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小規模宅地等の特例の事業承継・保有継続要件をケースごとに解説

被相続人が事業用の敷地として使用していた土地に対し、小規模宅地等の特例を適用する場合には、事業承継・保有継続要件を満たす必要があります。
被相続人の事業をそのまま引き継けば、要件は必然的に満たします。
しかし相続後に転業・廃業・休業する場合には、特例を適用できない可能性もありますので、注意してください。

 

小規模宅地等の特例の事業承継・保有継続とは

小規模宅地等の特例には4種類の制度が存在し、そのうち3種類の制度の適用要件として事業承継と保有継続要件があります。

<小規模宅地等の特例の種類>

〇事業承継・保有継続要件がある制度

  • 特定事業用宅地等
  • 特定同族会社事業用宅地等
  • 貸付事業用宅地等

〇事業承継・保有継続要件がない制度

  • 特定居住用宅地等

 

本記事では、特定事業用宅地等を適用する際の事業承継・保有継続要件について、解説します。

 

事業承継の要件

事業承継要件のポイントは2点です。

  • 被相続人の事業を相続税の申告期限までに引き継ぐ
  • その事業を相続税の申告期限まで継続している

たとえば被相続人(亡くなった人)が飲食店を営んでいた場合、対象物件を相続する人が飲食店を継がなければいけません。
また被相続人と生計を一にしていた親族が、生前中から事業用として利用していた土地も、小規模宅地等の特例の適用対象です。
その際の適用要件としては、相続開始前から事業を営んでいた親族が、申告期限まで事業を継続している必要があります。

 

保有継続の要件

特定事業用宅地等を適用する場合、対象物件を相続した人が相続税の申告期限まで、土地を所有していなければいけません。
そのため相続税の申告期限までに対象物件を相続しても、申告期限までに売却や贈与などで手放した場合、特例の対象外となります。

 

相続税の申告期限までに転業した場合の小規模宅地等の特例の可否判定

相続税の申告期限までに転業した場合における、特定事業用宅地等の原則と例外をご説明します。

 

被相続人が営んでいた事業を引き継ぐのが原則

特定事業用宅地等は、被相続人が営んできた事業を承継することが前提の制度です。
したがって対象物件を取得した人が、相続税の申告期限前に被相続人の営んでいた事業とは別業種に転業した場合には、特定事業用宅地等は適用できません。

 

事業の一部を転業したケースでは特例の適用は認められる

相続した人が被相続人の営んでいた事業とは別業種に転業した場合でも、転業が事業の一部であり、かつ被相続人が営んでいた事業自体は継続している場合には、特例適用は認められます。
ただし転業の事業が、不動産貸付業(駐車場業や駐輪場業など)に該当する場合には、特定事業用宅地等は適用できませんので、ご注意ください。

 

相続税の申告期限までに廃業した場合の小規模宅地等の特例の可否判定

次に相続税の申告期限までに廃業した場合における、特定事業用宅地等の原則と例外をご説明します。

 

相続税の申告期限までに廃業した場合には適用できない

特定事業用宅地等は、申告期限までに事業を承継・継続することが要件ですので、一旦事業を承継しても、申告期限までに事業を廃止した場合には、特例を適用することはできません。
また特定居住用宅地等は、被相続人の事業を承継することが前提の特例であるため、被相続人の事業を終了し、別事業を開始した場合も特例適用はできません。

 

事業の一部を廃業した場合には事業継続部分のみ適用可能

被相続人が対象物件の土地で複数の事業を営んでいた場合、特定事業用宅地等を適用するためには、それぞれの事業を承継する必要があります。
そのため一部の事業のみを引き継ぐ場合、事業を廃止する部分については特例の対象外となります。
なお1つの建物で複数の事業を営んでいた場合には、建物の床面積など合理的な方法を用いて、特例適用可能面積を算出します。

 

<特例適用面積の計算例>

〇土地の面積

・400㎡

〇被相続人の事業

・2F製造業(建物床面積120㎡)⇒事業承継

・1F飲食業(建物床面積180㎡)⇒事業廃止

 

400㎡(土地面積)×120㎡(事業承継面積)÷300㎡(建物床面積の合計)=160㎡(特例適用可能面積)

 

相続税の申告期限までに休業した場合の小規模宅地等の特例の可否判定

相続税の申告期限までに休業する場合でも、特定事業用宅地等を適用できるケース、できないケースがありますのでご説明します。

 

災害による休業は再開見込みがあれば特例の適用対象とみなされる

特定事業用宅地等は、相続税の申告期限までに事業を引き継いでいなければなりませんので、相続開始時点で店を閉め、休業状態のまま申告期限を迎えると特例は適用できません。
しかし災害により休業していた場合には、被相続人の事業を承継する人が事業再開の意思があると認められる場合に限り、特例を適用できます。

 

事業再開を前提とした建て替え休業であれば特例は適用可能

事業用建物の建て替えによる休業の場合、建て替え後に被相続人の営んでいた事業を再開すると認められれば、特例を適用できます。
しかし建て替えにより建物の用途を変更したり、建物の一部を事業用として利用しない場合、事業用以外の部分は特例の対象外となります。

 

対象物件を相続した人が相続税の申告期限前に死亡した場合

相続税の申告期限前に相続した土地を手放した場合には、特定事業用宅地等を適用できません。
しかし対象物件を取得した相続人が、被相続人の相続税の申告期限前に亡くなったことにより所有権が移る場合には、相続人の相続人が事業承継・保有継続要件を満たせば特例を適用できます。
なお亡くなった相続人の相続人が提出する相続税の申告期限は、相続人が亡くなった日の翌日から10か月以内です。
したがって相続人の相続人は、その申告期限までに事業を承継することになります。

 

小規模宅地等の特例の事業承継・保有継続要件のまとめ

小規模宅地等の特例は、土地を被相続人と同様の用途で利用することを前提とした特例制度です。
税務署が事業承継していないと判断すれば、小規模宅地等の特例は適用できませんので、申告期限前に転業・廃業・休業する場合には要注意です。
小規模宅地等の特例を適用できないと大幅な増税になりますので、特例適用で不明な点がありましたら、ビジョン税理士法人にお尋ねください。