債務控除と葬儀費用

債務控除

借金があると相続税が安くなります。
これは、相続税に債務控除という仕組みがあるためです。
相続税を計算するときは、被相続人が残した借入金などの債務を遺産総額から差し引くことができます。
差し引くことができる債務は、被相続人が死亡したときにあった債務で確実と認められるものです。

なお、被相続人に課税される税金で、被相続人の死亡後相続人などが納付又は徴収されることになった所得税などの税金については、被相続人が死亡したときに確定していないものであっても、債務として遺産総額から差し引くことができます。

例えば、住宅ローンを銀行やカードで購入したクレジットの未払い分、亡くなる前の医療費など、また準確定申告を相続開始後4カ月以内にする必要があるのですが、その所得税も債務控除の対象となります。

相続財産から差し引きできる財産

  • 債務:住宅ローン・銀行の借入金・事業の買掛金・未払金・未払の医療費
  • 税金:死亡年度の所得税・納期限が未到来の固定資産税・住民税
  • 相続財産から差し引きできない財産:墓地や仏壇などの非課税財産の未払債務

葬儀費用

実際に相続があった場合、葬儀費用も債務控除として相続財産から差し引けます。
葬儀費用は被相続人の死亡以前の確定債務ではありませんが、相続財産から支出される費用として、課税価格の計算上控除することができます。

税務の取り扱いでは、その葬儀費用の中でどのような費用が葬儀費用として控除できるかを下記に記載しました。

葬式費用として控除することができるもの

  1. 葬式若しくは葬送に際し、埋葬、火葬、納骨若しくは遺骨の回送その他に要した費用
  2. 葬式に際し、施与した金品で、被相続人の職業、財産その他の事情に照らして相当程度と認められるものに要した費用
  3. その他、葬式の前後に生じた出費で通常葬式に伴うものと認められるもの
  4. 死体の捜索又は死体若しくは遺骨の運搬に要した費用

葬式費用として控除できないもの

  1. 香典返戻費用
  2. 墓碑及び墓地の買入費並びに墓地の借入料
  3. 法会に要する費用
  4. 医学上又は裁判上の特別の処置に要した費用

香典返しの費用や墓地、仏具の購入費用が葬儀費用とならないのは、受け取った香典や墓地などが非課税とされているためです。
初七日や四十九日などの法事に要した費用は、遺族が社会生活を営むうえで負担すべきものであることから、葬儀費用には含まれません。