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相続税を考慮していない『遺言書キット』では大幅に税金増額!節税の為の『遺言書』の書き方とは?

遺言書キットにひそむ落とし穴

少し前に終活という言葉が流行り、エンディングノートや遺言書キットが多く書店に並びました。

今でも遺言書に関する書籍や、書き方に関するサイトは多く見受けられます。

 

備えあれば患いなし、確かにそうなのですが、相続税節税については一切考慮されていない遺言書の影響で、数千万以上相続税が高くついてしまう、という実態が少なくありません。

そして、それを回避する為に相続人全員が同意の上、遺言書の内容を変える、という事態は意外と多くあります。

 

遺言書の内容を変えてしまうなんて、薄情な親族だ…と思われがちですが、実際は欲望にまみれたそんな単純な話ではなく、相続税額を考慮した、現実的な対応なのです。

今回は相続税の節税を考慮した、遺言書の書き方についてご紹介します。

よくある『遺言書キット』の、相続税に関する落とし穴はココ!

どの遺言書キットも、たいてい落とし穴が3つあります。

  1. 二次相続を考慮していない
  2. 遺留分を考慮していない
  3. 小規模宅地の特例を考慮していない

この3つです。

それでは1つづつ解説していきましょう。

1.二次相続を考慮していない

相続税の配偶者控除について、ざっくり説明すると、「配偶者に相続する財産は、1億6千万円まで税金がかかりません」、ということです。(詳しくはこちらの記事)

なぜこれほど優遇されるのかというと、資産形成に配偶者の協力があったであろうことを考慮して、残された配偶者の生活を保障するためです。

 

ここで、夫が亡くなる際の相続を想定して、

『妻に財産の大半を、子どもに残りを遺そう。配偶者控除で節税大成功!』

と安易に考えるとと、大失態を招きます。

 

夫が亡くなる際の相続を一次相続と呼び、

その妻が亡くなった時に子どもに起こる相続を二次相続と呼びます。

・当然配偶者控除は使えない

・相続人が一人減っている

これらの点が影響し、一次相続、二次相続と合わせると数千万単位で相続税が変わってきます。

 

2.遺留分を考慮していない

遺留分とは、遺言書がある場合に、相続人に最低限保証されている、相続できる割合であり、法定相続分の1/2です。(詳しくはこちらの記事)

 

遺留分の侵害というのは、兄弟間で起こりやすく、実際にトラブルに発展してしまうケースが多くあります。

「土地は長女、預金口座を長男、に相続する」

物的にはシンプルな相続に聞こえますが、これが遺留分侵害のオンパレードとなってしまう原因です。

遺産総額のうち、長女に遺した土地の占める割合が高いと、長男の遺留分を侵害していることになります。

 

この遺留分は相続人の『権利』であり、当事者の相続人が「別に構わない」とすれば、この割合に即していなくても問題ありません。

ただし、トラブルに発展するケースの多くが、この遺留分を持ち出して、兄弟間で遺産争いをするという実態があります。

 

3.小規模宅地の特例を考慮していない

この特例は、被相続人とそれまで同居していた相続人に自宅を相続する場合は、宅地の評価を8割下げてOKというものです。

それまで住んでいた家に、ただ継続して住み続けるのために、高額な相続税がかかっては、生活がままならないということでこの特例があります。

 

特例の適用には詳細で複雑な条件があり、全てを考慮して遺言を遺すことは難しいかもしれません。

それでも、高額な節税の可能性のある特例の存在を知ってから書く遺言書であれば、残された家族の為に大きく役立つでしょう。

 

自筆証書遺言と公正証書遺言

厳密にいうと、多くの種類がある遺言書ですが、一般に作成されるものは「自筆証書遺言」「公正証書遺言」です。

この違いについて解説していきましょう。

自筆証書遺言

その名の通り、全文を自筆で書いた遺言書です。思い立ったら書くことが出来るので、気軽に作成できるメリットがあります。

ただし、有効な遺言書とされるためには気を付ける点もあります。

例えば

  • すべて自筆で書く。一部でもパソコンで作成されたものは不可。
  • 夫婦連名や複数名で1つの遺言書を作成することは出来ない。
  • 正確な日付けを書く。「吉日」などは不可。
  • 印鑑を押す。認印でも可能であるが、スタンプ印は不可。

