限は150万円となります。また、最低補助額を下回る場合は補助対象外となる点に注意が必要です。
個人事業主の注意点と確定申告・税務処理への影響
個人事業主は白色申告では対象外となるため、事前に青色申告承認申請を行い、受領印のある決算書を準備する必要があります。
補助金は会計上は営業外収益となり、所得税の課税対象です。消費税は非課税で、確定申告では受給年度の雑収入などとして計上します。
課税所得が増えることで、税負担が大きくなる点に注意が必要です。所得税や住民税、事業税も課税対象となるため、申告時の確認が欠かせません。
事業承継・引継ぎ補助金の申請方法と採択率を高めるポイント
事業承継・引継ぎ補助金は、申請にgBizIDプライムの取得や必要書類の準備が必要になります。
採択率を高めるためには、事業計画を的確にまとめることが重要です。ここからは、申請手順と計画書作成のポイント、加点項目について詳しく解説します。
申請手順(アカウント取得〜必要書類準備)と提出時の注意点
申請手順は複数の工程を順に進める必要があります。特にアカウント取得や確認書の準備には時間を要するため、早めの対応が欠かせません。
主な手順は以下のとおりです。
- gBizIDプライム取得:申請には専用の電子申請アカウントが必要で、取得に時間がかかるため早めに手続き
- 支援機関確認書の準備:認定経営革新等支援機関が発行する確認書を取得し、申請書類に添付する
- 必要書類の準備:公募要領から申請フォームや計画書テンプレートをダウンロードし、必要事項を記入・添付する
- 提出:担当者の連絡先や計画内容を最終確認し、締切の4営業日前を目安に提出する
これらを確認し、余裕をもって申請を進めることが重要です。
記入例から見る採択される事業計画書の書き方
採択される事業計画書では、承継後の事業ビジョンや収益見込みを具体的に示すことが重要です。
たとえば、新規事業展開や業務効率化の効果を数値で示すことです。
承継後に売上増加やコスト削減の目標を掲げ、根拠となるデータを盛り込むことが採択につながります。
制度説明資料や採択事例集の記入例を活用し、審査視点を踏まえた構成で計画を作成しましょう。簡潔で分かりやすい文章にまとめると、審査員に伝わりやすい計画書となります。
加点項目・計画の実現性・収益計画を整えるコツ
申請書では加点項目を押さえ、計画の実現性を示すことが重要です。
加点項目としては、経営革新計画や経営力向上計画の認定、女性活躍や子育て支援に関する計画の策定が挙げられます。
収益計画では、売上や利益を売上高やコストの根拠に基づき示し、採算性を明確にすることが求められます。
関係者の役割や体制を整理し、期限内に実現可能な計画である点を示すことで評価が高まるでしょう。
まとめ|補助金を活用した事業承継は税理士への相談がおすすめ
事業承継・引継ぎ補助金は、制度を正しく理解し申請内容を最適化すると、採択される確率も上がります。
しかし、補助対象経費の判断や計画書作成、税務処理には専門知識が必要となる場面が多く、慎重な対応が欠かせません。
横浜市に拠点を置くビジョン税理士法人では、補助金を活用した事業承継の支援にも対応しています。
最適な申請方法をご提案しますので、まずはご相談ください。

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