税務調査の期間とは?調査のサイクルから実施時期を徹底解説

「税務調査はいつ来るの?」と不安に感じている方へ、最新データから法人の税務調査のサイクルをお伝えすると、計算上は「およそ40年に1回」となっています。

平成元年には「およそ10年に1回」のペースだったため、税務調査が入る割合は年々減少しています。

しかしながら、一方で税務調査先を選定する精度が向上しており、不正が疑われる納税者が狙い打ちされる傾向が高まっています。
税務調査が入る割合が減っているからといって、安心できる状況ではない点に注意が必要です。

本記事では、あらゆる経営者・事業主にとって避けて通れない税務調査について、「期間」にフォーカスして詳しく解説します。

 本記事のポイント

  • 税務調査のサイクル(スパン、ペース)の最新情報が把握できる
  • イレギュラーに短期間での税務調査を受けやすい要注意ケースがわかる
  • 税務調査の対象期間や要する日数についても解説

「税務調査の期間について知りたい」
「税務調査が来ても困らないように対策したい」
…という方におすすめの内容となっています。

この解説を最後までお読みいただければ、あなたは「税務調査の期間に関わる知識」はもちろん、税務調査をできるだけ遠ざけるために注意すべきポイントが理解できます。

結果として、税務調査に対して漠然とした不安を抱えるのではなく、具体的な対策を取れるはずです。
では、さっそく解説を始めましょう。

 

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1. 税務調査が来る期間(サイクル)

まずは冒頭でも触れた「税務調査は、どんな期間(サイクル)で来るのか」について、解説します。

1-1. 法人が実地調査を受けるサイクルは「およそ40年に1回」

令和元事務年度(2019年7月〜2020年6月)のデータをもとに計算すると、法人が税務調査の実地調査を受ける期間(サイクル)は【およそ40年に1回】となります。
というのは、国税庁の資料によれば令和元事務年度の法人税・消費税に関する実地調査(いわゆる税務調査)の実施件数は76,000件です(出典:国税庁)。
同年度の法人数は3,165,000法人ですから、法人全体の【2.4%】が税務調査を受けていることがわかります(出典:国税庁)。

この2.4%という数字を期間に単純換算すると、前述のとおり「およそ40年に1回」のペースとなります。

1-2. 実地調査の実施率は年々低下している

40年に1回と聞いて、
「税務調査って、もっと頻繁に来ると思っていた!」
と感じた方が多いのではないでしょうか。
実は実地調査を行う率(実調率)は年々低下しています。

以下は平成25年(2013年)時点のデータですが、平成元年には8.5%(およそ10年に1回)だった実調率が、25年後の平成25年には3.2%(およそ30年に1回)にまで減っているのです。

出典:国税庁「税務行政の現状と課題」

平成25年から6年後にあたる前述の最新データでは【実調率2.4%(およそ40年に1回)】に下がっているため、低下傾向は現在まで引き続いていることがわかります。
なお、この傾向は個人(個人事業主や相続・不動産売買・投資などに関連して確定申告した人)も同様です。平成25年度時点で【実調率1.1%(およそ100年に1回)】にまで減っています。

1-3. 簡易な接触を含めると接触率は「3年間で12.8%」

では、実地調査を受けないからといって、税務署などから何も指導がないかというと、そうではありません。
現地に職員がやってくる実地調査以外にも「簡易な接触」と呼ばれる接触があります。

簡易な接触とは、
「税務署において書面や電話による連絡や来署依頼による面接により、納税者に対して自発的な申告内容の見直しなどを要請するもの」
とされています。

▼ 簡易な接触と実地調査のイメージ図

出典:国税庁

この簡易な接触を含めると、3年間の接触率の合計は【12.8%】です。

出典:国税庁

単純計算すると、10年間で約4割の法人は何らかの形で接触を受けることになります。

 


