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第2章 法定相続人を確認する方法

【相続事例】

相続が発生したら、まずは法定相続人の確認を行います。

和子さんは、昭男さんの出生から死亡までのすべての戸籍謄本を集めようとしています。

法定相続人の確認

和子「父さんの一つ前の戸籍は川崎市のお義父さんの戸籍になるのね。法定相続人の確認って大変ね」

成一「戸籍なんか見なくても、父さんの家族は僕と母さん、川崎市のおじいちゃんだけってわかるような気がするけれど…」

和子「そうなんだけど、生まれてから亡くなるまでの全部の戸籍謄本がいるらしいのよ。何でかしら」

 

法定相続人の確認

昭男さんには、同居の妻の和子さんと長男の成一さん、離れて暮らす父親の大作さんがいます。

昭男さんの法定相続人になる人物は、妻の和子さんと一人息子の成一さんです。

法定相続人とは

法定相続人とは

法定相続人とは、財産を相続する権利のある人のことです。

まず被相続人に配偶者がいる場合、その人は必ず法定相続人になります。

配偶者のほかにも、被相続人に、子や直系尊属(例:親や祖父母)、兄弟姉妹がいれば、子→直系尊属→兄弟姉妹の順で法定相続人になります。

先の順位の法定相続人がいれば、後の順位の人は法定相続人になりません。

つまり、配偶者や子は、存在すれば必ず法定相続人になるということです。

昭男さんのケースでは、和子さんと成一さんが法定相続人であることは確定しています。

ただ、「昭男さんの法定相続人は和子さんと成一さんだけです。他には絶対にいません」ということを証明するには、昭男さんの出生から死亡までの連続したすべての戸籍謄本が必要になります。

なお、配偶者側の家族(姻族:妻の親など)は法定相続人になりません。

 

法定相続人の確認方法

戸籍とは、家族関係の公的な記録です。

本籍地を管轄する役所が管理しています。

人は生まれると、出生届によってまず親の戸籍に入り、その後、婚姻や転籍によって、新しい戸籍に入ります。

ここで、昭男さんの出生から死亡までの家族関係を見てみましょう。

【戸塚昭男さんの家族関係】

・昭和30年3月10日 川崎市で戸塚大作・正子の長男として誕生

・昭和63年10月10日 横浜市戸塚区で和子と結婚

・平成2年5月10日 長男成一が誕生

・令和2年12月1日 横浜市戸塚区で死亡(65歳)

 

昭男さんの戸籍関係ですが、まず出生から婚姻までは川崎市の父母の戸籍に、婚姻から死亡までは横浜市戸塚区で和子さんと作った戸籍に入っていることになります。

法定相続人の確認方法

したがって昭男さんの出生から死亡までの戸籍謄本は、この2つになります。

 

戸籍謄本の取得方法

戸籍謄本は死亡→出生の順で取得する

戸籍謄本を集めるときは、死亡時の戸籍から出生時の戸籍にさかのぼります。

新しいものから古いものに、一つずつ戻っていくイメージです。

 

【手順】

手順1:死亡時の戸籍謄本で被相続人の従前戸籍を確認

手順2:従前戸籍の所在地を管轄する役所に戸籍謄本を請求

手順3:交付を受けた戸籍謄本で被相続人の従前戸籍を確認

 

手順2と手順3を繰り返し、交付を受けた戸籍謄本が、出生時のものになるまで繰り返します。

それでは、昭男さんの死亡から出生までの2通の戸籍謄本のサンプルを見てみましょう。

戸籍を集めるときのポイントになるのは、赤色の枠で囲んだ部分です。

婚姻~死亡時の戸籍謄本

出生~婚姻時の戸籍謄本

【婚姻~死亡時の戸籍謄本】

戸籍の編成日(その戸籍が新しくできた日)は、昭男さんが和子さんと婚姻した日付になります。

昭男さんの「身分事項」の「従前戸籍」を見れば、昭男さんの一つ前の戸籍が川崎市にあったことがわかります。

よって手順2のとおり、次は川崎市から昭男さんの戸籍謄本の交付を受けます。

 