などが留意点として挙げられます。

開封の際にも、気を付けなければなりません。(詳しくはこちら「遺言書は自由に開封していいの?」の記事)

  • その場で開封しない。
  • 家庭裁判所で検認の申し立てをおこなう。
  • 検認(遺言書の状態を確認)してもらう。

 

公正証書遺言

公証役場で作成してもらう遺言です。

プロですから不備なく作成してもらうことが出来、紛失の心配もありません。

また亡くなられた後も、相続人がオンラインで遺言書が作成されていないか、検索することが出来ます。

 

ただし、作成には費用と手間がかかり、内容を変えたいと思った時に容易に書き換えることは難しい点がデメリットと言えるでしょう。

自筆証書遺言で必要である、家庭裁判所での検認は不要です。

 

第三者に遺産を残したい人や、病気などの心身上の問題で自筆証書遺言が作成できない人、不動産などの高額で複雑な財産が多い人に向いています。

自筆証書遺言と公正証書遺言

 

遺言書に何を書く?

遺言書に書く内容は、以下のものが挙げられます。

  • 遺産分割の方法 「土地は妻に、預金口座を子どもたちに、相続したい」
  • 相続分の指定 「丁寧な介護をしてくれた次男に、少し多目に相続したい」
  • 後見人および後見監督人の指定 「万が一のことがあったら、子どもの面倒はこの人に見てもらいたい」
  • 負担付遺贈 「私の死後、愛犬の世話をあの人に頼みたい」
  • 付言事項 「家族へ最後のメッセージを添えたい」
  • 子どもの認知 「生前は事情があって認知できなかったが、認知をして相続させたい」
  • 相続人の廃除 「暴力に悩まされた次女には、相続したくない」

財産に言及する場合がほとんどですから、事前準備として自分名義の財産をまず洗い出すことが必要です。

遺言書には、下記チェックリストを参考にして財産についてできるだけ具体的に記載しましょう。

財産チェックリスト

有価証券
土地
建物
預貯金
その他の財産
借金・負債

 

そして財産をどう分けるか考える際に、前述した

  1. 二次相続を考慮する
  2. 遺留分を考慮する
  3. 小規模宅地の特例を考慮する

上記を踏まえるわけですが、一言の異論の余地のない遺言書を作成することは不可能です。

節税一辺倒の遺言書でも、相続トラブルが回避できるとは限りません。

あなた自身の想いを、心をこめて説明するように遺言書にのこしましょう。

 

自筆証書遺言の作成と保管の方法

用意するものは、

  • 印鑑と朱肉
  • ボールペンや万年筆など消えにくい筆記具
  • 封筒と便箋

です。早速作成してみましょう。

書いてみよう!Step1・法定相続人の確認と財産の確認

あなたの法定相続人などを確認します。

(法定相続人について詳しくはこちらの記事)

正確に把握するには、出生から現在までの戸籍謄本と取り寄せることで確認できます。

前述の財産チェックリストをもとに、遺言にのこしたい内容を考えてみましょう。

 

書いてみよう!Step2・絶対に守るべき注意点

以下の点を守らないと、せっかくの遺言書が無効になってしまいます。

  • すべて自筆で書く
  • 作成日を正確に、年月日で書く
  • 戸籍上の姓名で、署名をする
  • スタンプ印ではなく朱肉で印鑑を押す

ぶっつけ本番ではなく、下書きをしてから清書をしましょう。

 

書いてみよう!Step3・書き方例

                    遺 言 書

 