2. 税務調査の期間が標準よりも短くなる要注意ケース

実地調査の割合は低下しているものの、安心はできません。
というのも、実際には税務調査の期間が標準よりも短くなるケースがあるからです。詳しく見てみましょう。

2-1. 不正をしている

1つめは「不正をしている」ケースです。

端的にいえば、不正に税金の負担を逃れようとする悪質な納税者ほど、年々税務調査を受けやすくなっています。
その背景を解説しましょう。

国税庁の資料によれば、不正が想定される法人を的確に絞り込む技術を向上させ、厳正な調査を実施することで、調査1件あたりの追徴税額の連年増加を達成していることが示されています。

出典:国税庁「令和元事務年度法人税等の調査事績の概要」

ここからわかるのは、国税庁や税務署による事前調査・分析の精度が向上しており、不正をしている法人を狙い打ちする傾向にあることです。
前述のとおり、全法人に対して実地調査が行われる割合は減少していますが、一方で不正している法人を的確に発見して追徴税を課す確率は向上している点に留意してください。

つまり、納税に関して何らかの不正をしている納税者は、税務調査を受ける確率が年々高まっています。

2-2. 不正を疑われやすい要素がある

2つめは「不正を疑われやすい要素がある」ケースです。
不正をしていると税務調査を受けやすくなるのは前述のとおりですが、実際には不正をしてなくても「不正をしているのでは?」と疑われる要素があると、税務調査が入りやすくなります。
具体的に不正を疑われやすい要素を挙げると、以下のとおりです。

売上が上がっているのに利益が減っている

「利益を不正に隠しているのではないか」と疑われるため、税務調査が入りやすくなります。
同業他社と比較して利益率が低い場合、毎年一定レベルで利益額が安定している場合など、意図的な操作を行っていることが疑われます。

例年に比べて大きく変動している勘定項目がある

売上・仕入れ・外注費・その他経費などに例年と比べて大きな変動があると、調査対象になる可能性が高まります。
税務署では過去の決算書の推移を分析しているため、大きな変動があれば目に留まりやすく、その変動が不正によるものではないことを確かめるために調査が入ります。

不正発見割合の多い業種に属している

税務調査で不正発見割合の多い業種に属している場合は、税務調査が入りやすくなります。

▼不正発見割合の高い10業種(法人税)

  1. バ一・クラブ
  2. その他の飲食
  3. 外国料理
  4. パチンコ
  5. 大衆酒場、小料理
  6. 自動車修理
  7. 土木エ事
  8. 一般土木建築工事
  9. 貨物自動車運送
  10. 美容

出典:国税庁


不正所得金額の大きな業種に属している

不正所得金額の多い業種に属している場合は、税務調査が入りやすくなります。

▼ 不正1件当たりの不正所得金額の大きな10業種(法人税)

  1. その他の飲食料品小売
  2. 電子機器製造
  3. 建売、土地売買
  4. 鉄鋼製造
  5. 不動産代理仲介
  6. 新聞、出版
  7. 再生資源卸売
  8. くぎ、ボルト、ナット、綿材製品製造
  9. その他の不動産
  10. その他のサービス

出典:国税庁


外注費の比率が高い

外注費の比率が異常に高い会社は、架空計上や水増し計上の不正を疑われやすくなります。
また給与を外注扱いとしている場合、消費税と源泉所得税の納税漏れが発生することになり、税務署がチェックしているポイントです。

重加算税を課税された過去がある

重加算税とは、脱税のために事実を隠したり偽ったりしたときに加算される税金です。
重加算税を課税された過去があれば、いわば前科持ちとなりますので、税務調査を受けやすくなります。

なお、さらに詳しくは以下のページで解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
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3. 1年のうち税務調査が行われる時期

