0120-998-707 無料面談申込み

小規模宅地等の特例を併用適用する際の具体的な減額計算のしかた

 

小規模宅地等の特例は、相続税評価額を最大80%減額できる制度ですが、特例を適用できる面積には上限があります。
また特例を受ける土地は相続税を申告する人が選択しなければいけないため、適用する土地の選びも重要ですので、小規模宅地等の特例を併用適用する際の計算方法について解説します。

 

小規模宅地等の特例は種類によって限度面積が異なる

小規模宅地等の特例には4種類の制度があり、各種類によって限度面積と減額割合は異なります。

小規模宅地等の特例

節税効果が高いのは特定事業用宅地等と特定同族会社事業用宅地等

特定事業用宅地等および特定同族会社事業用宅地等は、400㎡まで土地の相続税評価額を80%減額できる制度です。
特定事業用宅地等を受けられる土地は、被相続人がコンビニや飲食店などの事業を営んでいた建物の敷地です。
特定同族会社事業用宅地等は、不動産貸付業以外の事業を行っていた同族法人の敷地として利用していた土地が対象になります。
限度面積と減額割合の最大値は、これら2つの制度が最も大きいため、適用できる土地があれば優先的に適用を検討してください。

 

特定居住用宅地等は適用しやすいのがメリット

特定居住用宅地等は、被相続人が自宅の敷地として利用していた土地が対象の制度です。
同居した親族が対象物件を取得すれば、基本的に特例を受けられるため、小規模宅地等の特例の中でも適用しやすい制度です。
減額割合は、特定事業用宅地等や特定同族会社事業用宅地等と同じ80%ですが、限度面積は330㎡(約100坪)と少し面積は狭くなっています。
なお特定居住用宅地等と、特定事業用宅地等または特定同族会社事業用宅地等を併用適用する場合、限度面積の計算は合算ではなく別々に計算します。

 

貸付事業用宅地等を適用する優先順位は最も低い

貸付事業用宅地等は不動産貸付用の土地に適用できる制度で、限度面積は200㎡、減額割合は80%と、小規模宅地等の特例の中で節税効果は最も薄いです。
そのため複数の土地に小規模宅地等の特例を適用できる場合、貸付事業用宅地等を適用する優先順位は、基本的に最後です。
しかし貸付事業用宅地等を適用できる土地の1㎡当たりの評価額が高い場合、特定居住用宅地等などよりも先に適用した方が節税効果を得られるケースもあります。
そのため複数の土地に小規模宅地等の特例を適用する際は、適用する順番を判断する計算が必要です。

 

小規模宅地等の特例の限度面積を計算する際に注意すべき点

小規模宅地等の特例を適用できる土地の広さが限度面積を超える場合、超えた部分の面積に対応する相続税評価額は減額できません。
また複数の制度を併用して適用する際の限度面積は、適用する制度の組み合わせによって計算方法が異なりますのでご注意ください。

 

限度面積の判定は特例を適用する全員の合計面積

小規模宅地等の特例の限度面積は取得者ごとではなく、相続財産全体で適用できる面積です。
複数の土地に小規模宅地等の特例を受けられるケースにおいては、特例を適用できる相続人で話し合い、特例を受ける土地を選択しなければなりません。

 

複数の制度を併用する際の限度面積の上限は異なる

小規模宅地等の特例を受けられる上限の面積は、適用する制度によって異なり、併用する制度の種類で限度面積の計算方法も変わります。

<貸付事業用宅地等を適用しない場合>

特例の適用を選択する宅地等 限度面積の計算式
①特定居住用宅地等

②特定事業用宅地等

③特定同族会社事業用宅地等

①≦330㎡

(②+③)≦400㎡

両方を適用する場合、合計730㎡が上限

 

<貸付事業用宅地等を適用する場合>

特例の適用を選択する宅地等 限度面積の計算式
①特定居住用宅地等

②特定事業用宅地等

③特定同族会社事業用宅地等

④貸付事業用宅地等

①×200/330 +(②+③)×200/400+④≦200㎡

 