遺言者 鈴木太郎は、この証書により次の通り遺言する。

1.遺言者は遺言者の有する下記の各財産をいずれも遺言者の妻 鈴木 花子(昭和58年8月16日生。以下「妻 花子」という。)に相続させる。

一 不動産

  • 土地
    不動産番号 100001000012
    所在    神奈川県横浜市戸塚区品濃町
    地番    549番地2
    地目    宅地
    地積    132.24平方メートル
  • 建物
    不動産番号 1400001100001
    所在    神奈川県横浜市戸塚区品濃町
    家屋番号  5400番1
    種類    居宅
    構造    木造スレート葺2階建
    床面積   1階80.65平方メートル
    2階70.45平方メートル

二 鈴木太郎名義の預金

  • ゆうちょ銀行 記号○○○ 番号○○○○○○○
  • ○○銀行□□支店

 

三 遺言者が有する上記不動産に付属する一切の動産すべて
checkpoint!
(財産の記載漏れを避けるために「遺言者が有する上記不動産に付属する一切の動産すべて」という一文を記載します。)

 

2.妻 花子が遺言者に先立ち、又は遺言者と同時に死亡した場合には、遺言者は前項によれば妻 花子に相続させることとした同項記載の遺言者の有するすべての財産を、いずれも、長女 鈴木 葉子(平成18年3月20日生。以下「長女 葉子」という。)にすべて相続させる。

3.遺言者は遺言者の有する下記の各財産をいずれも遺言者の長女 葉子に相続させる。

一 預貯金 以下の預金全額

  • △△銀行○○支店 普通 口座番号○○○○○○○ 口座名義○○○○

 

二 普通乗用車一台

車種 スバル インプレッサ 登録番号  湘南○○○う○○―○○

 

三 遺言者の飼い猫チロ

ただし、長女 葉子は、生涯にわたり、遺言者のペットであるチロを介護扶養し、死亡の場合は、相当な方法で埋葬、供養しなければならない。

なお、チロが遺言者より先に死亡した場合はこの限りではない。

 4.遺言者は遺言者の有する下記の各財産をいずれも、 山田 太朗(昭和63年9月29日生。)に遺贈する

一 不動産

  • 土地
    不動産番号 100001040025
    所在    神奈川県横浜市戸塚区汲沢
    地番    7丁目24番
    地目    宅地
    地積    56.65平方メートル

 

  • 建物
    所在    ◯◯県◯◯市◯◯町1丁目
    家屋番号  ◯◯番◯◯
    種類    ◯◯
    構造    ◯◯
    床面積   1階◯◯ 平方メートル
    2階◯◯ 平方メートル

 

二 預貯金 以下の預金全額

△△銀行△△支店 普通 口座番号○○○○○○○

5.遺言者はこの遺言の遺言執行者として、次の者を指定する。

住所   神奈川県横浜市戸塚区◯-◯-◯
◯◯税理士事務所
税理士 ◯◯ ◯◯
生年月日 昭和48年 6月10日

(2) 前項の遺言執行者は、不動産及び預貯金等の解約、払戻しその他この遺言の執行に必要な一切の行為を行う権限を有する。この場合において、必要があるときは、弁護士、その他の専門家にこの遺言の執行に必要な行為の一部を委任することができる。

(3) 上記遺言執行手続きの報酬として、金50万円を支払うものとする。なお、報酬は鈴木葉子に遺贈した預貯金から支払うものとする。

 

(付言)

葉子には、手間をかけますが、お母さんを手助けしてあげてください。
兄弟なるべく平等に、というのが私の考えです。
よろしく頼みます。

 

平成〇〇年〇月〇日
神奈川県藤沢市〇-〇-〇
鈴木 太朗

以上

checkpoint!⇒ 人について書くときは続き柄・フルネーム・生年月日を入れて特定が可能なようにします。さらに住所も入れると安心です。

checkpoint!⇒ 法定相続人に対しては「相続させる」、法定相続人以外に対しては「遺贈する」という言葉を使用します。

checkpoint!⇒ 間違えた時は書き直します。二重線と訂正印での修正は認められず、遺言書として無効になってしまいます。

checkpoint!⇒ 金額の箇所は算用数字ではなく漢数字で記載すると、改ざんなどの心配がなくなります。(例 300万円 ⇒ 参百万円)

 

保管しよう!気を付けるべき留意点は?

