利益剰余金とは?利益剰余金の目標値を設定して倒産しない強い会社へ

利益剰余金が、赤字に負けない強い会社作りをするうえで、最も重要だと知っていますか?

利益剰余金とは、「これまでの利益の蓄積」です。創業50年ならば50年間の利益の蓄積額を表しています。
利益剰余金が多い会社は、簡単にいうと、貯蓄があり地盤のしっかりした会社というイメージで
①貸倒れ、災害、経済危機など不足な事態にたいする抵抗力がつく(守り)②会社の成長に向けて積極的な投資(攻め)ができるために、安定と成長のバランスが良い会社と言えます。

コロナによって多くの会社が倒産に追い込まれています。
同じ赤字が出たとしても利益剰余金のしっかりある会社は、赤字に耐え、債務超過に耐えることができます。
どれだけ赤字に耐えられるかは、その会社にどれだけ利益剰余金の貯蓄があったかなんです!

しかし利益剰余金は利益の蓄積ですから、短期間で貯蓄できるわけではありません。
計画的に利益剰余金を貯める必要があります。

そこで最適な利益剰余金の目標値、またその利益剰余金を達成するための利益目標値を設定する方法を3つのステップでお伝えします。
行き当たりばったりの短期的な目標ではなく、成長と倒産のリスクヘッジを含めた目標を立てていきましょう!


1.利益剰余金(内部留保)とは「創業から積立てきた利益の合計額」

当期の純利益は、配当など社外に出て行ったものを除き残ったものは社内に留保されます。利益剰余金は、この留保された利益が創業から蓄積されたものです。
会計用語ではありませんが、内部留保という呼び方もあります。
 
ただし社内に利益が留保されているとと言っても、会社が現金を抱え込んでいるわけではありません。
不測の事態への備えなど現預金で確保してある場合もありますが、設備投資や新規事業の開拓など会社の成長のために使われている場合もあるからです。

1-1. 経営状況を判断する重要な指標の一つ

「会社がどのように利益を挙げてきてたのか。どのような経営状況なのか」を見る指標です。

というのも利益剰余金は、創業からの利益を積立てたお金なので、金額を会社の「期数(年数)」で割り算すれば、毎期の平均的な利益を計算できるからです。

その会社が毎期いくらの売上をだしているのか、全ての期の利益を足して割るのは大変な作業ですが、利益剰余金を見ればそれが1期で概算できるのです!
例えば、この平均利益と今期の利益を比較することで、短期的にその年に偶然大きな利益を挙げた会社なのか、長期的に創業からコツコツ売り上げを伸ばした結果大きな利益をを挙げれた会社なのか。
そのようなことが判断できますよね。
なので、銀行が融資を判断する際にも、利益剰余金は会社の信頼度を図る手段として軽視されることのない判断基準だそうです。

利益というと営業利益や経常利益に注目しがちですが、それらはあくまでも1年間の成績でしかありません。
年間の売上変動の大きい中小企業は特に、1年間の利益を見ただけでは会社の経営状態や稼ぐ力を推測することはできないのです。

会社の経営状況を見る際には、長期的な視点を持って判断できる利益剰余金が重要です。

また計算しなくても、利益剰余金がプラスかマイナスかどうかで会社の経営状況が判断でき、
利益剰余金がプラスであれば、会社の利益が順調に増えてることを表し、
逆にマイナスであれば、赤字決算が続き、経済状況が悪化していることが推測されます。

1-2. 利益剰余金は会社の安定と成長のために使われる

利益剰余金は、企業会計において貸借対照表の純資産の一部なのですが、
利益剰余金が多い会社は、一般的に安全性の高い会社だとみなされます。

純資産は自己資本ともいい返済する必要のない資本のことで、その割合が高ければ高いほど財政の安全性の高い会社だとみなされます。
実際、新型コロナウイルスによる経済危機で従業員の賃金や固定費の支払いなどが滞り倒産する企業も多い中、利益剰余をしっかり確保した多くの会社は長く持ちこたえることが出来ています。

また利益剰余金は、事業の拡大を目的とした設備投資や企業買収など会社の成長のために使えます。
例えば、楽天市場で伸ばした収益で、楽天モバイルなど新たな事業を展開した楽天のように、会社の成長の原資が利益剰余金なのです。

利益剰余金を会社の成長のためにうまく使えたら、利益剰余金の事業拡大への投資、利益および利益剰余金が増え、また投資し、、という会社が成長し続ける理想のサイクルが見えてくるでしょう!


2.利益剰余金を確保しておくべき2つの理由

利益剰余金は、経営者であれば必ず覚えてほしい数字の一つです。
なぜなら、経営状況の判断指標と、成長や安定のための原資という2つの特徴を持った利益剰余金をうまく使うことで、「持久力のあって、社会的信頼性の高い会社作り」を念頭に経営戦略を練られるようになるからです。

2-1. 赤字が出ても倒産しない強い会社になる。

自己資本金である利益剰余金をしっかり確保できれば、債務超過になりにくい持久力のある強い会社になります。

債務超過とは、負債(赤字)が資本を食いつぶして資産を上回ってしまっている状態です。
赤字が出ても、債務超過にならなければ、会社が倒産することはありません。

つまり、赤字に食いつぶされないくらい資本金が確保してあれば倒産することはないのです。
また、自己資本金である利益剰余金がしっかりあれば多少赤字が出ても、会社信頼を損なうことを防げます。