たとえば特定事業用宅地等と特定同族会社事業用宅地等の制度を併用する場合、限度面積は合計400㎡です。
特定居住用宅地等と特定事業用宅地等を併用する適用する場合には、最大730㎡(330㎡と400㎡の合計)まで特例を受けられます。
一方、貸付事業用宅地等を適用する際の限度面積の計算は、小規模宅地等の特例を適用する土地全体の面積を合計するため、小規模宅地等の特例を受けられる面積が少なくなりますので注意してください。

 

1㎡あたりの控除額が高い土地から特例を適用すること

小規模宅地等の特例は、相続税評価額を割合で減額するため、減額割合が高い制度を適用しても、1㎡当たりの単価が低いと節税効果が薄いです。
一方で、貸付事業用宅地等は評価額の50%しか減額できませんが、1㎡当たりの単価が他の土地よりも高い場合、優先的に適用した方が節税できるケースもあります。
そのため特例を受けられる土地が複数ある場合には、各土地の1㎡当たりの控除額を算出し、減額割合の高い土地から順番に適用すると相続税をより節税できます。

 

【ケース別】小規模宅地等の特例を適用する順番の判定方法

小規模宅地等の特例を適用する順番の判定方法をご説明します。

 

同じ制度を複数の土地に適用するケース

被相続人が複数の貸付アパートや貸付駐車場を経営していた場合、それぞれに貸付事業用宅地等を適用できる可能性があります。
貸付事業用宅地等の適用限度面積は200㎡です。
そのため適用対象の面積が上限を超える際は、1㎡当たりの減額割合が高い土地から特例を適用してください。

 

<前提条件>

〇土地A

・土地 150㎡

・評価額 1,500万円

・貸付事業用宅地等の適用対象

〇土地B

・土地 100㎡

・評価額 2,000万円

・貸付事業用宅地等の適用対象

 

【特例を適用する順番の判定】

・土地A

1,500万円÷150㎡=10万円(1㎡当たり)

・土地B

2,000万円÷100㎡=20万円(1㎡当たり)

 

10万円<20万円⇒土地Bから特例を適用

 

★減額される土地評価額の計算

20万円×100㎡×50%=1,000万円(土地Bの減額金額)

200㎡-100㎡=100㎡(残存の適用面積)

10万円×100㎡×50%=500万円(土地Aの減額金額)

 

減額割合の低い土地に特例を適用した方が節税できるケース

貸付事業用宅地等の減額割合50%に対し、特定居住用宅地等の減額割合は80%です。
それぞれの制度を受けられる場合、基本的には特定居住用宅地等から適用した方が節税効果は期待できます。
しかし貸付事業用宅地等の対象となる土地の評価額が著しく高い場合には、貸付事業用宅地等から特例を適用した方が節税できるケースもあります。

 

<前提条件>

〇土地C

・土地 330㎡

・評価額 3,300万円

・特定居住用宅地等の対象

〇土地D

・土地 200㎡

・評価額 6,000万円

・貸付事業用宅地等の対象

 

【特例を適用する順番の判定】

・土地C

3,300万円÷330㎡=10万円

10万円×80%=8万円(1㎡当たりの減額金額)

10万円×330㎡×80%=2,640万円(減額可能金額)

・土地D

6,000万円÷200㎡=30万円

30万円×50%=15万円(1㎡当たりの減額金額)

30万円×200㎡×50%=3,000万円(減額可能金額)

 

2,640万円<3,000万円⇒土地Dから特例を適用

 

まとめ

相続財産に土地がある場合、小規模宅地等の特例は可能な限り適用したい特例です。
ただ要件を一つでも満たさないと特例は受けられないため、特例を適用できる人が土地を相続する工夫も必要になります。
なお申告期限を過ぎてから、特例を適用する土地の変更は原則できません。
そのため小規模宅地等の特例についての疑問・不明点がありましたら、申告書を提出する前に一度ビジョン税理士法人へご相談ください。