次に1年のうちで税務調査が多くなる時期を見てみましょう。

3-1. 法人の税務調査の時期は決算月によって変わる

法人の税務調査が行われる時期は決まっておらず、年間を通していつでも税務調査を受ける可能性があります。
まずはその点を押さえておきましょう。

そのうえで、法人の場合は決算月によって税務調査の時期が変わるのが原則です。

▼ 決算月によって変わる税務調査の時期

この背景として「事務年度」を知っておくと良いでしょう。事務年度とは国税の基準となる時期区分で「7月1日〜翌年6月30日」を指します。
年度の期間として一般的なのは「4月1日〜翌年3月31日」ですが、国税局や税務署の職員は「7月1日〜翌年6月30日」の区切りを1年として活動していのです。
事務年度では、上期・下期の区切りは以下のとおりとなります。

▼ 事務年度の上期・下期

  • 上期:7月〜12月
  • 下期:1月〜6月

    この上期・下期に対して法人を決算月で振り分けているため、上期(7月〜12月)に2月〜5月決算法人の税務調査、下期(1月〜6月)に6月〜1月決算法人の税務調査を実施する原則があるというわけです。

    3-2. 個人の税務調査は7月〜12月が多い傾向

    次に個人のケースについてです。
    個人事業主や相続などで確定申告をした個人の場合も、
    年間を通していつでも税務調査を受ける可能性があります。

    そのうえで、事務年度の下期(1月〜6月)よりも上期(7月〜12月)のほうが税務調査が実施される数は多い傾向にあります。

    その主な理由は、下期の1月〜3月は確定申告の時期で繁忙期にあたり、基本的に税務調査は行われないためです。


    4. 税務調査に関する注意点

    最後に、税務調査に関する注意点をお伝えします。

    4-1. 税務調査を遠ざける近道は不正をしないこと

    まず1つめの注意点は「税務調査を遠ざける近道は不正をしないこと」です。
    本文中でもお伝えしたとおり、税務調査の1件あたりの追徴税額は年々上昇しており、それだけ不正をしている納税者が狙い打ちされやすい状況が色濃くなっています。

    逆に、全体の納税者に対する税務調査の実施率は年々下がっていますので、不正がなければ税務調査が入らない期間は年々長くなっているのです。
    当然のようですが、税務調査を遠ざける近道は、不正をしないことに尽きます。

    4-2. 不正を疑われやすい要素は税理士と綿密に相談する

    しかしながら、不正をするつもりはなくても、結果として疑われやすい決算書の数字になってしまうことは多々あります。
    そこで重要になるのが「税理士と綿密に相談する」ことです。
    少しでも税務調査に入られる確率を下げるためには、税理士と相談しながらの対策が欠かせません。

    実際のところ、「どういったポイントが疑われやすいのか」は、経営者・個人事業主自身では気付けないことが多く、税理士の視点から指摘を受け、必要な対策を取ることが非常に重要です。
    税務調査に深い知見を持つ税理士を選び、二人三脚で相談しながら対策していきましょう。

    当事務所でも豊富な経験をもとに助言を行っています。税務調査が不安な方はこちらのお問い合わせメールフォームからお気軽にご相談ください。

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    5. まとめ

    法人が税務調査の実地調査を受けるサイクルは、令和元事務年度(2019年7月〜2020年6月)の実地調査実施率【2.4%】を元に計算すると「およそ40年に1回」となります。
    実地調査以外の簡易な接触を含めると接触率は「3年間で12.8%」です。
    ただし、不正をしている、または不正を疑われやすい要素がある場合はこの限りではなく、税務調査の期間が標準よりも短くなりますので注意が必要です。

    1年のうち税務調査が行われやすい時期は、決算月によって変わります。

    • 2月〜5月決算法人:7月〜12月(事務年度の上期)
    • 6月〜1月決算法人:1月〜  6月(事務年度の下期)

      対象期間は調査必要度に応じて3年・5年・7年とバラつきがあり、実際の対象期間は税務調査の事前通知の際に知らされます。
      税務調査の実施にかかる期間(日数)は事前通知では知らされませんが、2日程度で終了するケースが多い状況です。

      税務調査に関する注意点として、税務調査を遠ざける近道は不正をしないこと、不正を疑われやすい要素は税理士と綿密に相談することが挙げられます。

      税務調査についてさらに詳しくは、以下の記事を続けてご覧ください。

       

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