【出生~婚姻時の戸籍謄本】

まず昭男さんの「身分事項」から、昭男さんの除籍(その戸籍から抜けること)の理由が、和子さんとの婚姻であることがわかります。

和子さんとの婚姻日や新本籍が、次の戸籍謄本の編成日や本籍地と合致しているため、先ほどの戸籍と連続したものであることが確認できます。

さらに戸籍の編成日は、昭男さんの出生より前の日付になっています。

したがってこの戸籍は、昭男さんが生まれるより前から存在するものです。

よって、この戸籍が昭男さんの出生時のものであることがわかります。

 

戸籍の改製日がある場合

戸籍には「編成日」ではなく「改製日」が書かれたものもあります。

戸籍の改製日

これは戸籍の改製といって、戸籍がコンピュータ化されたことによる様式の変更です。

この場合、この戸籍謄本には昔の「改製原戸籍」があります。

相続では、この改製原戸籍を集めることも必要になります。

改製原戸籍から新しい戸籍に変更される際、一部引き継がれない家族関係があるからです。

 

除籍謄本の場合

除籍謄本とは、その戸籍から全員が除籍している状況をいいます。

たとえば昭男さんの父である大作さんがすでに亡くなっている場合、大作さんの戸籍(=昭男さんの出生時の戸籍)には誰もいませんので、取得するのは「除籍謄本(除籍全部事項証明書)」になります。

除籍謄本も、本籍地があった役所に一定の間、保管されています。

 

戸籍謄本、改製原戸籍、除籍謄本の請求方法

戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)、改製原戸籍、除籍謄本(除籍全部事項証明書)は、その本籍の所在地を管轄する役所に請求すれば交付してもらえます。

昭男さんの例で考えてみましょう。

まず「婚姻時~死亡時の戸籍」の本籍地は横浜市戸塚区ですので、横浜市戸塚区役所に請求します。

和子さんや成一さんであれば、自身の戸籍を役所に請求するのと同じ手続きで取得可能です。

「出生時~死亡時の戸籍」は、川崎市に請求します。

和子さんや成一さんであれば、昭男さんの戸籍を川崎市に請求することはできますが、昭男さんとの関係がわかる書類が求められます。

なお、戸籍謄本等の請求方法には、

・直接窓口に行く方法

・郵送で請求して返送してもらう方法

の2通りがあります。

前者は役所に持参する書類、後者は郵送する書類があります。

これについては、戸塚区や川崎市など請求先のホームページで確認する必要があります。

なお、これらの手続きは、和子さんや成一さんが専門家などに代理を依頼して、その人に代わりに行ってもらうこともできます。

昭男さんの家族関係はわかりやすい例ですが、現実にはもっと複雑なものがあります。

たとえば、被相続人に離婚歴や養子縁組、子の認知がある場合などです。

法定相続人の確認が十分でないと、その後の手続きに影響します。

そのため、専門家に依頼して戸籍の収集から誰が法定相続人になるかの確認までをお任せすることも多いです。

 

【参考:手数料】

 種類 1通あたり
戸籍謄本(全部事項証明書) 450円
除籍謄本(全部事項証明書) 750円
改製原戸籍 750円

 

なぜすべての戸籍が必要なのか

法定相続人が他にいないことを戸籍謄本で証明できなければ、その後の相続財産の名義変更などの手続きができません。

ところが新しい戸籍ができるとき、前の戸籍から引き継がれない家族の情報があります。(例:前妻との間に生まれた子が除籍した場合など)

こうした情報を漏れなく確認するには、生まれてから亡くなるまでの連続したすべての戸籍謄本を収集する必要があるのです。

和子さんや成一さんからすれば、昭男さんの家族関係はわかりきっていることでしょう。

しかし、昭男さんに成一さん以外の子どもがいないことを関係機関に証明するには、戸籍謄本しかないのです。

なお、戸籍の枚数や手続き先が多いときは、法定相続情報証明制度の利用を検討しましょう。手続きで必要になるたびに戸籍謄本を収集する手間が省けます。