自筆証書遺言を保管する場所に関して、どんな事を想定するべきでしょうか?

それは、

  • 亡くなった際に、遅滞なく遺言書が見つかる事
  • 相続人や他人によって、改ざん、破棄、隠匿などの可能性を最大限排除する事

という、相反する2つが挙げられます。

あちらを立てればこちらが立たず、という矛盾する2つですがバランスを見て保管場所を決めましょう。

 

どのような場所に保管されているのでしょうか?

【自宅の場合】

  • 金庫
  • 書斎の引き出し
  • 仏壇
  • 書庫

【外部の場合】

  • 銀行などの貸金庫
  • 相続人のうちの一人
  • 遺言執行者である第三者
  • 後見人
  • 友人・知人

このような場所に保管されているケースが多いようです。

銀行などの貸金庫や、遺言執行者である第三者は、改ざんや隠匿などの心配から考えると一番安心です。

ただし、亡くなった際の連絡などを整えておかないと、必要な時に手に入らない事態になってしまいます。

 

相続人のうちの一人に託す場合は、遺産分割に不満をもっている可能性がある人だと改ざん、破棄、隠匿のおそれがあります。

逆に、遺産分割で一番財産を受け取る人ならどうかというと、他の相続人から「自分に有利になるよう無理やり遺言を書かせたのでは」と疑いを持たれる可能性もあります。

自筆証書遺言は作成時の証人がいない遺言書ですから、相続人のうちの一人に託すというのは避けた方が無難です。

 

自筆証書遺言の作成・保管に関するよくある質問

1.遺言書に使う印鑑は実印じゃないとダメですか?

なるべく実印が好ましいでしょう。認印でも無効にはなりませんが、スタンプ印は避けましょう。

 

2.書き間違えた場合の訂正方法は?二重線と訂正印で大丈夫?

訂正方法にミスがあると無効になってしまいます。新しい用紙に書き直す事が最善の道です。
どうしても訂正をする場合は
・二重線で消す
・訂正印を押す
・正しい内容を記載
・訂正をした箇所(何行目か)を書く・何文字削除して何文字追加したかを書く
・訂正箇所の横に署名をする

この方法で正しく訂正をする必要があります。

 

3.公正証書遺言と自筆証書遺言の両方が存在する場合、どちらが優先されるのですか?

優先される遺言書は形式に関わらず、日付の新しい遺言書が優先されます。日付がなければ遺言書として無効です。

 

4.認知症になってからでも遺言書を作れますか?

「意思能力」(意思表示などの法律上の判断において自己の行為の結果を判断することができる能力)がない状態で作成された遺言書は無効となってしまいます。
また、軽度の認知症で意思能力はあるという状態でも、相続発生後に相続人から「意思能力がない状態で書かれた遺言書で無効である」と主張され、トラブルに発展してしまうケースも見られます。

これらの心配を考慮するならば、なるべく早く健康なうちに、公正証書遺言で遺言を作成することをお勧めします。

 

5.完成して数年後、記載内容を変更したい場合はどうすれば?

新しい遺言書を作成しましょう。
日付が新しい遺言書が優先されますから、日付の記載を必ず忘れないようにしましょう。
新しい遺言書を作成した場合には、混乱を避けるために古い遺言書は破棄しましょう。

 

6.小さい子供が、主人の自筆証書遺言を開封してしまいました。

開封された事で即無効にはなりません。
汚れていないか状態を確認して再度封印しましょう。

 

まとめ

相続税の知識を最低限学ぶだけでも、残された家族に与える影響はとても違ってきます。
ぜひ、遺言者の想い、相続税の節税、残される家族の想い、バランスよく考慮した遺言書を作成して下さい。