例えば、創業5年で利益剰余金が1000万円の会社が、100万円の赤字が出したとします。
客観的に見て毎年200万円稼ぐ力のある会社が一年間で100万円の赤字をだしたのであれば、回復する可能性が高いだろうと考えられます。
ですから、倒産する心配はあまりありませんし、その会社の信用に大きな傷はつきません。

しかしもし仮に創業5年で利益剰余金が150万円しかない会社が100万円の赤字を出したとします。
この場合利益剰余金は、残り50万円しか残っていません。
これは一年間の赤字で創業から今まで積立てきた利益(利益剰余金)をほとんど食いつぶし、結果資産を食いつぶしかけていまっている状態です。
いつ債務超過に陥ってもおかしくない状態です。

利益剰余金をしっかり確保してあれば、負債が資産を上回る前に受け皿になってくれるので
同じ赤字でも、利益剰余金の有無で倒産の可能性が異なることがお分かり頂けたかと思います。

赤字が出てしまうことではなく、その赤字が利益剰余金を食いつぶしてしまうことが問題なのです。
赤字に会社が耐えられるかの判断は、赤字が利益剰余金を上回っていないかどうかということです。

どれだけ売上の出ている会社でも、利益剰余金がなければ、負債が重なったら倒産しやすい会社と言えるでしょう。

2-2. 社会的信頼度が高まり、銀行融資を受けやすくなる。

利益剰余金が大きい企業には、2つの特徴があります。
一つは創業年数が長いことで、もう一つは長期的に利益を出し続けていることです。
この二点をあわせもつ企業を考えると、明らかに信用度の高い企業だと想像がつくでしょう。
このことから利益剰余金を増やすほど、社会的信用度が高まることが分かります。
社会的信用度が高まれば、銀行融資が受けやすくなったり、金利などが優遇されることになります。

では逆に、まだ創業したてで利益剰余金が少なければ、銀行からの信用度を高めることができないのでしょうか?

実は利益剰余金を分かっているだけでも、銀行からの信用に繋げることができます。
銀行から見て、利益剰余金を分かって利益目標を説明できる経営者の方には、
「この経営者様は倒産のリスクヘッジをした上で、経営を考えているんだな」と好印象を受けるからです。また利益剰余金を分かっている経営者の方は少ないので、差別化を図ることができます。

融資の交渉をする際には、
「今年いくら売上をあげる予定です」と一年間の目標を話すよりも
「これだけ利益剰余金の金額を確保したいので、これだけの利益目標を掲げています」と話した方が、
説得力を持って伝わり、アピールにもなりますので実践してみてください。


3.適切な利益剰余金を設定するための3つのステップ

利益剰余金が経営上、とても大切な数字であることはご納得頂けたでしょうか。

会社の成長を考えると利益剰余金は、多くあればあるほどいいわけではありません。
より少ない資本で大きな利益をあげるのが「収益性」なので、安全性は高くても収益性の面からは、自己資本比率を上げすぎるのはよくないからです。

そこで適正な利益剰余金の目標値を設定する必要があります!

の3つのステップでお伝えします!

3-1 利益剰余金の見方を知って、現況を把握しよう!

それでは、実際に会社の利益剰余金を見てみましょう!
貸借対照表の純資産の部を見てみてください。
貸借対照表が箱形の会社は右下を、順列の方は一番下付近に「利益剰余金」の項目があります。

利益剰余金は、主に以下の3つの内訳です。

①利益準備金

法律上、株主に配当する内決められた割合を積立てなければいけないと定められています。
株主会社でなければ、関係のない数字です。

②任意積立金

株主総会または取締役会の決議に基づき、必要があれば設定される数字です。
実質、繰越利益剰余金の一部です

③繰越利益剰余金

繰越利益剰余金=利益ー法人税ー(配当金)

上記のように利益剰余金の細かい内訳は、自社が株式会社であるかどうかで異なります。
いずれにせよ、貸借対照表の純資産の部にある利益剰余金の欄の金額を全て合算してください。

3-2 来期の利益剰余金の目標値を「資本金と利益剰余金の合計額を年間売上の2割」に設定しよう!

自己資本金と言われる大枠の内、資本金と利益剰余金の合計額を売上の2割は確保することをおすすめします。

なぜかというと、私の経験上、負債が年間に1割まで膨れ上がることは考えられますが、大きな経済危機起こり得ない限り年間売上の2割赤字が出ることはあまり考えられないと思われるためです。
2章で書きましたが、決算書で一番避けたいのは、負債(赤字)が資産を食いつぶしてしまっている状態つまり債務超過です。

また元本の2倍以上利益を積み上げている会社ということは堅実で収益性のしっかりした会社なのだと客観的にも判断することができます。

このことから以下のように利益剰余金の目標値が算出できます。

利益剰余金は、過去の利益剰余金の合計額ですので、ここから今まで繰り越されてきた利益剰余金を引き、来期の目標値を算出します。

3-3 目標値から来期の目標売上を立てる

先程、算出した来期の目標利益から目標売上を下の計算式にあてはめて算出してください。
固定費と粗利益率は過去の決算書を見て、ご確認ください。

目標利益剰余金に基付いた来期の目標売上は算出されましたか??

ぜひこの目標値を指標に経営計画を見直してみてくださいね!

 


さいごに

利益剰余金の目標値、そしてそれを達成するための売上目標を設定することはできましたか?

赤字のリスクはどの会社にも起こり得ることです。
また一時的に赤字になることはどの会社にもあることだと思います。その場合、利益剰余金がいくら蓄積してあるのか、そのためにどう蓄積していくかが非常に重要です。
利益剰余金をしっかり準備しておくことで、赤字への備えができます。

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